英国政府はこの程、プロフットボール・チームを傘下に収めていたアラブ首長国連邦(UAE)出資の投資会社による英国老舗新聞社の買収計画を阻止する法案を制定しようとしている。
3月13日付
『AP通信』、
『ロイター通信』、
『AFP通信』、14日付
『ザ・タイムズ』、
『ボイス・オブ・アメリカ』は、英国政府がUAE傘下の投資会社による英国保守系老舗新聞社の買収を阻止するための法案を準備中である旨一斉に報じた。
UAE副首相のシェイク・マンスール・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン氏(53歳、2023年就任、アブダビ首長国王室の一員)は2008年、英国プレミアリーグ所属のマンチェスターシティー・プロフットボール・クラブ(1880年創設)を買収した。
これは、ロシア大富豪ロマン・アブラモビッチ氏(57歳)が2003年にチェルシー・フットボール・クラブ(1905年創設)を買収して以来の出来事であった(2022年ウクライナ軍侵攻を伴い、同氏は同年に止む無く米投資会社へ売却)。
そのシェイク・マンスール氏が率いるUAE・アブダビ首長国在のレッドバードIMIが、英国老舗新聞社『ザ・デイリィ・テレグラフ』紙(1855年創刊)を買収する動きに出た。
しかし、同紙が現保守党政権と密接な関係にあることもあって、プロフットボール・クラブ買収には何ら口を挟まなかったが、メディアの独立性や政治的な影響力を持つ資産が外資の傘下に入ること等を懸念するとして、この程、同買収を阻止するための法案制定に動き出した。
貴族院(上院に相当)のスティーブン・パーキンソン議員(40歳、2022年文化・芸術担当政務次官就任)は、“我が政府は、メディア買収の制度を修正し、新聞やその他定期刊行雑誌が外国資本によって所有されたり、影響下に置かれたりする道を排除することを明白にしていく”とコメントした。
同議員によると、今回の法改正によって、問題ありと懸念される如何なるメディア買収案件に関して、全て競争・市場庁(CMA、公正取引委員会に相当、1973年前身設立、2013年現組織設立)に調査が委ねられることになるとする。
そして、もしCMAが問題ありとの結論を出した際には、政府は当該買収案件を阻止するか、撤回させる命令を下さなければならないと規定されるという。
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