シンガポールのコロナ対策、政府が政策大転換(2021/06/30)
世界で最も新型コロナウイルス感染症の対策に成功しているシンガポールが、国内でのコロナ対策の方針を根本的に変えると発表した。
豪
『News.com.au』と
『ロイター通信』によると、シンガポール当局は、新型コロナウイルス感染症を「根絶することはできないが、インフルエンザや水疱瘡のようなはるかに脅威の少ないものに変えて、生活を続けることはできる」として、近々、新型コロナウイルス感染症をインフルエンザなどと同様に扱うことを発表した。
シンガポール政府は、感染者ゼロという目標をなくし、入国者の検疫も廃止する。濃厚接触者の自主隔離の義務もなくなる。...
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豪
『News.com.au』と
『ロイター通信』によると、シンガポール当局は、新型コロナウイルス感染症を「根絶することはできないが、インフルエンザや水疱瘡のようなはるかに脅威の少ないものに変えて、生活を続けることはできる」として、近々、新型コロナウイルス感染症をインフルエンザなどと同様に扱うことを発表した。
シンガポール政府は、感染者ゼロという目標をなくし、入国者の検疫も廃止する。濃厚接触者の自主隔離の義務もなくなる。また、毎日の陽性者数の発表を行わず、重症化の数だけ追っていく方針だ。
多くの国と同様、シンガポールは昨年4月中旬に1日600人の新規陽性者を記録し、ピークをむかえた。その後、8月にも小規模な流行があったが、それ以降は、流行を抑えることができている。それでも、人口570万人の国で、毎日20~30人の新規陽性者が出ている。これまでに35名が死亡している。
しかし、シンガポール当局は、「毎年、多くの人がインフルエンザにかかるが、圧倒的多数は入院の必要もなく、ほとんど薬も飲まずに回復している。しかし、少数の人、特に高齢者や合併症のある人が重症化し、亡くなる場合がある。コロナを根絶することはできないが、コロナウイルスをインフルエンザや水疱瘡のような、はるかに脅威の少ないものに変えて、生活を続けることはできる」という見解を示した。
ただし、コロナとうまく共存するためにはワクチン接種の徹底を条件としている。シンガポールでは、数週間以内に住民の3分の2が少なくともワクチン1回目(ファイザー製、またはモデルナ製)を接種し、8月初旬までに3分の2が2回目を受け終わる見通しとなっている。シンガポールでは、2回の予防接種を受けた後に感染するケースが報告されているものの、重症化した人は出ていないという。
検査も、より簡単で迅速なものに移行する方針だ。当局は、不快なPCR検査に代わり、自宅で行うことができる簡易検査に変えていくことを計画している。そして、人を隔離するための検査ではなく、イベントや社会活動、海外旅行などを安全に行うための検査として位置づけていく方針だ。
シンガポール紙『ストレーツ・タイムズ』によると、ワクチン接種率が高いイスラエルでは、すべての年齢層において、ワクチン接種を終了した人の入院率は1日10万人あたり0.3人、死亡率は10万人あたり0.1人となっているが、2018/19年の米国におけるインフルエンザによる入院率は1日10万人当たり0.4人、死亡率は1日10万人当たり0.03人だった。2017/18年のようなインフルエンザが大流行した年は、入院率は0.67人、死亡率は0.05人だった。国民の接種が進んでいるイスラエルでは、新型コロナウイルスは季節性インフルエンザに近いものになりつつある。
シンガポールの貿易相、財務相、そして保健相は、ストレーツ・タイムズの社説で、「悪いニュースは、コロナがなくなることはないかもしれないということ。良いニュースは、日常生活の中にコロナウイルスがあっても、普通に暮らせるということだ」と述べている。シンガポールは、「新型コロナウイルスとともに生きる」という「ニューノーマル」に方針を転換していく。
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オーストラリア連邦政府、ビクトリア州政府が中国と締結した一帯一路協定を無効に(2021/04/22)
オーストラリアのペイン外相は21日、ビクトリア州と中国との間で締結された2つの協定をオーストラリアの外交政策と相容れない、あるいは外交関係に好ましくないと判断して取り消したことを声明で発表した。この決定はオーストラリアと中国との間のすでに緊張した外交関係をさらに悪化させる恐れがある。
仏金融紙
『レゼコー』によると、オーストラリア連邦議会は昨年2月、オーストラリアの州、地方自治体、そして大学が、外国政府との間で締結した協定は、国益に反すると判断された場合、連邦政府がこれを覆したり取り消したりすることができるという法案を可決した。
連邦政府はこの「外国関係法」を今回初めて適用し、ビクトリア州の労働党政府が、中国、シリア、イランと結んだ合計4つの協定を無効にしたと発表した。...
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仏金融紙
『レゼコー』によると、オーストラリア連邦議会は昨年2月、オーストラリアの州、地方自治体、そして大学が、外国政府との間で締結した協定は、国益に反すると判断された場合、連邦政府がこれを覆したり取り消したりすることができるという法案を可決した。
連邦政府はこの「外国関係法」を今回初めて適用し、ビクトリア州の労働党政府が、中国、シリア、イランと結んだ合計4つの協定を無効にしたと発表した。中でも、中国当局と2018年と2019年に締結した2つの協定の無効化は、巨大な「一帯一路」構想に関わるものであるため、中国政府が猛烈に反発している。
豪ニュースサイト『News.com.au』によると、ペイン外相は無効化の理由として「これら4つの協定は、2020年の外国関係法に基づいたオーストラリアの外交政策と一致していないか、外交関係に不利益を及ぼすもの」と判断したためだと説明した。外相は、「本法律の下でこれまでの外国との取り決めを引き続き検討していく。圧倒的に多くの協定は影響を受けないと見ている。外国関係法の適用に置いて、州、準州、大学、地方自治体との継続的な協力が出来ていることを喜ばしく思っている。」と述べた。
今回の発表に対し、在オーストラリア中国大使館は声明を出し、「一帯一路構想の枠組み内での協力に関する覚書および中国側とビクトリア州政府との間の関連する枠組み合意を取り消す、というオーストラリア外相の発表に強い不快感と断固たる反対の意」を表明した。また、「中国に対する更なる理不尽で挑発的な動きである。オーストラリア政府が中国とオーストラリアの関係を改善することに誠意を持っていないことを示している。これは二国間関係にさらなる損害をもたらし、更には傷つけることになるだけだろう。」と非難した。
アメリカの中国系メディア『エポックタイムズ』によると、ペイン外相は、今回約1,000件の取り決めを精査し、4つの協定がオーストラリアの外交政策と整合性がないとして無効化されたのであり、中国だけを狙ったものではないと説明している。
以前はビクトリア州首相が一帯一路構想に署名することを支持していた前労働党党首のビル・ショーテン氏も22日、オーストラリアのニュース番組で「我々が政府にいたとしても、この協定には署名しなかっただろう」と語り、モリソン政権が正しい判断をしたと同意を表明した。また、オーストラリアの中国に対する依存度が高まっていることを指摘し、連邦政府がオーストラリア各州と対中国との関係において主導権を握る必要があると述べた。そして、貿易相手の多様化の必要性を主張した。
今回破棄された残り2つの協定は、1つは、2004年にビクトリア州の教育省とイランの政府機関との間で締結されたもので、もう一つは、1999年にシリアと締結した科学協力協定である。
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