米国防総省高官:官僚主義の肥大化で米国は技術的優位を失う危機に直面していると警告(2022/04/19)
米国防総省で技術革新の推進を担当していた高官は、国防総省には「構造改革」が必要であり、民間企業として初めて有人宇宙飛行を成功させたイーロン・マスクの宇宙輸送サービス会社、スペースXのようにもっと振る舞う必要があると警告した上で辞任した。
国防総省を辞任したプレストン・ダンラップ氏は、米空軍省の最高技術革新責任者として、空軍と宇宙空軍を横断し、海軍と陸軍と協力して、空軍が将来の能力を適切に設計、開発、購入するだけでなく、より迅速に、相互運用の力を発揮して、技術開発及び取得を変革する責任を負っていた。しかし同氏は、米
『ブルームバーグ』 の取材に対し、「我々は主要な分野でビジネス界に遅れをとっており、追いつかなければならない。米国は潜在的な敵に対する技術的な優位性を失う危険性がある」と語った。...
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国防総省を辞任したプレストン・ダンラップ氏は、米空軍省の最高技術革新責任者として、空軍と宇宙空軍を横断し、海軍と陸軍と協力して、空軍が将来の能力を適切に設計、開発、購入するだけでなく、より迅速に、相互運用の力を発揮して、技術開発及び取得を変革する責任を負っていた。しかし同氏は、米
『ブルームバーグ』 の取材に対し、「我々は主要な分野でビジネス界に遅れをとっており、追いつかなければならない。米国は潜在的な敵に対する技術的な優位性を失う危険性がある」と語った。
ダンラップ氏は、米宇宙軍と米空軍で3年間務めた後、今月辞表を提出し、今後は人工衛星、データ、人工知能との接点に焦点を当てた宇宙ソフトウェア会社を立ち上げる予定だという。「国防総省は、データ、分散コンピューティング、ソフトウェア、AI、サイバーセキュリティにおいて、国内のビジネス界に遅れをとっている」と指摘している。
また、同氏がLinkedInで公開した9ページに及ぶ辞表では、「政府が何かを生み出すまでに、それが時代遅れになっていることが頻繁に起こっている。国防総省が、その無くなりかけている技術的優位性を再度発展させるつもりなら、もっと多くのことをしなければならない。皮肉なことに、これを書いているとき、ペンタゴンのITヘルプデスクで電話が不通になっているという知らせを受けた。2022年で未だに電話線がダウンするとは...」と書いている。
スペースX社やその他の革新的な企業のようになるためには、極超音速から人工知能のアルゴリズムに至るまで、最初は失敗するかもしれないテストを実施することに、政府は勇気を持たなければならないともダンラップ氏は述べている。
ダンラップ氏の辞任は、米国防総省の他の2人の技術系高官が、国防総省がテクノロジーへのアプローチを近代化するよう呼びかけ、辞任したことに続く。今月初め、国防総省の最高データ責任者を退任したデビッド・スピーク氏はブルームバーグに対し、人工知能や機械学習、量子科学などの先端技術に支えられた軍事ツールを開発する上で、敵に対抗する取り組みを加速させる必要があると述べていた。米空軍初のソフトウェア最高責任者を務めたニコラス・チェイラン氏は昨年、フィナンシャル・タイムズ紙に「米国は中国にAI競争で負けている」と語り、辞任した。
米『エポックタイムズ』 によると、チェイラン氏はダンラップ氏の退任について、「これは国防総省にとって大きな損失だ。国防総省を去る優秀な人材が多いことが、非常に気になる。国防総省全体でプレストンのような優秀な人物は他に知らない。私の後任がまだ決まっていないので、彼の後任探しも非常に難しいだろう。」と述べている。
ダンラップ氏は「政府のために、あるいは政府とともに働いたことのある人なら驚かないと思うが、私が着任したときには、予算も、権限も、ビジョンの一致も、人材も、コンピュータも、ネットワークもなかった。雨漏りする天井、壊れたカーテンはあった。状況を理解いただけただろうか。」と書いている。
米『CNBC』 は、官僚主義はウクライナ戦争にも影響を及ぼしていることを伝えている。市民団体、退役軍人、元政府関係者からなるウクライナ代表団が4月上旬、ナンシー・ペロシ下院議長を含む45人の議員、国務省、国防総省、ホワイトハウスの国家安全保障会議関係者と会談した。ウクライナの国会や検察庁と協力して活動している「ウクライナ反腐敗行動センター」のダリア・カレニク代表は、ウクライナは今、犠牲者を増やさないための軍と領土防衛部隊の武装を必要としていると述べた上で、米国の議員やバイデン政権関係者が、特定の兵器システムを納入できない理由として、物流上の問題、在庫不足、官僚的制限などを挙げて、多くの正当化理由を説明したと語った。そして、「裏庭にある母親の墓を訪ねている6歳の少年は、ウクライナに武器を届けない言い訳として、官僚主義について聞きたくはないだろう。非常事態であり、非常措置が必要とされている。官僚主義は横に置いておいてほしい。米国の大統領には大きな力があり、議会にも大きな力がある。我々はそれが可能であることを知っている」と述べた。
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中国デジタル人民元、西側諸国への唯一最大の脅威なのか(2022/04/18)
米国がこの1年でデジタル通貨に注目するようになった一方で、中国はすでにデジタル人民元を自国内で15都市目に展開している。米専門家は、中国人民元は「過去50年間における西側諸国への唯一最大の脅威だと思う。しかし、ロシアのウクライナ侵攻によって影が薄くなっている」と警告している。
米国がこの1年でデジタル通貨に注目するようになった一方で、中国はすでにデジタル人民元を自国内で15都市目に展開している。米専門家は、中国人民元は「過去50年間における西側諸国への唯一最大の脅威だと思う。しかし、ロシアのウクライナ侵攻によって影が薄くなっている」と警告している。
米
『ビジネス・インサイダー』 によると、2021年後半、デジタル元は80億ドル(約1兆円)以上の取引額を記録した。中国は、電子商取引プラットフォームのアリババとテンセントの成功を受けて、2014年にデジタル通貨の開発に着手していた。
人民元のデジタル化に向けた動きは、中国政府が資本規制を強化しようとしていることを示唆しているが、専門家によれば、ドルが世界的に支配的であるため、中国の中央銀行デジタル通貨が台頭する脅威を最小限に抑えることができるという。...
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米
『ビジネス・インサイダー』 によると、2021年後半、デジタル元は80億ドル(約1兆円)以上の取引額を記録した。中国は、電子商取引プラットフォームのアリババとテンセントの成功を受けて、2014年にデジタル通貨の開発に着手していた。
人民元のデジタル化に向けた動きは、中国政府が資本規制を強化しようとしていることを示唆しているが、専門家によれば、ドルが世界的に支配的であるため、中国の中央銀行デジタル通貨が台頭する脅威を最小限に抑えることができるという。ボストンカレッジの経済学者で副学部長のアレクサンダー・トミック氏は『ビジネス・インサイダー』 の取材に対し、「デジタル人民元は必ずしもドルを置き換えるためのものではなく、中国政府が国内の資金の流れをより把握できるようにするためのものだろう」と述べた。
中国人民銀行は今月、デジタル人民元をさらに広州、杭州、天津、重慶の4都市で推進すると発表した。トミック氏によれば、ほとんどの取引はAlipayやWeChat Payといった民間の決済会社を通じて行われているが、デジタル人民元の利用が拡大すれば、この状況は変わる可能性があるという。
サウスチャイナモーニング・ポスト紙は、現在、中国中央銀行は、銀行、テクノロジー企業、地方公共団体がこの通貨を採用するためのインセンティブの開発に取り組んでいると報じている。トミック氏は、中国では、政治的な反対意見が制限されているため、米国よりも迅速に新しい決済手段を開発することができるだけでなく、論争を引き起こすような、あるいは不人気となりうるような決定を、より少ない公開討論で行うことができるという点で有利であると指摘している。重要なのは、もし中国がデジタル人民元を完全に導入できれば、将来の経済制裁に対する盾として機能する可能性があるということだ。
ヘッジファンドマネージャーのカイル・バス氏は米『エポックタイムズ』 に対して、デジタル人民元は、「過去50年間における西側諸国への唯一最大の脅威だと思う。しかしその脅威はロシアのウクライナ侵攻によって影が薄くなっている」と警告している。
中国のデジタル通貨はこれまで、中国の20以上の異なる都市でパイロットテストが実施されており、2022年の北京冬季オリンピックでは、初めてモバイルアプリを通じて訪日外国人が利用できるようになった。バス氏は、「これは単純なデジタル決済アプリではありません。これは、あなたがどこにいるのか、あなたの名前は何か、社会保障番号は何か、そしてあなたのすべての識別子を追跡するアプリになります。地理的位置特定機能も備えているのです」と指摘している。
バス氏はまた、中国のデジタルマネーの開発が完了し、中国国外の誰もが利用できるようになれば、中国政権は経済的に困っている人など、特定のデジタル元利用者を探し出し、彼らに影響力を行使する可能性があると述べた。「中国政府がアメリカやヨーロッパ、カナダの一般の人々すべてにアクセスできたとしたら、どうでしょう。例えばもし、アルゴリズムを実行し、出会いアプリのTinderを利用している米国政府の職員で、お金に困っている人を探しだしたとすれば、すぐに影響力を行使して堕落させることができます。これは国家安全保障上の問題です。つまり、デジタル権威主義を輸出するのです。」と説明している。
さらに、「中国が決済する世界取引の約87%はドルで決済されています。エネルギーも食料も原材料も不足し、毎日世界中に買いに行かなければならないのに、自国の通貨は信用されず、資本勘定も閉ざされたままです。そのためにドルを使わなければならないのです」。バス氏は、中国のデジタル人民元の世界展開は、米ドルへの依存度を下げるという非常に具体的な意図があると指摘している。
ワシントンのシンクタンク、アトランティック・カウンシルの調査によると、米国を含む世界の80カ国以上が中央銀行デジタル通貨の発行を検討している。今のところナイジェリアが、自国通貨のデジタル形式を開始した9カ国のうちの1つとなっている。米国は3月、デジタル資産に関する大統領令の概要を発表した。バイデン大統領は、米国のCBDCの研究開発を「緊急課題」としており、その発行は「国益に適う」と判断した。
米『CNBC』 は、「Cashless: China’s Digital Currency Revolution」の著者であるリチャード・ターリン氏が、中国のデジタル人民元は、今後10年間で国際貿易決済におけるドルの支配に挑戦することになると主張していることを伝えている。「中国は最大の貿易国であり、中国から物を買うときには、デジタル人民元が徐々にドルに取って代わるのを見ることになるだろう」と語っている。
元銀行員でフィンテックの分野にも携わってきたターリン氏は、「5~10年先まで考えると、デジタル人民元は国際貿易におけるドルの使用量を減らす上で重要な役割を果たすことができるだろう」と述べた。代替決済システムへの移行は、各国が現在の「ほぼ100%」ドルに依存している状態を解消したいという願望から生まれる可能性が高いという。「将来的には、ドルへの依存度を100%から80%、85%へと、ゆっくりと、そしてほんの少しだけ下げようとするロールバック、リスクマネジメントが行われるだろう」と指摘している。
世界第2位の経済大国である中国は、現在「あらゆる金融技術で10年先を行っている」という。一方、米国は潜在的なデジタル・ドルのための計画と試験から脱するだけでも「あと5年は簡単にかかる」という。
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