米自動車大手フォード・モーターは10日、欧州で数千人の人員削減、工場閉鎖や複数モデルの製造終了などの生産体制の見直しを実施する方針を発表した。ドイツのフォルクスワーゲン(VW)との提携拡大の観測が流れる中、大規模な事業の再編に取り組む。
『CNN』『ロイター通信』『BBC』などが報じた、フォードの欧州事業立て直しの諸施策は、同社が進める世界規模の再編計画の一環であり、同社はこの計画に今後3~5年で110億ドル(約1兆1,900億円)を費やす。欧州フォードのスティーブン・アームストロング社長は、「欧州事業を転換させるため、断固たる行動を取る。」と声明で述べた。
フォードは欧州に約5万3,000人の人員を抱えているが、数千人を削減、採算性の悪い複数モデルの生産を終了し、ロシアなど困難な市場での対応に戦略の力点を移す。...
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『CNN』『ロイター通信』『BBC』などが報じた、フォードの欧州事業立て直しの諸施策は、同社が進める世界規模の再編計画の一環であり、同社はこの計画に今後3~5年で110億ドル(約1兆1,900億円)を費やす。欧州フォードのスティーブン・アームストロング社長は、「欧州事業を転換させるため、断固たる行動を取る。」と声明で述べた。
フォードは欧州に約5万3,000人の人員を抱えているが、数千人を削減、採算性の悪い複数モデルの生産を終了し、ロシアなど困難な市場での対応に戦略の力点を移す。フランス・ボルドーのトランスミッション工場の閉鎖に踏み切ることとし、ドイツ・ザールルイの工場で生産中の小型車C-MAXの生産中止について、労働組合との交渉を開始した。
フォードの米国での売り上げや収益性は順調であるが、中国では競合他社に大きく後れを取り、欧州や中南米でも苦戦を続ける。2018年1~9月に同社の欧州事業は、1億9,900万ドル(約216億円)の赤字となり、前年同期の2億7,800万ドル(約301億円)の黒字から一転して業績が大きく悪化した。2018年は通期で赤字を計上する見込みである。
同社は英国に2つのエンジン工場を持つが、欧州連合(EU)からの離脱は、サプライチェーンや貿易の障害となり得る不確定要素だ。合意なき離脱となった場合には、想定している欧州との貿易は無関税という前提がくずれ、再編計画を見直す必要があるという。
自動車業界世界最大手であり、欧州でも支配的な力を持つVWとフォードが、自動運転車などの技術開発で提携するとの観測がアナリストらの間に流れている。今のところ、両社が可能性を認めた提携は商業車分野のものだけだ。しかし、フォードのボブ・シャンクス最高財務責任者(CFO)は昨年、両社の協議している分野は広く、特定の技術、製品、地域などに限定されないとブルームバーグに語っていた。
競合他社では、米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)が、2017年に欧州から撤退し、独オペルなどの欧州事業を、プジョーやシトロエンのブランドで車を生産・販売するフランスのグループPSAに売却した。また、英最大手のジャガーランドローバーは10日、コスト削減の一環で4万2,500人中4,500人の人員削減を行うことを発表した。
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