米世論調査、米国人はウクライナ・ロシア紛争への米国の関与に消極的な姿勢(2022/02/24)
シカゴ大学の研究機関が行った最新世論調査によると、アメリカ国民の多くはロシア・ウクライナ紛争において、米国が主要な役割を果たすことをあまり支持しておらず、むしろインフレや犯罪率の上昇など国内問題の解決を優先してほしいと思っていることが判明した。
『AP通信』によるとバイデン大統領は、東ヨーロッパでの戦争がアメリカ人に影響を与える可能性が高まっていることを認めた一方で、ウクライナへの軍隊派遣は否定している。米国では短期的にガス価格が上昇する可能性があり、ロシアのプーチン大統領は、米国の重要なインフラや産業を攻撃するサイバー攻撃など、さまざまな報復手段を持っている。
バイデン大統領は22日、「自由を守ることは、米国内でも犠牲を払うことになる。...
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『AP通信』によるとバイデン大統領は、東ヨーロッパでの戦争がアメリカ人に影響を与える可能性が高まっていることを認めた一方で、ウクライナへの軍隊派遣は否定している。米国では短期的にガス価格が上昇する可能性があり、ロシアのプーチン大統領は、米国の重要なインフラや産業を攻撃するサイバー攻撃など、さまざまな報復手段を持っている。
バイデン大統領は22日、「自由を守ることは、米国内でも犠牲を払うことになる。我々はそのことを正直に話す必要がある。」と述べた。しかし、2月18日から21日にかけて行われた世論調査によると、米国がこの紛争で主要な役割を果たすべきだと答えたのは、わずか26%だった。52%は「小さな役割」を望むと回答、20%は「全く関与しないでほしい」と答えた。
与党である民主党は共和党よりも、米国が紛争に大きな役割を果たすべきだと考えており、32%対22%であった。全体として、アメリカ人の43%がバイデンの対ロシア関係への対応を指示しているものの、昨年6月の49%から減少している。ただし、ロシアの世界的な影響力が米国にとって脅威となることを「非常に懸念する」「非常に懸念する」と答えた人は53%で、2021年8月の45%から上昇した。
イリノイ州のシカゴに住む3人の子どもを育てているジェニファー・ラウさんは、ここ数日、ニュースがウクライナ危機ばかりを扱っていることにうんざりしている。ラウさんは、「シカゴには、報道されるべきことが他にもある」と述べており、「シカゴでは毎日戦争が起きているような気がする。本当に怖い。でも、誰も私たちを助けてくれないような気がする」と嘆いている。無党派であるラウさんは、米国が金儲けのために外国の戦争に巻き込まれると考えており、むしろ、シカゴの犯罪の増加、銃の蔓延、人種差別に対して取り組んでほしいと思っている。
定年退職しているテネシー州のエドワード・エラーさんは、バイデン政権は石油価格の引き下げに注力する必要があると語っている。「政府は、私たちが何の関係もない戦争を止めるために、私たちの何百万ドルも使おうとしている。混乱に巻き込まれたことは残念だが、我々の問題ではない」と述べている。
なお、この世論調査では、アメリカ人が自国の情報機関に懐疑心を持っていることも明らかになった。情報機関に「大きな信頼を寄せている」と答えたのは23%にとどまった。52%が「ある程度信頼している」、24%が「信頼していない」と答えた。
一方、米国にとって、ロシアのサイバー戦争能力が最大の脅威となっている。これまでにもロシアからのサイバー攻撃により、病院のサービスが停止したり、政府機関のサーバーに侵入されたりしたことがあった。また、ロシアを拠点とするハッカー集団によるパイプラインへのランサムウェア攻撃で、東海岸の多くのガソリンスタンドが一時的に閉鎖されたこともある。
サイバー攻撃を懸念しているのは米国だけではない。豪『news.com.au』と米『エポックタイムズ』によると、サイバー専門家たちは、オーストラリア政府がロシアに対して制裁措置を発表したことを受けて、オーストラリア企業にロシアのハッカーからの報復の可能性に備えるよう警告している。
ロイヤルメルボルン工科大学のサイバーセキュリティ研究センター長であるマット・ウォーレン教授は、サイバー攻撃は「力の誇示」の一形態であり、「オーストラリアの政治姿勢を罰する」ために展開されるだろうと述べている。「これらの攻撃は、オーストラリア社会のあらゆる側面に影響を与える可能性があり、この規模のサイバー攻撃から保護するオーストラリアの能力が試されるだろう」と警告している。
サイバーセキュリティの第一人者で元シリコンバレーの起業家であるローレンス・パトリック氏は、オーストラリアが直面している脅威は、物理的に何千キロも離れているにもかかわらず、今や非常に現実的なものになっていると語っている。「オーストラリアは米国の最強、かつ最古の、最も重要な軍事同盟国である。したがって、米国とロシアの間で紛争が発生した場合、オーストラリアは間違いなくその影響を受けることになる。」と述べており、特に病院、学校、企業、非営利団体などの「ソフトターゲット」を攻撃する計画である可能性が高いと指摘している。
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カナダ議会、緊急事態法を承認(2022/02/22)
カナダ議会下院は21日、トルドー首相がワクチン接種の義務化に抗議するトラック運転手を中心としたデモを制圧するために発動した緊急事態法を、185対151で承認した。一方、首都オタワの市長は、牽引されたデモ参加者のトラックを売却し、過去3週間の抗議活動で発生した市の経費を賄うことを望んでいることを明らかにした。
『ロイター通信』によると、カナダの議会は21日、カナダ各地から集まった人々が3週間以上にわたって行っていた抗議行動を終わらせるために、めったに使われることのない緊急事態法を発動したトルドー首相の決定を支持した。緊急事態法は、議会で185対151と、少数派の与党自由党が左派の新民主党の支持を得たことで承認された。この法律によって、カナダ当局はより広い権限を与えられた。警察は2日間かけてオタワ市内からデモ参加者を排除し、191人を逮捕し、79台の車を没収した。...
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『ロイター通信』によると、カナダの議会は21日、カナダ各地から集まった人々が3週間以上にわたって行っていた抗議行動を終わらせるために、めったに使われることのない緊急事態法を発動したトルドー首相の決定を支持した。緊急事態法は、議会で185対151と、少数派の与党自由党が左派の新民主党の支持を得たことで承認された。この法律によって、カナダ当局はより広い権限を与えられた。警察は2日間かけてオタワ市内からデモ参加者を排除し、191人を逮捕し、79台の車を没収した。
トルドー首相が1週間前に発表したこの特別措置は、一部の野党政治家からは不必要であり、権力の乱用であると非難されている。ディーン・アリソン議員は、デモ参加者に対する「権威主義的な軍隊式措置」だと断罪した。同法は3月中旬まで有効となる。
こうした中、米『エポックタイムズ』によると、首都オタワの市長が緊急事態法により没収したトラックを売却する権限があるとして、それを利用する意向があることを明らかにした。市長は、「我々には車を没収し、売却する権限を持っている。車が売却されるのを見たい。地域社会に不満や怒りを与えてきた人たちに、返却したくはない」と語っている。
一方、フリーダム・コンボイのスポークスマン、トム・マラッツォ氏は19日に記者会見を開き、「私がここに来て3週間、一度も暴力はありませんでした。被害はありませんでした」と述べ、デモ参加者が地元のお店を支援できるように営業再開を市に要請してみたものの、成功しなかったと語った。また、車のクラクションの騒音について謝罪し、デモ参加者はすべてのカナダ人の権利と自由を守るためにいたことを指摘した。
トルドー首相は21日の記者会見で、オタワからデモ隊がほぼいなくなっているものの、緊急事態法を継続させることを明らかにした。英『デイリーメイル』によると、当局はすでに、緊急事態法で認められた権限により、206の銀行口座を凍結しているという。カナダ保守党のマーク・ストラール議員は、最低賃金の仕事をしているシングルマザーがフリーダム・コンボイに50ドル(約5千円)を寄付した後、その銀行口座が凍結されたことを報告している。同議員は、口座が凍結されたことで、何人もの一般人が食料や生活必需品を買うことができなくなるという懸念があると指摘している。
英『エコノミスト』は、トラック運転手に対するワクチン義務化は「カナダ政府は正しい」と伝えている一方で、「トラック運転手は反対意見を表明するあらゆる権利がある」とも述べている。そして、「賢明な政府なら、運転手らの声に耳を傾け、丁寧に対応し、彼らの不満を真剣に受け止め、忍耐強く、当面はワクチン規制が必要である理由を説明するだろう。トルドー首相その逆を行った。まず、彼らとの面会を拒否した。そして、抗議者のうち何人かが偏見を持つ人たちであるように見えることを利用して、反ユダヤ主義、イスラム恐怖症、反黒人人種差別、同性愛嫌悪、トランスフォビアが繰り広げられたと非難し」抗議者全員が非常識な人達であるかのように表現してきたと指摘している。
さらに、『エコノミスト』は、カナダの人権法廷がヘイトスピーチをした者に罰金を科す権限を与える可能性や、個人が、将来ヘイトスピーチをしそうな者に対して先制して法的訴えを起こせるようにするなど、「すでに自由度の低いカナダのヘイトスピーチ法に二つの懸念すべき変更を加えようとしている」とトルドー政権を非難している。「カナダの法律はすでに厳しいが、非自由主義的な左派はさらに厳しくすることを望んでいる。改正案は、左派が不快に思う意見を持っているというだけで、非自由主義活動家に、宗教を持っている保守の人々、伝統的フェミニスト、その他多くの人に嫌がらせをする法的手段を与えるだろう。さらに悪いことに、話す前に口封じされることもあり得るのだ。カナダはまだ険悪な社会でも、激しく分裂した社会でもない。もしトルドーがその状態を維持したいのであれば、カナダ人の考えを取り締まろうとするのをやめるべきだ」と非難している。
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