米ロサンゼルス、保釈金撤廃の政策により列車強盗が356%増加
米ロサンゼルスでは、貨物コンテナが荒らされるようになり、医療機器、デザイナーズバッグ、枕、航空会社の部品、子供の絵、ワイン冷蔵庫など様々な荷物が持ち去られるようになっている。
米メディア
『CBS2』によると、米国最大規模の貨物鉄道会社ユニオン・パシフィック鉄道(UP)の、ロサンゼルス郡を走る線路沿いには、何千個もの、盗まれ、捨てられた荷物が散らかっている。
同社の広報担当者ルーペ・バルデス氏は「UP社に16年勤めているが、ここまでひどい状況は見たことがない」と述べている。バルデス氏によると、1日平均90ものコンテナが被害に遭っているという。2020年10月と比較すると2021年10月は列車強盗事件が356%増加している。...
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『CBS2』によると、米国最大規模の貨物鉄道会社ユニオン・パシフィック鉄道(UP)の、ロサンゼルス郡を走る線路沿いには、何千個もの、盗まれ、捨てられた荷物が散らかっている。
同社の広報担当者ルーペ・バルデス氏は「UP社に16年勤めているが、ここまでひどい状況は見たことがない」と述べている。バルデス氏によると、1日平均90ものコンテナが被害に遭っているという。2020年10月と比較すると2021年10月は列車強盗事件が356%増加している。バルデス氏は、「窃盗犯を逮捕しているものの、現場スタッフたちは、窃盗犯が保釈金なしに次の日に釈放されて、列車を奪いに戻ってきているという現状を目の当たりにしている」と述べている。
UP社の社長は今週ロス市警と会談することになっており、先月にはロサンゼルス郡のジョージ・ガスコン地方検事に書簡を送り、盗難事件が急増していると訴え、同地方検事が犯罪者の責任を追及するよう懇願した。
『CBS2』は、ロサンゼルス郡地方検事が2020年に就任と同時に導入した保釈金なしの釈放政策が、こうした窃盗犯罪の急増を招いていると伝えている。書簡は、「逮捕者が出ても、保釈金は不要で、容疑者が出廷するまでの期間が延長されたため、同じ犯罪者による再被害が発生している」と説明しており、「犯罪者たち自らが現場スタッフに、単なる不法侵入としてしか扱われないと自慢してくる。深刻な刑罰は期待できない。」と述べている。
米『ABCニュース』によると、ロサンゼルス郡で線路沿いに散らかっている物を拾う仕事を担当するルイス・ローザスさんは、これまで何度か窃盗犯たちに遭遇してきたと証言しており、窃盗犯たちはボルトカッターを使ってコンテナの鍵を壊し、盗んだ商品をトラックに積み込んでいるという。ローザスさんは、窃盗犯たちに関わらないよう指示されているものの、遭遇すると、やはり怖さを感じると話している。そして、「彼らはもう逃げもしない。私たちの目の前でやっている。最初はショックだった。驚いた。」と話している。
米『フォックス・ニュース』によると、UP社は、窃盗犯罪を取り締まるための独自の警察部門を抱えているという。同社は、ロサンゼルス郡で過去1年間に160%の鉄道窃盗犯罪の増加を経験した。この増加は、小売製品の窃盗だけでなく、列車を動かす職務を遂行するUP従業員への暴行や武装強盗の増加ぶんも含まれているという。
UP社は、過去3カ月間、100人以上を逮捕してきたが、UP社の広報担当者は未だに「いかなる訴訟手続きについても連絡を受けていない」と述べており、「UP社は、ロサンゼルス郡地方検事ジョージ・ガスコン氏による特別指令20-07を再考するよう要請している。」という。特別指令は、鉄道での窃盗犯罪は特別なケースを除いて基本的には起訴しないと規定している。
米『エポックタイムズ』によると、UP社は、強盗の被害が大きいため、ロサンゼルス郡での鉄道輸送を止めることを検討している。フェデックスとUPSも鉄道輸送をこの地域を避けることを検討しているという。UP社は地方検事長宛の書簡で、「私たちはこの取り組みを軽視していない。特にサプライチェーン危機の最中、私たちの業務に大幅な変更を加えることは、地元、州、国のサプライチェーンシステム全体に大きな影響と負担をもたらす」と書いている。
しかし、UP社は総額500万ドル(約5億7千万円)ぶんの被害に遭っている。これまで、ドローンやフェンス、最新の侵入者検知システムを導入し、盗難防止のための法執行機関への追加費用を負担してきた。しかし、「このように資源を拡大し、地元の法執行機関とより緊密なパートナーシップを結んでも、ロサンゼルス郡の刑事司法制度では出発点に戻ってしまうことがわかった。司法による抑止力や刑罰がなければ、過去1年間のような鉄道窃盗犯罪の著しい増加を目の当たりにしても不思議ではない」と主張している。
ロサンゼルス郡はアメリカで最も重要な交通ハブの一つであり、ロサンゼルス郡が、列車の走行を危険な状態のまま放置していることは、全国に影響を与えるものである。同郡にはアメリカの二大港であるロサンゼルス港とロングビーチ港があり、両港を合わせると年間900万個以上のコンテナが受け入れられている。ロサンゼルス港では、莫大な数のコンテナの約3分の1を貨物列車が運び、アメリカ全土の目的地へと送り届けている。UP社が鉄道輸送を止めれば、港はコンテナを運び出す新しい方法を見つけなければならなくなる。UP社は地方検事に対し、政策を再考するよう「強く要請する」と述べている。
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国連、国連が中国に反体制派の名前を共有していたことを告発した職員を解雇
国連で働いていた人権派弁護士が、国連が中国にウイグル人の反体制派の名前を渡していたことを告発したところ、国連から解雇された。
英
『デイリー・テレグラフ』と仏
『ルモンド』紙によると、国連人権高等弁務官事務所に勤務していたエマ・ライリー(42歳)さんは、国連が中国の圧力に屈して、国連人権理事会(UNHRC)でスピーチをする予定の反体制派の情報を渡していることで、中国にいるその家族を深刻な危険にさらしていると何年も前から声高に訴えていた。
国連からの情報提供の結果、スイスで開催される国連人権理事会(UNHRC)に出席しないよう北京から圧力がかかったり、中国で逮捕されたり、拷問を受けたり、死に至ったケースもあるという。...
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英
『デイリー・テレグラフ』と仏
『ルモンド』紙によると、国連人権高等弁務官事務所に勤務していたエマ・ライリー(42歳)さんは、国連が中国の圧力に屈して、国連人権理事会(UNHRC)でスピーチをする予定の反体制派の情報を渡していることで、中国にいるその家族を深刻な危険にさらしていると何年も前から声高に訴えていた。
国連からの情報提供の結果、スイスで開催される国連人権理事会(UNHRC)に出席しないよう北京から圧力がかかったり、中国で逮捕されたり、拷問を受けたり、死に至ったケースもあるという。
ライリーさんによると、2013年に国連ジュネーブ事務局での中国代表部が、人権理事会で発言する予定の「中国の反政府分離主義者」の確認を求めてきた際に、この慣行を発見したという。その中には、世界ウイグル会議の現会長であるドルクン・イサ氏などが含まれていた。
ライリーさんは、クルド人活動家に関するトルコの要求を国連が拒否したように、この要求を拒否するよう提案したという。しかし、流出したメールによると、上司である人権高等弁務官事務所(OHCHR)の人権理事会支部長エリック・ティストゥネ氏が、公開会議であるため、名前の共有を遅らせれば「中国の我々に対する不信感を悪化させるだけだ」として、中国に名前を共有するよう助言した。
中国は、北西部の新疆ウイグル自治区に住むイスラム教徒のウイグル人に対して、人道に対する罪を犯し、大量虐殺を行った可能性があると告発されている。
ライリーさんは昨年、イギリスのLBC放送局で、「人権理事会で中国の虐殺に異議を唱えようとしている人がいても、国連は彼らを助けるどころか、その名前を中国に渡してしまう。中国はその情報をもとに、家族から本人に国連には行かないようにと電話して頼むよう圧力をかけたり、家族を逮捕したり、収容所に拘束したり、拷問したりしている。私は2013年からこのことを告発している」と語っていた。
テレグラフ社が入手した文書によると、国連は今週、ライリーさんに「重大な違法行為」を理由に解雇を通告した。その理由として、「国連の公式活動に関する問題に関して、外部の当事者と無許可でコミュニケーションをとった」ことが挙げられている。
ライリーさんは、「アントニオ・グテーレス国連事務総長は、国連人権委員会が反体制派の名前を中国当局に渡しているという真実を伝えたため、私を解雇した。名前を渡した(その後リストを「消失した」)国連職員は全員昇進した。調査も行われなかった。止めることができなかったのは残念だ。しかし、私はその証拠を各国政府に渡した」とツイートした。そして、各国には、「国連の最新の嘘をコピーペーストするのではなく、そろそろ行動してもらえないか?」と付け加えている。
『デイリー・テレグラフ』は、このニュースを受けて、事務総長の報道官は、国連が「内部告発者を解雇し、反体制派を弾圧する中国を助けるビジネスを行っている」ことを否定したと伝えている。
解雇の前兆として、今年6月、公益通報者保護制度の適用が認められていたライリーさんから国連が適用の除外を求めている動きがあった。こうした動きに対し、国際弁護士で元国連調査官のピーター・アンソニー・ギャロ氏は、米『フォックス・ニュース』の取材に対し、ライリーさんの試練は、明らかな不正行為に対して敢えて声を上げた職員を国連がどれだけ黙らせるかを示していると語っている。ギャロ氏は、「米国政府や他の加盟国は、このような道義に反した行為に妙に寛容だが、普通の国連職員は、エマ・ライリーに対する扱いを見て、自分も汚職や不正行為を報告すれば同じ運命をたどると理解し、報告することはしなくなるだろう。」と警鐘を鳴らしている。
一方、ライリーさんはフォックス・ニュースの取材に対し、「私は出勤することさえ許されず、国連はその理由さえ説明してくれていない。こうした報復は、中国が新しいボスであり、国連職員は中国政府を喜ばせるために規則を破ることを、報告してはならないという、すべての国連職員への露骨なメッセージを送るためのものだ」と述べていた。
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