【Globali】
アボット豪首相が退陣、ターンブル氏が新首相へ(2015/09/15)
9月14日に実施されたオーストラリアの自由党党首選挙でマルコム・ターンブル氏が勝利し、新首相に就任することが決まった。景気後退が鮮明となっっている状況のなかで、同氏の手腕に注目が集まっている。
9月14日付
『ニューヨークタイムズ』紙は、マルコム・ターンブル氏がオーストラリア自由党党首選挙でトニー・アボット氏を破り、首相に就任することになったと報じた。ターンブル氏は60歳の自由党穏健派で、同性婚支持者である。同氏は、自由党党首として最初の記者会見で、「オーストラリアは直面している困難を受け止め、混乱の中にある少ない好機を摑まなければならない」と述べた。オーストラリアの経済成長は、これまで平均3.25%で推移してきたが約2%まで減速している。...
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9月14日付
『ニューヨークタイムズ』紙は、マルコム・ターンブル氏がオーストラリア自由党党首選挙でトニー・アボット氏を破り、首相に就任することになったと報じた。ターンブル氏は60歳の自由党穏健派で、同性婚支持者である。同氏は、自由党党首として最初の記者会見で、「オーストラリアは直面している困難を受け止め、混乱の中にある少ない好機を摑まなければならない」と述べた。オーストラリアの経済成長は、これまで平均3.25%で推移してきたが約2%まで減速している。鉄鉱石や石炭などのエネルギー鉱物資源の輸出価格が急落したことにより税収が落ち込でおり、24年来の不況に陥るのではないかと懸念されている。オーストラリアでは、従来から労働党より自由党のほうが経済運営は上手であるとされてきたが、ターンブル氏は「政府は国民が望む経済面での指導性を発揮できなかったことは明らかであり、これは各担当大臣の問題ではなくアボット首相に責任がある」と述べている。
9月14日付
『ロイター通信』によると、1.5兆ドルのオーストラリア経済が100年に一度の鉱物資源ブームが終わり行き詰った結果、アボット氏の人気はここ数ヵ月大きく落ち込み、首相の座を追われることになった。ターンブル氏は、2009年に自由党党首の地位をアボット氏に奪われたが、その後も首相の適任者と期待されていた。ただ、同氏は炭素排出権取引制度、同性婚、豪州共和制を支持しているため、与党右派からは反感を買っている。野党労働党は新首相となるターンブル氏に対し、「シドニー湾のピンクの豪邸に住む庶民感覚に欠けた億万長者」と揶揄している。今回の首相交代はオーストラリアの政治的不安定を表しており、ここ数年間、政界が舞台裏での権力闘争で揺れ動いた結果、国民や産業界の政府に対する信頼は揺らいでいる。
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『タイム』は、オーストラリアの突然の政変劇は同国の政治を混乱させているが、中国の景気減速の影響はさらに大きな問題であり、新首相が経済を立て直すことは無理だろうと論評している。新首相となるターンブル氏は、元投資銀行家でオーストラリアのビジネスエリートの間で強く支持されており、イデオロギーではなく実利的な政権運営をおこなうと表明している。ターンブル氏にとって不運なことは、オーストラリアの景気後退は国内経済政策の失敗によるものではなく、中国にその原因がある。オーストラリアの鉄鉱石やその他の汎用品を輸入する中国経済は予想を超える勢いで減速している。2009年以降、中国はオーストラリアにとって最大の輸出国であり、同国の2013年以降の輸出増加のうち80%を占めている。中国の経済改革が成長鈍化させるにつれて、オーストラの経済的打撃も大きくなっており、首相としてできることは限られていると報じている。
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