カナダとデンマークが領有権問題を平和的に解決
カナダとグリーンランド(デンマーク自治領)の間にあり、カナダとデンマークが長年領有権をめぐり紛争中だった小さな無人島に、国境がひかれる合意に至ったという。この島の領有権は、領海の資源などの国益にかかわるため、両国の軍隊が上陸し、国旗を立てたり、自国のリカーを置いていたことから「ウィスキー戦争」と呼ばれていたという。
6月14日付米
『ポリティコ』 :「カナダとデンマークがボトルを交換し”ウィスキー戦争”終結」:
カナダとデンマークが14日、ロシアによるウクライナ侵攻に直面したことで、半世紀にわたる国境紛争に終止符を打った。
両国は、ヌナブト準州とグリーンランドの間に位置する1.2平方キロメートルの無人の岩礁「ハンス島」の領有権分割で合意。島の南北に伸びる自然の峡谷に沿って、島をおおよそ2等分するよう新たに国境が引かれる。...
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6月14日付米
『ポリティコ』 :「カナダとデンマークがボトルを交換し”ウィスキー戦争”終結」:
カナダとデンマークが14日、ロシアによるウクライナ侵攻に直面したことで、半世紀にわたる国境紛争に終止符を打った。
両国は、ヌナブト準州とグリーンランドの間に位置する1.2平方キロメートルの無人の岩礁「ハンス島」の領有権分割で合意。島の南北に伸びる自然の峡谷に沿って、島をおおよそ2等分するよう新たに国境が引かれる。
ハンス島(イヌイット語でタルトゥパルク)は、1973年からカナダとデンマークにより国境が引かれたが、合意に至らなかった。その後、両国の軍艦が島を訪問し、領有権を示そうと、国旗やカナダ産ウィスキーのボトルまたはデンマーク産「シュナップス」を置いてきたことから、この領土紛争は「ウィスキー戦争」と呼ばれる様になった。
オタワで開かれた調印式後、カナダのメラニー・ジョリー外相は、「領土紛争が平和的に解決できるという前例を我々が世界に示した」、「対立を解決することは可能、常に両国が納得する方法で行うのがベスト」だとした。
デンマークのジェッペ・コフォド外相は、和平に向けた式典でリカーボトルを交換し粋な演出をみせた一方、ロシアによる戦争を念頭に、この合意は「紛争は、武力によらず法の力によって、国際法に基づき解決されなればならないという、プーチンを含む世界へのメッセージなのである」と強調した。
グリーンランドのムテ・エゲーテ首相は、この合意は二カ国をつなぐ足ががりとなる一方、ヌナブト準州やグリーンランドでのイヌイット族の自由は保たれるべきだとした。今回の合意では、イヌイットの族の島内での移動や狩猟、漁業などの権利は保たれるという。
政治学の専門家は、「西欧諸国で、ウクライナや台湾、南シナ海の領土紛争の解決の必要性が強調される中、この合意は領土権の平和的解決の代表例となる」とし、北極圏地域の緊張緩和を維持する必要性を強調している。
同日付カナダ『CTVニュース』 :「大西洋の小島をめぐるデンマークとの”ウィスキー戦争”に和平合意」:
ハンス島は両国の領海問題にかかわるため、50年間にわたり外交紛争の火種となっていた。
カナダのジョリー外相は、この日を「歴史的な日」とし、26人の外相がこの紛争に関わってきたが、平和的解決により、国が領土問題を平和的方法で解決できることを示したと強調した。また、プーチンのウクライナ侵攻を念頭に、「デンマークの合意は、圧政君主が軍事的方法で国境をひこうとする歴史的に非常に重要なタイミングで行われた」と指摘した。
一方、この領土権合意を受け、ヌナブト準州とグリーンランドに住むイヌイット族との協議も行われているという。この地は数世紀に渡りイヌイットの狩猟地となっており、国境合意後も、彼らの狩猟権、島移動の自由は引き続き保障されることとなる。
カナダは史上初めてデンマークと国境を接することとなる。これを機に、カナダがユーロビジョン・ソング・コンテスト(ヨーロッパの歌の祭典)に出場するか聞かれ、ジョリー外相は、EUとの国境を接しているため申請するかもしれないとジョークで答えたという。
同島の領有権をめぐっては、1980年代から、和やかな紛争が続いていた。1984年カナダが島に国旗とウィスキーを置いた。同年、デンマークのグリーンランド担当相がヘリで島を訪問、基地にデンマークの国旗と国産スピリッツを置き「デンマークの島へようこそ」と書いたメモを残したと報じられた。
1988年、デンマークの北極海巡視艇が、島に国旗と石塚を立てた。2001年、カナダのエルズミア島の地図制作者がヘリで訪問。2005年、デンマークでのカナダ大使館前デモを受け、カナダ軍が島に国旗と盾を置き、防衛相が島を散策。デンマークのラスムッセン前首相が「国旗戦争をやめるときだ」と述べ、両国は島をめぐる交渉再開。今回の合意により、大陸棚の海洋境界紛争も解決している。
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人が死の直前に走馬灯を見ている可能性、脳CTより
国際チームが偶然得た脳の脳波検査(EEG)のデータから、人が死ぬ前後にいわゆる「人生の走馬灯」を見ている可能性が指摘されている。
2月24日付豪
『Yahooニュース』 (BBCニュース):「人が死の間際に走馬灯を見るのは本当かも知れない」:
科学者が研究で偶然得たデータから、人が死ぬときに実際に走馬灯を見ている可能性が指摘されている。
22日に発表された学術誌「Frontiers in Aging Neuroscience」に掲載された論文によると、ある科学チームは、てんかんを発症した87歳の患者の脳波を図った。...
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2月24日付豪
『Yahooニュース』 (BBCニュース):「人が死の間際に走馬灯を見るのは本当かも知れない」:
科学者が研究で偶然得たデータから、人が死ぬときに実際に走馬灯を見ている可能性が指摘されている。
22日に発表された学術誌「Frontiers in Aging Neuroscience」に掲載された論文によると、ある科学チームは、てんかんを発症した87歳の患者の脳波を図った。だが計測中に患者は心臓発作を発症、その後、死の直前に予期せぬ脳波が計測された。夢を見るときや記憶を辿る時と同じ脳波が見られたという。このような脳の活動がみられることから、死の直前に一般的にいわれる「人生の走馬灯」現象がおきていた可能性が指摘されるという。
論文著者の一人で当時カナダのバンクーバーにいたアジマル・ゼマール博士は、チームが臨死脳の記録を摂ったのは「まさに偶然で予定されたものではなかった」という。そして、「楽しい記憶を思い出しているかは定かではないが、哲学的分野に踏み込むとすれば、脳がフラッシュバックを起こさせるとしたら恐らく良いことを回想させるのではないか」と予測する。
ルイビル大学のゼマール神経外科医は、心臓から脳への血流が停止する30秒前の脳波は、人が集中している時や夢をみている時、または記憶を辿る時など、高次認知力を必要とするタスクを行う時と同じ脳波を示していたとする。それは通常の死亡時間とされる心停止の30秒後まで継続していた。「これは恐らく、死の直前に脳で再現される、これまでの人生の記憶を辿る時間なのかもしれない」とする。
この調査からは、人生が正確にはいつ終わるのかという疑問が浮上するだろう。心停止なのか、脳機能の停止なのか、この一つの研究から広範な結論を導けるものではないとゼマール博士は警告する。患者がてんかんを患い、出血や脳浮腫も見られたため別の影響があったとの見方もできる。
2013年の健康なラットの実験でも同様の事例が報告されている。米国の調査報告によると、今回の患者同様に心停止の30秒後まで高度な脳波が観測されていたという。人の脳波の事例が今回発表されることで、臨死体験というスピリチュアルな領域に科学のメスを入れられたことで、今後の調査の進展に期待がかかる。
2月23日付カナダ『CTVニュース』 :「脳CTスキャン調査、瀕死の人が人生の走馬灯を見ている可能性」:
心臓発作により病院で亡くなった87歳の患者の脳波調査から、脳の記憶想起域における予期せぬ活動がみられた。脳が死ぬ前に人生の重要なライフイベントをリプレイしている可能性があるという。
カナダ、中国、米国、エストニアの科学者からなる国際チームによる、心臓発作後の脳波や臨死体験についての論文が今月22日、神経科学に関する学術誌『Frontiers in Aging Neuroscience』 に掲載された。
死後にも脳活動があることは推測されていたが、臨死状態を調査した研究はこれまで存在しなかった。患者は転倒による外傷性硬膜下血腫を発症し病院に運ばれた。通常の治療の後、医師が脳波検査(EEG)を行っている間に死亡。
心停止の前後、30秒を1ブロックとし900秒間脳波を計測したところ脳波の変化がみられたという。これは脳への血流が停止した後にも脳が活動していたことを示す。EEGを計測中に「脳の振動パターン」がアルファ波、ガンマ波、デルタ波、シータ波、ベータ波へと変化したという。この動きは死の直前直後を挟み、一般的にいう「人生の走馬灯をみている」状態だったとみられる。健康な被験者の脳においては、アルファ波とガンマ波の交差が、夢や瞑想、情報処理や記憶回想などの認知プロセスに関連しているとされる。
今回のデータは一人の患者の事例であり、疾患による脳への損傷や、発作を抑える薬の影響の可能性も考慮されなければならない。しかしながら、臓器提供にも関わるであろう「人の生死がどの時点を指すのか」をという重要な問題を浮き彫りにした。倫理的に患者のデータ収集を事前予定することは不可能なため、この研究で得られたデータは貴重なものといえる。
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