気候も波も穏やかな3月の地中海。この地中海を渡ろうとした3隻の船が先週水曜日から相次いで転覆し、700人近くが死亡した可能性が高いことが明らかになった。難民はどこから来るのか、今回の事件が特殊なものなのか。背景について、各メディアは以下のように報じている。
5月29日付
『BBC』(英)は、先週北アフリカの国、リビアの港からイタリアに向けて出発した難民を乗せた船が水曜、木曜、金曜と相次いで転覆し、700人近い難民が溺死した可能性があると報じている。これまではアフリカや中東からヨーロッパへ渡ろうとする難民は、ギリシャを経由するのが定番だった。しかし、このルートをとることがEU、トルコの協定によって事実上不可能になったため、より規制の緩やかなリビアからイタリアを経由してヨーロッパ入りしようという難民が急増しているという。
国連難民高等弁務官事務所のサミ氏によると、水曜に転覆した船には約100人が、木曜に転覆した船には約550人が乗っていたという。金曜に転覆した船に乗船していた人数は不明だが、135人が救出され、45人の遺体が引きあげられ、行方不明者数は明らかになっていないという。木曜に転覆した船には、これだけの大人数が乗船しているにも拘わらずエンジンがついておらず、後ろから他の船に押してもらいながら進んでいた。
国境なき医師団によれば、この一連の転覆事故による死者数は、700人では収まらず、900人にのぼる可能性が高いとされる。
転覆事故の生存者はイタリアの港に一時収容されている。
同日付
『シカゴトリビューン』(米)は木曜に転覆した船の転覆の過程を伝えている。船は8時間の航海の予定で500人を乗せてリビアを出発した。イタリア警察の発表によれば、出航後ほどなくして船が浸水しはじめ、乗っていた難民らが協力してバケツを使って浸水した海水を外に汲みだす作業が行われたが、出航から一時間半後には船はほぼ完全に水没したとされる。甲板上にいた難民は海に飛び込み、甲板の下にいた300人近い難民は船と共に沈んだという。海に飛び込んだ者のうち救出されたのはわずか90人だけであった。イタリア警察も犠牲者の正確な人数を把握しきれていない。
この船を事実上操縦していた28歳の男はイタリア警察に逮捕されている。
同日付
『CNN』(米)によれば、今回転覆した一連の船に乗っていた難民は、ほとんどがソマリアやエリトリア、およびスーダンからヨーロッパに渡ろうとした者たちだという。最近は難民といえばシリアに注目が集まりがちであるが、国内情勢の不安定から逃れようとするアフリカの難民も多いのが実情だ。東アフリカのソマリアではアルシャバブ(ソマリア南部を中心に活動するイスラム勢力)が引き起こした内戦の戦火を逃れるため、北東部のエリトリアでは政府による人権侵害や無期限の兵役義務を逃れるため、北アフリカのスーダンではダルフール地方で長く続く反政府勢力と政府の内戦から逃れるため、国民は難民となってヨーロッパを目指している。
国連移住機関(スイスのジュネーブに本部を置き、世界的な人の移動を専門に扱う国際機関で、加盟国は162か国)によると、今年に入ってからだけでもヨーロッパ入りしようとした難民1475人が命を落としており、今回の一連の転覆により、その数が跳ね上がるかもしれないという。ただ、押し寄せる難民の数はこれだけにはとどまらない。イタリアの内務省は地中海では先週だけでも1万2000人がイタリアの海軍や沿岸警備隊により救出されていると発表している。
沿岸警備や救出活動にも巨額の資金が必要であり、難民流入問題はヨーロッパを苦しめ続けるだけでなく、EUの団結を脅かす問題となっている。
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アップル社のiPhone「5c」ロック解除に米司法省が成功し「アップル対FBI」の対立は一時収まりを見せたが、その後の後継機種「5s、6,6s」へのテストで、同じロック解除方法が応用出来ない事が分かったとFBI長官が大学での会議で明かした。後継機種でのロック解除が行えなければ、再びFBIがアップル社にロック解除への協力を要請する可能性が浮上しており、そうなれば、FBIが第三者とされる提供者から「購入」したハッキング技術がアップルに明かされることが懸念されると、同長官は述べている。
4 月7日付
『ロイター通信』は「アイフォン後継機種ではロック解除が無効とFBI長官」との見出しで以下のように報道している。
・FBIのジェームズ・コミー長官はサンバーナディノ銃乱射事件の犯人が使用したアイフォンのロック解除にFBIが秘密裏に成功した件で、アイフォンの後継機種ではこの方法でロック解除が使えないと述べている。水曜、オハイオ州ケニヨンカレッジでロック解除は「限られた機種に使える方法」だとした。...
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4 月7日付
『ロイター通信』は「アイフォン後継機種ではロック解除が無効とFBI長官」との見出しで以下のように報道している。
・FBIのジェームズ・コミー長官はサンバーナディノ銃乱射事件の犯人が使用したアイフォンのロック解除にFBIが秘密裏に成功した件で、アイフォンの後継機種ではこの方法でロック解除が使えないと述べている。水曜、オハイオ州ケニヨンカレッジでロック解除は「限られた機種に使える方法」だとした。同日、アップルの株価は1.3%下落。
・同じロック解除方法は、アイフォン5s、6、6sでは機能しない。2013年発売のアイフォン5c(今回ロック解除に成功)は新機種普及で生産中止となった。
・司法省は3月、当事件の犯人のアイフォンのロック解除に匿名の第三者の協力により成功したと発表し、アップル社への(ロック解除協力要請する)訴えを取り下げていた。
後継機種へ解除方法が効かないため、当局は他の事件に関与した機種にアクセスするためアップル社の協力を仰がねばならなくなる可能性がある。政府が訴えを取り下げないなら、FBIが発見したロック解除方法がアップルに明かされることになるかもしれない。当件につきアップルとFBIはコメントを出していない。
同日付米
『VOA』は「FBI:銃撃犯のアイフォン解除方法が後継機種に応用できず」との見出しで以下次のように報道している。
・FBIが再びアップルにロック解除への協力を要請する見込みが高まっている。
・司法省はニューヨーク州裁判所に薬物捜査に関わったとされるアイフォン5sのロック解除でアップルに協力要請をするよう指導しており、当件の検察側は今月11日までにアップルの協力を仰ぐか裁判所に報告することとなる。
・FBIのコメ―長官はFBIがロック解除を可能にしたアイフォンの暗号欠陥をアップルに明かせば、「アップルは欠陥を修復するだろうし、問題が振り出しにもどってしまう」と述べている。
同日付米
『ウォールストリートジャーナル』は「FBI:銃撃犯のアイフォン解除方法が後継機種に応用できず」との見出しで以下次のように報道している。
・問題となっているアイフォン機種は「5c」で、22人が死亡した銃乱射事件の犯人が事件の前に使っていた。5Cのロック解除に第三者の協力で成功したとFBIが発表し、後継機種5Sや6でも同様の方法が使えるか試していた。
・FBIのコメ―長官は、オハイオ州ケニヨンカレッジで学生にプライバシー等について会議中、「この方法は6、5Sでは応用できない」と聴衆の質問に答えた。
・木曜コメントを求められ、アップルのスポークスマンは、FBIがロック解除に成功した一報を受けた際同社が出した声明(「当局の捜査に協力し続け、ハッキングの脅威が増す中、製品の安全性を高めるよう邁進する」とした)に言及した。
・同事件の携帯ロック解除の司法対立は終結したが、政府とシリコンバレーの暗号技術を巡る対立は、他の事例を含め、広がりを見せている。2月の司法文書によると、FBIがアイフォンに関してアップルに協力を要請している事案は十数件あるという。
・多くのIT企業は司法要請による捜査にも耐えうる通信製品の開発を急いでいる。
同日付米
『シカゴトリビューン』と
『CNNマネー』は「FBIはテロ犯の携帯ロック解除ツールを購入した」との見出しで以下次のように報道している。
・FBIのコメー長官によると、FBIはテロ犯のアイフォンへのハッキングツールを購入、アップルにその方法を明かすか検討している。当長官は更なる詳細には触れていない。
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