8月15日に行われた、戦後73年となる戦没者追悼式において、“深い悔恨”を繰り返された天皇陛下のお言葉に、米メディアは、昭和天皇の名の下に引き起こされた戦争に対する深い反省の気持ちが込められていると称賛した。しかし、安倍晋三首相の挨拶では、依然アジア諸国への加害責任に触れておらず、中国メディアからは、歴史にきちんと向き合う必要があると厳しい指摘が為されている。
8月16日付米
『ワシントン・ポスト』紙(
『AP通信』配信):「日本の天皇陛下、父君の名の下に行われた戦争の評価変更に努力」
明仁天皇は8月15日、戦後73年を迎える終戦記念日の戦没者追悼式において、今上天皇として最後のご挨拶を行った。
天皇在位30年で常に心掛けられたのは、父君である昭和天皇の名の下で引き起こされた先の大戦への評価の変更である。
すなわち、陛下は“深い悔恨”の言葉とともに、旧日本軍によって占領されたフィリピンや他のアジア諸国を訪れ、追悼の念と平和への誓いを述べられてきているからである。...
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8月16日付米
『ワシントン・ポスト』紙(
『AP通信』配信):「日本の天皇陛下、父君の名の下に行われた戦争の評価変更に努力」
明仁天皇は8月15日、戦後73年を迎える終戦記念日の戦没者追悼式において、今上天皇として最後のご挨拶を行った。
天皇在位30年で常に心掛けられたのは、父君である昭和天皇の名の下で引き起こされた先の大戦への評価の変更である。
すなわち、陛下は“深い悔恨”の言葉とともに、旧日本軍によって占領されたフィリピンや他のアジア諸国を訪れ、追悼の念と平和への誓いを述べられてきているからである。
陛下のお言葉は、しばしば安倍晋三首相の挨拶の内容と比較される。何故なら、2012年12月に政権を執って以来、同首相は、不戦の誓いが含まれた日本国憲法の改正や、防衛力の増強等に注力してきているからである。
天皇陛下は、直接的な謝罪の言葉は述べられていないが、毎年、“深い反省”との言及で、先の大戦に対する悔恨の思いを更に強く表現されている。
一方、安倍首相の方は、過去への振り返りについて、長々と述べることは止めようとしている姿勢が覗える。
なお、来年に父君の明仁天皇から引き継ぐ徳仁皇太子は、平和主義者の父君と概ね同じ言葉を発せられているが、戦後生まれの新天皇として、若い世代の人たちへどのように平和を訴えていこうとされるのか、まだ判っていない。
一方、同日付中国『環球時報』(『新華社通信』配信):「第二次大戦で降伏後73年を迎えて、明仁天皇は“深い悔恨”と繰り返す」
降伏後73年を迎えて、明仁天皇は今年も“深い悔恨”の言葉を用いて、二度と悲惨な戦争を繰り返さないとの思いを述べられた。
一方、安倍首相は、戦争の惨禍を繰り返さないとは述べているが、2012年に就任以来、一貫して(アジア諸国への)加害の反省という言葉は避けてきている。
日本の歴代首相は、1994年の村山富一首相が初めて述べた、日本国としてのアジア他国の被害について“反省”という言葉を踏襲してきている。
従って、天皇陛下の言葉を持ち出すまでもなく、日本の為政者には、歴史の事実にきちんと向き合い、反省することが求められる。これなくして、日本が、他国から平和主義の国として評価され、信頼されることはないであろう。
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