ドゥテルテ比大統領、米国アクション俳優から強力支援を受けるも、地元学生は麻薬戦争等に猛反発【米・フランス・フィリピンメディア】(2017/12/02)
10月23日付
Globali「ドゥテルテ比大統領がまた舌禍-麻薬取締局が不十分なら自分が麻薬犯罪者を射殺すると発言」で報じたとおり、“フィリピンのトランプ”と称されたロドリゴ・ドゥテルテ大統領の舌禍は、本家のドナルド・トランプ大統領に負けず劣らず盛んである。そしてこの程、米国アクション俳優という友軍を得て、麻薬犯罪取り締りや、イスラム過激派の殲滅に向けて意気盛んである。しかし、地元の学生らは、麻薬犯罪撲滅政策に伴う超法規的殺人の横行や、イスラム過激派との戦闘のために導入された一方的な戒厳令などに猛反発している。
12月1日付フランス
『France 24』オンラインニュース(
『AFP通信』配信):「米アクション俳優がドゥテルテ大統領率いるフィリピン軍を鼓舞」
ロドリゴ・ドゥテルテ大統領は12月1日、米国アクション俳優のスティーブン・セガール氏(65歳、注1後記)を招聘して、イスラム過激派アブ・サヤフ・グループ殲滅に当るフィリピン軍を鼓舞した。
セガール氏は、1980~1990年代にヒットした映画“Hard to kill”や“Under Siege(沈黙の戦艦)”などに主演した。...
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12月1日付フランス
『France 24』オンラインニュース(
『AFP通信』配信):「米アクション俳優がドゥテルテ大統領率いるフィリピン軍を鼓舞」
ロドリゴ・ドゥテルテ大統領は12月1日、米国アクション俳優のスティーブン・セガール氏(65歳、注1後記)を招聘して、イスラム過激派アブ・サヤフ・グループ殲滅に当るフィリピン軍を鼓舞した。
セガール氏は、1980~1990年代にヒットした映画“Hard to kill”や“Under Siege(沈黙の戦艦)”などに主演した。
この程同氏は、ドゥテルテ大統領とともに、フィリピン南西部のホロ島(ミンダナオ島とカリマンタン(ボルネオ)島との間のスールー諸島内の島で、アブ・サヤフの最大拠点のひとつ)を訪れ、同島に駐留するフィリピン軍を激励した。
なお同氏はかねてより、国際社会が人権侵害と非難するドゥテルテ大統領推進の麻薬犯罪撲滅政策について、フィリピンを安全な国にするため有益だと称賛している。
同日付米
『ロイター通信米国版』:「フィリピン学生、ドゥテルテ大統領の政策に対して全裸で抗議行動」
フィリピンの学生らは12月1日、ドゥテルテ大統領が進める麻薬戦争や、イスラム過激派との戦闘に伴う一方的な戒厳令に反対して、全裸になって抗議行動を展開した。
学生組織“Alpha Phi Omega(APO、注2後記)所属の学生らは、マスクを付けただけの全裸で、”超法規的殺人中止“や”戒厳令撤廃“のプラカードを掲げてフィリピン大学内を疾走した。
なお、同組織による全裸の抗議行動は、フェルディナンド・マルコス大統領(当時)による独裁政治が行われていた1980年代、フィリピン大学内の活動家に対する当局弾圧に抗議して実施されて以来のことである。
一方、12月2日付フィリピン
『マニラ・ブルティン』紙:「アンダナール大臣-
『ロイター通信』報道に拘らず、麻薬犯罪撲滅運動にフィリピン国家警察が早晩復帰」
マーティン・アンダナール広報担当大臣は12月2日、
『DZRHニュース(マニラ)』のインタビューに答えて、10月発生の麻薬犯罪容疑者の射殺事件に関わる
『ロイター通信』報道に拘らず、フィリピン国家警察(PNP)は早晩麻薬犯罪取り締り任務に復帰すると語った。
『ロイター通信』によれば、マニラ市街で10月11日、3人の麻薬犯罪容疑者(60歳、34歳、18歳)がマニラ警察署警察官によって射殺されたとする。この事件発生の翌日、ドゥテルテ大統領が、PNPを麻薬犯罪取り締り任務から一旦はずし、麻薬取締局に担当させると発表している。
なお、アンダナール大臣は、PNP警察官は、如何なるときも、自身の生命が脅かされない限り発砲することはないと付言した。
(注1)スティーブン・セガール:米国のアクション俳優で、現在テキサス州ハズペス郡保安局の執行官(警察官)。17歳のときから10年以上大阪に在住していたため日本語が堪能。合気道七段。日本人妻含めて4度結婚(3度離婚)。千葉真一氏やジャッキー・チェン氏らと親交あり。2016年にセルビア、ロシアの国籍を取得。
(注2)APO:1925年創立の全米最大の学生組織。米国大学内に350支部があり、活動学生数2万5千人、また、卒業生のメンバーが40万人以上。なお、フィリピンにも250の支部がある。
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トルコの最大手新聞社が政府管理下に(2016/03/07)
トルコのエルドアン政権に批判的だった最大手新聞社「ザマン(Zaman)」が4日、デモ隊との衝突の末、政府の治安部隊に占拠され政府管理下に置かれることとなった。政府は当新聞社がイスラム説指導者フェトフッラー・ギュレン氏との関わりがあるとし度々取締を行ってきた。占拠後の日曜の第一紙では、当紙は政府批判から政府支持に一転。報道の自由が脅かされるとしてアメリカ等各国が批判している。EUは難民問題を協議するサミットを控え、トルコの協力を仰ぐため強い批判は出来ないでいる。
3月6日付
『ロイター通信』は「トルコ反政権紙が政府管理下に入り政府支持に転換」との見出しで次のように報道している。
・国内最大手ザマン紙が政府管理下に置かれた翌日の日曜、政権批判は消え、単調な論調に転換。エルドアン大統領と米国のイスラム説教師フェトフッラー・ギュレン氏間の長期に渡る対立の記事を単調につづるもので表紙には大統領の国際女性デーの開幕式に関する記事が掲載。
・ホームページはオフライン状態で「読者の皆さんには一刻も早くより高品質で客観的なサービスを提供します」と掲載されている。...
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3月6日付
『ロイター通信』は「トルコ反政権紙が政府管理下に入り政府支持に転換」との見出しで次のように報道している。
・国内最大手ザマン紙が政府管理下に置かれた翌日の日曜、政権批判は消え、単調な論調に転換。エルドアン大統領と米国のイスラム説教師フェトフッラー・ギュレン氏間の長期に渡る対立の記事を単調につづるもので表紙には大統領の国際女性デーの開幕式に関する記事が掲載。
・ホームページはオフライン状態で「読者の皆さんには一刻も早くより高品質で客観的なサービスを提供します」と掲載されている。
・警察は同社のギュレン氏への資金供与を調査中である。
・ザマンの編集者らは概ね長期政権のエルドアン大統領を支持してきたが、外交政策や政府のギュレン氏支持者経営の学校閉鎖計画をめぐり反対勢力が拡大した。土曜、編集長は解雇処分となった。
同日付米
『VOA』は「占拠されたトルコ反政権紙は路線変更」との見出しで次のように報道している。
・政府管理下におかれた新聞社は最新紙で明らかに政府支持に傾いた記事を掲載。表紙には笑っているエルドアン大統領の写真が目立つ。「メディアの自由を封じるな」と叫んだ数百人のデモ隊への催涙ガスやゴム弾発砲による当社の動揺に関する記事は殆ど見られなかった。
・米ジャーナリスト保護委員会はトルコ政府の決定に抗議。政府がスパイ行為、陰謀、名誉棄損の嫌疑でジャーナリストを拘束できるとする法の解釈を悪用しているとし、世界でジャーナリストの拘束数が最多の国の一つにトルコを指定。
・人権団体は「トルコ政府は憲法に従い報道の自由を擁護するべき」と声明。
・トルコはNATOの一員として地理的に東洋と西洋の架け橋であり、シリア内戦や難民問題等において米国と欧州の重要な同盟国であるため、各国はトルコの人権問題に強く批判を出来ない、とトルコ政府批評家は言う。
同日付仏
『France 24』は「EUはトルコの反エルドアン紙占拠に逼迫」以下のように報道している。
・ザマン紙は政府管理下に入った後の第一紙で政府支持路線を採用。トルコのメディアの自由が歪められる恐れを浮き彫りにした。当紙の表紙ではエルドアン大統領への痛烈な批判が常となっていたのだが、政権支持の記事で埋まっていた。
・EUはトルコとの難民危機対策についての緊急サミットを控えトルコ情勢への批判は弱腰に。当問題でのトルコの協力を得るため報道の自由を当国に迫るには大きなプレッシャーに直面。
・アフメト・ダウトオール首相は政府の新聞社の掌握関与を否定し「合法な手続き」だとしている。
同日付トルコ
『Turkish Weekly』は以下のように報道している。
・米国務省をはじめ報道の自由や人権団体が、撤回を求めてトルコ政府を強く批判している。EU当局は声明を出していない。」
同日付ロシア
『スプートニック』は「トルコ首相はメディアグループの占拠への政府の関与を否定」との見出しで次のように報道している。
・トルコのアフメト・ダウトオール首相はフェザ・メディアグループの占拠を否定、TVの取材で、「政府はこの問題に関与していない。これは司法機関の決定により施行されたものだ。トルコの報道の自由を疑う必要はない。(新聞社は)マネーロンダリング容疑で起訴されたとした。」と述べた。
・トルコの動きは米国、ロシア等多くの国やEU、国境なき記者団などの国際機関で批判されている。トルコは昨年の「国境なき記者団」による報道の自由度指数で180か国中149位であった。
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