WHOがポリオ撲滅達成のため、ワクチンを変更(2016/04/18)
ポリオは、ウィルスによって感染する病気の一つで、小児麻痺とも呼ばれている。このウィルスに感染しても多くの場合は症状が出ないか、出たとしても風邪や胃腸炎に似た症状だけで済むことが多い。しかしながら、感染者の1000人~2000人に一人は手足に麻痺が残るという。この病気が小児麻痺と呼ばれるのは、5歳以下の小児が多く(約90%以上)感染するためであるが、成人も感染しうる病気であることがわかっている。主な感染源は患者の便から排出されるウィルスによるとされ、現在世界各地でポリオワクチンの接種が行われている。ポリオはウイルス接種によりほとんどの国で根絶されつつあり、現在はパキスタンとアフガニスタンでごく少数の患者が出ているのみである。しかしながら、患者数がたとえ少数であっても、根絶されない限りは再び流行する危険性があるため、世界保健機関(WHO)はポリオ撲滅のキャンペーンを展開してきた。そして、今週からワクチンの型を変更し、ポリオ撲滅のためのラストスパートをかけている。各メディアは次のように報じている。
4月16日付
『PBS』(米)によれば、ポリオには3つの型があり、それぞれ1型、2型、3型とされ、全ての型に対応したワクチンは3価型と呼ばれる。しかし現在2型のポリオは撲滅済みとされ、2型を含んだワクチンの接種は無意味どころか、2型のポリオの流行を引き起こす可能性を有する。そのため、2型を排除したワクチン(2価ワクチン)を世界150か国で今週から導入する予定だという。このキャンペーンはWHO、米国疾病対策センター、ビル・アンド・メリンダゲイツ財団主導で行われるという。...
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4月16日付
『PBS』(米)によれば、ポリオには3つの型があり、それぞれ1型、2型、3型とされ、全ての型に対応したワクチンは3価型と呼ばれる。しかし現在2型のポリオは撲滅済みとされ、2型を含んだワクチンの接種は無意味どころか、2型のポリオの流行を引き起こす可能性を有する。そのため、2型を排除したワクチン(2価ワクチン)を世界150か国で今週から導入する予定だという。このキャンペーンはWHO、米国疾病対策センター、ビル・アンド・メリンダゲイツ財団主導で行われるという。ポリオ患者は1988年の時点では世界125か国で35万5000人の患者がいたが、その後のWHOのワクチン接種キャンペーンにより減り続け、現在では患者数は当時の1%にまで減少しているという。WHOは1980年に天然痘撲滅を宣言して以来のポリオ撲滅宣言が目前だと意気込んでいるという。
4月15日付
『メディカル・エクスプレス』(米)では、2価ワクチンの導入のみならず、現在主流となっている生ワクチンから不活化ワクチンへの転換も行われることが取り上げられている。経口により接種される生ワクチンは、ポリオ予防の効果は高いものの、まれに接種によりポリオに感染するケースがみられるためである。
ただ、これらの2価、不活化ワクチンの導入には2型の再流行を防ぐため、世界が足並みをそろえて導入しなければならないという条件が付く。WHOの広報担当は、今回の切り替えにより、年間3億人に対する接種が行われる見込みだという。ただ、生産に手間がかかる等、様々な制約から完全移行にはもうしばらくかかるという。
同日付
『ハフィントンポスト』(米)はWHOでポリオ撲滅運動の責任者を務めるザフラン氏のコメントを載せている。「今年に入ってポリオの患者数はパキスタンとアフガニスタンで12人のみである。しかし、油断は禁物で、力を注がなければならないのはここからである。一度気を緩めれば、12人の患者が10万、20万人に膨れ上がるのはあっという間だ。今までの活動を無駄にしないためにも、ワクチンの転換は不可欠である」。
ワクチンの生産は、フランスのサノフィパスツール社や、イギリスのグラクソ・スミスクライン社が大きなシェアを占めているが、両社とも新しいワクチンの生産にはコスト、時間、手間がかかるとしている。
ポリオ撲滅運動が始まった1988年当初、ポリオは2000年までの撲滅が目標とされていた。しかし、99%の感染者削減を達成した後、最後の1%の撲滅に世界は苦労している。特に、今回名前が挙がっているパキスタンとアフガニスタンでは、政治的混乱や医療関係者に対する理解の欠如が予防接種活動の妨げになり、ポリオ撲滅に支障をきたしていることが指摘されている。特にパキスタンでの活動には高度な危険が伴うという。医療行為者は西欧諸国のスパイだと疑われ、今年の2月にテロリストから銃撃され、負傷した者もいる。また、1月にはポリオの予防接種会場のすぐそばで自爆テロが起こり、15人が死亡している。
完全な撲滅が達成されないがゆえに、2011年には10年以上ポリオ患者が出ていなかった中国で、パキスタン経由のポリオ感染が確認され、2013年にはシリアで14年ぶりにポリオ患者が発見され、ワクチン接種に多額の費用を費やしているという。
残り1%との戦いはまだまだ続く。
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ニューヨーク州が「性転向セラピー」に対する保険適用を禁止へ(2016/02/08)
ニューヨーク州知事であるクオモ氏が先週土曜日、公的・私的を問わずLGBT(レズビ
アン・ゲイ・両性愛者・心身の性の不一致)を対象とした「転向セラピー」に対して
の保険適用を禁じる意向であることが明らかとなった。「転向セラピー」とは、LGBT
に対して、その考えを改めさせるために「治療」を行うというものである。各メディ
アは以下のように報じている。
2月6日付
『ザ・ガーディアン』(英)はクオモ氏が前述の方針を、アメリカの非営利
組織「ヒューマン・ライツ・キャンペーン」から受賞することが明らかになた時点で
発表した旨報じている。クオモ氏の発表によれば、ニューヨーク州では保険の適用を
禁じるのみならず「転向セラピー」を公的機関が行うことも禁止されるという。
同氏は、ニューヨークはLGBTの権利に関して最先端の州であり「転向セラピー」は州
の立場とは相いれないものだと語っている。...
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2月6日付
『ザ・ガーディアン』(英)はクオモ氏が前述の方針を、アメリカの非営利
組織「ヒューマン・ライツ・キャンペーン」から受賞することが明らかになた時点で
発表した旨報じている。クオモ氏の発表によれば、ニューヨーク州では保険の適用を
禁じるのみならず「転向セラピー」を公的機関が行うことも禁止されるという。
同氏は、ニューヨークはLGBTの権利に関して最先端の州であり「転向セラピー」は州
の立場とは相いれないものだと語っている。
「転向セラピー」は以前から、アメリカ精神医学会からも「性的な既成概念を押し付
けるもので不適切」と批判されてきた。
同日付
『CBSニュース』(米)は今回のクオモ氏の発表を掲載しつつも、ニューヨー
ク州で「転向セラピー」がどのくらいの規模で行われているのか、クオモ氏の事務所
も精神保健局も正確な数値は把握できていないと報じている。また、国レベルでもそ
の規模の実体は掴めていない。また、同記事は、この先保険を適用しないとはいうも
のの、実際に行われたセラピーが「転向セラピー」かどうかの調査義務を支払い側が
負うのか、それとも保険申請者が負うのか疑問が残ると指摘する。
今回の発表に対しては「転向セラピー」賛成派からは、セラピーを受ける自由や信教
の自由を侵害するとの批判がなされている。
オバマ大統領は昨年、心身の性の不一致を訴えていた若者が自殺したことを受けて、
「転向セラピー」は廃止されるべきとの見解を示していた。
カリフォルニア州をはじめ、6州が「転向セラピー」を禁止しているが、コロラド州
など3州では議論があるものの禁止には至っていないという。
同日付
『ハフィントンポスト』(米)は、今回の発表により、18歳以下の若者に対す
る「転向セラピー」への保険適用が禁止されることになると報じている。また、低所
得者を対象とした医療扶助制度でも「転向セラピー」は保障の対象外となるという。
同記事によれば、21の州で「転向セラピー」廃止案が過去に検討され、または現在検
討中であるという。
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