オバマ大統領、大西洋沿岸での石油、ガスの掘削権の不許可を決定(2016/03/18)
オバマ大統領がバージニア州やノースカロライナ州といったアメリカ大西洋沖での石油・ガスの掘削を許可するかどうかが、大統領選の候補者らが打ち出す方針とともに関心を集めてきた。当該地域の共和党の政治家らは掘削の許可に賛成し、民主党のクリントン氏やサンダース氏は反対の意見を表明している。オバマ現政権が出した答えは掘削の不許可だった。今後この問題への関心は、共和党支持、民主党支持のポイントともなり得ることから注目されている。各メディアは以下のように報じている。
3月15日付
『USAトゥデイ』(米)は今回のオバマ大統領の決断は石油会社や環境団体のみならず、地域住民やアメリカ海軍からも関心を集めていたと報じる。掘削が本格化すれば、軍事演習などとの兼ね合いも生じるからである。今回の決定は石油会社関係者から反対の意見が、環境団体や地域住民からは賛成の意が表明されている。
このところ原油価格は下落傾向にあった。2014年後半の価格から、現在は約70%近く落ち込んでいる。...
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3月15日付
『USAトゥデイ』(米)は今回のオバマ大統領の決断は石油会社や環境団体のみならず、地域住民やアメリカ海軍からも関心を集めていたと報じる。掘削が本格化すれば、軍事演習などとの兼ね合いも生じるからである。今回の決定は石油会社関係者から反対の意見が、環境団体や地域住民からは賛成の意が表明されている。
このところ原油価格は下落傾向にあった。2014年後半の価格から、現在は約70%近く落ち込んでいる。このため設備投資の動きも鈍っていた。これに加えて環境問題への取り組みは喫緊の課題であり、二酸化炭素の排出削減という目標からすれば、今回の決定は妥当なものともいえる。
インディアナ州ノートルダム大学のフーバー教授は今回の決定は最近の政府の環境問題への取り組みからすれば当然の流れとする。政府は石炭の掘削も近年削減しており、クリーンエネルギーに重点を置いた政策が主流になるのは必然だという。「昨年11月に、カナダで掘削された原油をメキシコに輸送するキーストーンXLパイプラインも認可されておらず、原油産業は縮小傾向だ」。
今回の決定に対し米国石油協会会長であるジェラルド氏は雇用の促進、税収の増加、経済発展の観点から大変遺憾とコメントしている。
同日付
『IBタイムズ』(米)は今回の政府の決定に至った理由とプロセスを報じる。同記事によれば、米国内務省の出したデータでは、今回問題となっていた地域での掘削を不許可にしたとしても、アメリカの産油量は0.1%の減産にしかならず、影響は極めて小さいと見込まれているという。また、内務省は昨年20以上の市民集会を開催し、一般市民をはじめ、経済団体、エネルギー関連会社、地元政治家など様々な立場からの意見を集めてきた。これらを総合的に判断したところ、大西洋沿岸での掘削に反対する意見が圧倒的だったのだという。特に2010年に起きたメキシコ湾原油流出事故と同じようなことが起きるのではないかと心配する声が多かったとされる。
今回の決定には貿易保護団体NOIAの広報担当であるナイ氏から、アメリカの長期的エネルギー政策に対する懸念の声が寄せられている。同氏によれば、世界の人口増加に伴うエネルギー需要は増加傾向にあり、今後経済活動がより活発化することを鑑みれば、石油やガスの増産は必要であるという。「2021年に予測される状況から判断すると、今年から石油の増産体制に入ることが望ましい」。
環境団体は今回の決定に喜びの声を上げているが、喜んでばかりもいられない。政府はメキシコ湾やチュクチ海、ビューフォート海、クック湾といった北極海での3つのエリアでの掘削を2017年から2022年にかけて検討する方針を打ち出しているのである。特に北極海での掘削権はアメリカ政府は半年ほど前に、ロイヤルダッチシェル社らに不許可の決定を下しており、注目を集めている。
3月16日付
『ABC』(米)はオバマ大統領が、任期最後の年に「環境面で伝説を残した」としながらも、大西洋沿岸での掘削の問題はこれで終わりというわけではなく、今後は大統領選に絡んで大いに問題になり得ると指摘する。前述の通り、民主党の両候補者は掘削に反対であり、共和党は掘削賛成の意見を表明している。場所もアメリカ本土沿岸ということもあり、人々の大きな関心を集めることになりそうだ。
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年俸3000万円で年3か月の休暇、それでもニュージーランドに医師は来ず(2016/02/24)
日本で地方の医師不足は問題となっているが、ニュージーランドの地方も同様の問題
を抱えている。そんな中、年俸40万ニュージーランドドル(約3000万円)で、1年に
つき3か月の休暇、その他素晴らしい条件で医師の求人広告が出されているが、申し
込みは無い。各メディアは以下のように報じている。
2月23日付
『スタッフ・ドットコム』(ニュージーランド)は、ニュージーランド北
島の中西部のワイカト地方トコロアで、好条件の医師の求人が出されているにもかか
わらず、ここ2年まだ応募者がいないと報じている。条件をさらに細かく見ると、3か
月の休暇に加えて週4日勤務で週末勤務は無し、夜勤も無し、そのうえ診療報酬の半
分が受け取れる。
今回医師を募集しているのは、現地で働いているイギリス人医師のケニー氏で、ここ
数年、休日返上で勤務しているという。...
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2月23日付
『スタッフ・ドットコム』(ニュージーランド)は、ニュージーランド北
島の中西部のワイカト地方トコロアで、好条件の医師の求人が出されているにもかか
わらず、ここ2年まだ応募者がいないと報じている。条件をさらに細かく見ると、3か
月の休暇に加えて週4日勤務で週末勤務は無し、夜勤も無し、そのうえ診療報酬の半
分が受け取れる。
今回医師を募集しているのは、現地で働いているイギリス人医師のケニー氏で、ここ
数年、休日返上で勤務しているという。ケニー氏の娘も医師として勤務し父親を助け
ているが、収入とともに忙しさも年々増す一方だという。ケニー氏の病院は6000人の
患者を抱えている。
2月24日付
『IBタイムズ・オーストラリア版』は病院の立地の悪さが原因ではないか
と分析する。トコロアはワイカト地方で5番目に大きな町で、人口1万3600人、ニュー
ジーランド最大の都市オークランドから209キロ離れた場所に位置する。この立地の
悪さが、医学部卒業生に対し「トコロアは医師としてのキャリアの行き止まり」とい
う印象を与えている可能性が大きい。
また、同記事は立地の悪さに加えてこの町域特有の事情を挙げる。この町にはハエが
多く、約5800万匹いるというのだ。現在ボランティアによって駆除の最中だという。
2月23日付
『ザ・ガーディアン』(英)によると、ニュージーランドの医師の平均年
収は15万~28万ニュージーランドドル(約1100万円~2080万円)だという。今回の求
人はそれに比べるとかなり高額といえそうだ。ニュージーランドの地方では医師の大
部分を外国人医師に頼っているという事情がある。また、外国人医師も、ニュージー
ランドで勤務するのは基本的に短期間で、医師不足は慢性的だという。
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