10月4日付
『ハフィントンポスト』(アメリカ)は世界銀行が今年の終わりの時点
で、極貧の生活状況にある人口は世界全体の10%未満になるだろうと予測しているこ
とを報じている。それによると、一日あたりの生活費が1.9ドルの人口は2012年には
世界全体の12.8%だったのに対して、2015年末には9.6%にまで下がることが見込まれ
ている。
世界銀行総裁のジム・ヨン・キム氏は報道陣へのコメントとして「これは素晴らしい
話だ。...
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10月4日付
『ハフィントンポスト』(アメリカ)は世界銀行が今年の終わりの時点
で、極貧の生活状況にある人口は世界全体の10%未満になるだろうと予測しているこ
とを報じている。それによると、一日あたりの生活費が1.9ドルの人口は2012年には
世界全体の12.8%だったのに対して、2015年末には9.6%にまで下がることが見込まれ
ている。
世界銀行総裁のジム・ヨン・キム氏は報道陣へのコメントとして「これは素晴らしい
話だ。我々世代が初めて貧困層の撲滅に成功するかもしれない。貧困層の数値が一桁
台にまでなれば貧困撲滅のための戦略がより明確になるだろう」と述べたという。
もっとも、国連により掲げられている2030年までに貧困を撲滅するという目標の達成
が、にわかに容易になったわけではない。同氏は「経済成長の減速、不安定な市場経
済、国際・国内紛争、若年層の高い失業率など、目標達成を阻む要素は数多い。しか
し、大勢の貧困層の生活レベルを向上させたいという強い願いと、国ごとの政策が結
びつくことによって目標は達成されうると考える」とも語ったという。また、発展途
上国での公害問題も目標達成に大きな足かせになると予測されている。発展途上国の
都市部での健康障害の原因は大気汚染が主で、マラリア、エイズ、結核の3倍以上と
なっている。いわゆる従来から課題とされてきた水や衛生問題はここ25年で飛躍的に
改善されたが、環境問題や持続可能な経済成長という新たな現代型の問題が持ち上
がってきているという。
世界銀行の発表によれば、紛争地域や農産物輸出がメインとなっている国々では貧困
層の減少傾向は緩やかだという。特にサハラ砂漠以南の地域でこの傾向が顕著で、
1990年には貧困層が世界全体の15%であったのに対して、現在では半数を占めている
という。専門家によると、年2.6%もの急激な人口増加が事態をさらに悪化させている
という。アメリカのブルッキングス研究所のローレンス・シャンディ氏は「極貧層減
少のスピードよりも人口増加のスピードの方が速く、極貧層は増大化傾向にある。不
完全なデータ収集方法や、アフリカでの経済成長の著しい地域と極貧層が生活する地
域の不一致というのも問題がある」と指摘しているという。
10月4日付
『キュービック・レーン』(アメリカ)は2015年末の世界全体の9.6%の貧
困層の人数を具体的には7億2000万人であり、2012年には9億200万人であったのに比
して減少していると報じている。また、生活最低水準を来週ペルーのリマで行われる
国際通貨基金・世界銀行の年次総会で発表される数字を先取りして1.25ドルから1.9
ドルに引き上げたことも報じている。
また、サハラ砂漠以南の地域のうち、特にマダガスカルとコンゴ共和国の貧困が特に
顕著で、当該地域の人口の約80%が生活最低水準以下の暮らしを余儀なくされている
という。
さらに紛争激化地域の中近東や北アフリカでは正確なデータの収集が困難になってい
るという。
世界銀行は経済成長による副作用にも強い懸念を抱いており、アメリカが行おうとし
ている金融引き締め政策も低所得国にダメージを与えるのではないかとする。世界銀
行のチーフエコノミストであるカウシィク・バァッシュ氏は「この先にも混乱が待ち
受けているだろう。その中でも貧困の撲滅に向けて新たな挑戦が必要だ」と述べたと
いう。
10月4日付
『アメリカ・アルジャジーラ』は生活最低巣準が1.25ドルから1.9ドルに引
き上げられた理由について、以前から導入されていた実際の購買力の数値はそのまま
にしつつ、国ごとに異なる生活費を反映させた結果だとしている。世界銀行が初めて
生活最低水準という数値を持ち出したのは1990年のことで、当時は1日1ドルであっ
た。その後2008年に見直され、1.25ドルになっていた。
また、貧困層の減少を新興国、とりわけインドの顕著な経済成長、教育や保健、社会
保障への投資増によるものだという世界銀行の報告を引用している。また、2020年ま
での貧困問題はおそらく紛争問題に絡んだデリケートな問題を内包し、より達成困難
になっているだろうと予測している。
限りなくゼロに近くなっても、「撲滅」を宣言するには時間がかかりそうだ。
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7月1日の再調査の期限が2か月を切っているにも関わらず、北朝鮮側から何の働きかけもなく日朝協議の行方が危ぶまれている中、マツタケ不正輸入に関与したとして、朝鮮総連トップホジョンマン議長の次男らが日本国内で逮捕された。北朝鮮の祖国平和統一委員会のウェブサイト「わが民族同士」は、「前代未聞の蛮行で法的根拠が全くなく、すべてが虚偽と捏造である」として日本を非難し釈放を要求、「1100倍の対価を払うことになるだろう」と警告した。さらには「米メディア;北朝鮮の潜水艦弾道ミサイル実験」でお伝えしたように、キムジョウン第1書記はロシアから招待されていた「対ドイツ戦勝70周年記念式典」を欠席し、朝鮮人民軍の潜水艦弾道ミサイル発射実験を視察するなど、ここのところ北朝鮮が従来の瀬戸際外交に戻りつつある兆候を見せている。こうした中、韓国国家情報院は、北朝鮮のヒョンヨンチョル人民武力相が先月、 反逆罪の名目で対空砲を使い公開処刑されていたとの衝撃的事実を明らかにした。各国は、北朝鮮ヒョンヨンチョル人民武力相の処刑について以下のように報じた(一部NHKBSワールドニュースを参照した)。
5月13日付
『AFP通信』(フランス)は、「韓国の情報機関によると、北朝鮮のヒョンヨンチョル人民武力相が、キムジョンウン第1書記に口答えをしたとして処刑された」と報じ、「この報道が事実であれば、2013年の叔父のチャンソンテク氏の処刑に続く大物の処刑で、身内の高官でさえ容赦しないキムジョンウン第1書記の残忍さを示すものとなる」とした上で、「先週、キムジョンウン第1書記は内政問題のためとの理由でロシア訪問をキャンセルしていたが、内部で深刻な権力抗争を抱えていたものと推測される」と分析した。
5月13日付
『ハフィントンポスト』(米国)はヒョンヨンチョル人民武力相の処刑について、「北朝鮮の内政はこのところ非常に不安定に見え、北朝鮮の中枢部ではキムジョンウン第1書記に対する信頼が失われているようにも見える。現時点では、北朝鮮情勢が不安定であることを示す明確な脅威があるとまではいえないが、来年もこうした動きが続くようであれば、朝鮮半島は深刻な事態に陥っていると見なければならない」と、38ノースのアナリストであるマイケルマッデン氏の分析を紹介した。
5月13日付
『KBS』(韓国)は、「国家情報院は北朝鮮の軍序列2位のヒョンヨンチョル人民武力相が公開処刑されたことを明らかにした」と伝え、「国家情報院は今回の粛清が金正恩第1書記の恐怖政治が加速していることを示している」としながら、「幹部たちの間ではキムジョンウン第1書記の指導力について懐疑的な見方が広がっていると分析している」と報じた。
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