「ポケモンGO」、性犯罪者は利用不可に
海外で先行ダウンロードがスタートし、先週日本でも配信が開始されたアプリ「ポケ
モンGO」。アメリカでは放映中のニュース番組のテレビカメラの前を、ゲームに夢中
になった人が横切ったり、ゲームに夢中になるあまり事故が起こるなど、様々な問題
も指摘されている。そんな中、ニューヨーク市長のクオモ氏が、性犯罪者の前科を持
つ者は「ポケモンGO」をはじめ、現実拡張型(AR)や相互交流型ゲームをすべきでは
ないとして、これを禁止する措置を取ることを決めたと発表した。日本の街中でも
「ポケモンGO」を楽しんでいるとおぼしき人々が多数見受けられる中、これを好まし
く思わない人がいるのもまた事実である。だからといってAR型ゲームを全面禁止にす
ることも難しいだろう。「ポケモンGO」が性犯罪者に禁止されるいきさつとAR型ゲー
ムの未来について、各メディアは以下のように報じている。
8月1日付
『NYデイリーニュース』(米)は性犯罪者にとって「ポケモンGO」は「ポケ
モンNO GO」だとして、ニューヨークのクオモ市長が性犯罪の前科を有する者が同
ゲームや類似のゲームをダウンロード、アクセス、またはプレイするのを禁止する方
針であることを明らかにしたと報じる。ニューヨーク州のおよその見積もりによれ
ば、仮釈放中の者を含む3000人が今回の措置により影響を受けるとされる。さらに同
州は今回対象となる性犯罪の中でも重罪のものから、軽犯罪の前科を有する5000人に
も対象を広げていく方針であるとしている。...
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8月1日付
『NYデイリーニュース』(米)は性犯罪者にとって「ポケモンGO」は「ポケ
モンNO GO」だとして、ニューヨークのクオモ市長が性犯罪の前科を有する者が同
ゲームや類似のゲームをダウンロード、アクセス、またはプレイするのを禁止する方
針であることを明らかにしたと報じる。ニューヨーク州のおよその見積もりによれ
ば、仮釈放中の者を含む3000人が今回の措置により影響を受けるとされる。さらに同
州は今回対象となる性犯罪の中でも重罪のものから、軽犯罪の前科を有する5000人に
も対象を広げていく方針であるとしている。
ニューヨーク州で性犯罪の前科を有する者が「ポケモンGO」をしているところを発見
された場合、仮釈放は取り消され直ちに収監されることになる。
クオモ市長は、技術の進歩の名のもとに子どもが犠牲になってはならないとし、あく
までも子どもの安全が優先事項だとする。また、同氏は、州がゲームの使用を禁止す
るだけでは不十分で、ゲームを開発したナイアンテックラボ社に対しても、性犯罪が
ゲームを利用するのを阻止するための協力を書簡で求めている。同氏はさらに、同社
に対して公安局の保持する最新の犯罪者リストを提供する方針であることも明らかに
している。公安局はナイアンテックラボ社の他、アップル社やグーグル社に対しても
情報共有の社会的必要性と協力の重要性を説き、働きかけていくという。ただし、ナ
イアンテックラボ社からの回答はまだ無いという。
今回のクオモ市長の発表のきかっけとなったのは、クライン氏とサヴィーノ氏の両上
院議員が「ポケモンGO」やAR型ゲームの利用により、子どもたちが性犯罪者から狙わ
れているといった内容の報告書である。報告書内では、両議員のスタッフが2週間か
けて中程度から重罪レベルの性犯罪者100人の家の近所を調査したところ、調査時間
のうちの57%の頻度でポケモンが出没したという。これに「ポケストップ」や「ポケ
モンジム」などといったアイテム入手やポケモンをトレーニングできる場所を含める
と、その頻度は73%にまで跳ね上がる。この両議員は、性犯罪者の家から最低でも100
フィート(約30メートル)はゲーム上のスポットから離すことを義務付ける法律の立
法化に向けて活動を行っている。また両議員は、このような法整備だけでも不十分
で、性犯罪者が子どもを自宅におびき寄せる危険性は消えないとも主張している。
「ゲームは子どもを楽しませてくれるが、同時に危険性にも目を向けるべき」。
クオモ氏は州の司法長官を務めていた2008年に、性犯罪者のインターネット使用を制
限する法案を通したことで知られている。この法律は性犯罪者に対し、州へのeメー
ルアドレスやユーザーネームを報告を義務付けている。これらの情報はソーシャル
ネットワークサービスと共有されている。法律が施行されてから、今日まで1万8544
人の犯罪者に関する5万2000件の情報が情報関連会社に送付されている。
同日付
『IBタイムズ』(米)によれば、「ポケモンGO」を使った犯罪が頻繁に起きて
いるという。例えば、「ポケモンGO」を悪用した強盗などもこれにあたる。ゲーム内
ではポケモンをゲットするためにアイテムを使うことがあるが、この情報は他のプ
レーヤーにも共有される。このことを利用し、犯人はポケモンをゲットしようとやっ
てくるプレーヤーを人気のない所で待ち伏せし、金品を奪っていたと考えられる。他
にもゲームに夢中になるあまり、交通事故を起こすなど、様々な事例が報告されてい
る。
では、「ポケモンGO」をはじめとするAR型ゲームは「害悪」なのか。一概にはそうと
も言い切れない。事実、ゲームにより運動不足が解消されたという報告や、うつ病に
効果のある可能性も指摘されている。
同日付
『BBC』(英)はナイアンテックラボ社のマーケティング部長であるスミス氏
のコメントを掲載している。「現時点では問題も多いかもしれないが、改良を重ねる
ことにより、AR型ゲームはより現実に即したものになるだろう」。同社のサイトでも
注意書としてゲームの対象年齢は13歳以上で、法に則ってプレイされるべきであると
記されている。
最近注目を集めているAR型ゲームだが、改良や伸びしろの可能性も含めて注目されて
いるともいえる。
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揺れるEU、ポーランドが難民受け入れの前言撤回
ブリュッセルでのテロは昨年のパリのテロに続いてヨーロッパに大きな衝撃をもたら
した。今回の事件を受けてポーランドはEU加盟国の中で難民受け入れ拒否を表明した
最初の国となった。EU内でも難民受け入れに関しては意見が分かれており、今回の一
件がEU内の不協和音をさらに大きくするとなると、イギリスのEU離脱問題にも影響が
及ぶ可能性も出てくる。
各メディアは次のように報じている。
3月24日付
『IBタイムズ』(英国版)は、ポーランドが昨年EUに対して受け入れを表
明していた4年間で難民7000人を受け入れる方針を覆し、今や「一人たりとも」受け
入れるつもりがないことを報じている。
この難民7000人の受け入れを容認したのは昨年政権を握っていたリベラル派のコパチ
首相の時代だ。その後2015年10月に右派政党が政権を掌握し、現在のシドゥオ首相に
なってからというもの、ポーランドは度々難民受け入れ問題をめぐってEUと対立して
きたという。...
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3月24日付
『IBタイムズ』(英国版)は、ポーランドが昨年EUに対して受け入れを表
明していた4年間で難民7000人を受け入れる方針を覆し、今や「一人たりとも」受け
入れるつもりがないことを報じている。
この難民7000人の受け入れを容認したのは昨年政権を握っていたリベラル派のコパチ
首相の時代だ。その後2015年10月に右派政党が政権を掌握し、現在のシドゥオ首相に
なってからというもの、ポーランドは度々難民受け入れ問題をめぐってEUと対立して
きたという。本来ならポーランドは今年400人の難民を受け入れるはずだったとされ
る。ワルシャワで行われた記者会見でシドゥオ首相はドイツのメルケル首相を名指し
で非難している。同氏はメルケル首相の「能天気な」態度が、現在のヨーロッパの難
民問題を招いたと主張する。
ポーランドの前政権が7000人の難民受け入れを容認したのは、EUとドイツからの圧力
によるものだったとされる。ドイツとポーランドは経済的に密接な関係関係にあり、
EUの中で最も経済力のあるドイツに出稼ぎに行くポーランド人も多い。EUが昨年提唱
した難民受け入れ方針についてチェコ共和国やスロヴァキア、ハンガリーやルーマニ
アは反対の意を表明していたが、当時ポーランドは「ノー」とは言えなかった。しか
し、今回のブリュッセルでのテロを受けてEUへの追従が我慢の限界を超えるところま
で来たともいえる。
同日付
『GMAネットワーク』(フィリピン)はシドゥオ首相がポーランド国内のメ
ディアに対して、EUに従うよりも国民の安全を最優先に考えての決断だということを
語ったことを報じている。「何千と押し寄せる難民の中にはテロリストが混じってい
るかもしれないのだ」。今回のブリュッセルでのテロでも、ポーランド人3人が犠牲
になっている。他の東ヨーロッパの国々が難民受け入れを拒否する中、このまま
「ノー」と言わなければ、EUからの要求がエスカレートする可能性も否定はできな
い。昨年9月にEU内でまとめられた合意では今後ヨーロッパ全体で12万人の難民を受
け入れることが定められている。ポーランドも3月、遅くとも4月には難民を受け入れ
る予定だったが、シドゥオ首相の発言により予定は白紙となった。シドゥオ首相は
「EUはパリのテロから何も学ばなかったと言わざるを得ない」とも発言している。
3月23日付
『デイリーメール』(英)はポーランドの今回の発言を受けて、EUが難民
受け入れ問題について分裂の危機にあると報じる。この危機を回避すべく、EU諸国の
中には今までよりも強力な協力体制でテロに立ち向かうことが求められているとの主
張も出てきている。フランスのヴァルス首相はフランスに続いてベルギーがテロの犠
牲となったことを受けて、EUはテロ対策の費用を大幅に増やすべきと主張している。
今後現れるであろうテロと対峙するためには、人的、技術的側面からのより深いアプ
ローチが求められ、費用の増額は必須とする。ただ、EUの結束が緩めば、費用の増額
は困難になることが予想される。
アブラモプロス欧州委員はEU内でのテロの情報収集とその共有が重要であり、オラン
ダに本拠地を置くユーロポール(欧州刑事警察機構)がその中心的役割を担うべきと
する。「EUが前進するためには、情報共有と相互信頼を育む他に道はない」。
難民問題とテロ問題により、EUの内部に亀裂が入るとなれば、テロリストの思うつぼ
である。テロに対してどれだけ一枚岩の協力体制が築けるかが今後のカギとなろう。
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