米日刊紙ワシントン・ポストが20日の紙面で公開した風刺漫画が、大統領選の結果に異議を唱えるトランプ大統領を支持する共和党員をドブネズミとして描いた。非人間化する風刺は、ユダヤ人を大量虐殺したナチスが反ユダヤ主義に使ったプロパガンダ方法と同じであるとして、保守派から懸念の声が上がっている。
米
『フォックスニュース』や露
『スプートニク』によると、ワシントン・ポスト紙は、著名なイラスト家のアン・テルネス氏の今回のイラストを掲載したことで、保守派から非難を浴びている。イラストは、「憲法を覆して政権を維持しようとするトランプ大統領の試みに協力した全ての州検事総長と連邦議会議員」というタイトルが付けられ、オピニオン面の一面に大きく掲載された。100人以上のトランプ大統領支持者がドブネズミとして風刺されている。
このような風刺に対し、フォックスニュースのコメンテーターであるスティーブン・ミロイ弁護士は、ナチス時代のドイツで、人をドブネズミに見立てた風刺漫画に酷似していることをツイートした。
問題のイラストでドブネズミの一人として描かれているブライアン・バビン下院議員も、「敵」と見なす人間をドブネズミとして描くことは、ナチスが使わっていたのと同じ反ユダヤ的プロパガンダであると指摘している。「左派とその同盟は、何百万もの人の思想を大々的に攻撃することに喜びを感じている」とし、検閲や批判はどこに行ってしまったのか、と非難している。
欧米では、人間をドブネズミとして描写することは、内部の、または外部からの移民を、社会を脅かす、扇動的、非衛生的、非人道的な敵として描写する方法として長い歴史がある。
右派ジャーナリストのマイク・セルノビッチ氏は、「研究者によると人々をドブネズミに例えることは、ジェノサイドを起こす前に使う手であるそうだ」と述べ、大手メディアがトップストーリーとして風刺漫画を載せたことに懸念を表明した。他にも、保守派からは、トランプ支持者の人間性を奪う描写だとして、または悪魔化されているとして、懸念の声が上がっている。
米『ブライバート』によると、漫画を描いたアン・テルネス氏は、2001年にピューリッツァー賞の時事イラスト賞を受賞した数少ないフリーランスの一人である。2016年には、共和党の指名候補を目指していた議員の5歳と7歳の娘をサルにたとえたイラストをワシントン・ポストに掲載したことで、批判を受けている。
サイモン・ウィーゼンタール・センターは、『CBNニュース』に送られたメールで、ワシントン・ポスト紙がオピニオン面のトップページで、共和党員をドブネズミのように人間性を奪う漫画を掲載したことは、反ユダヤ主義の新聞「Der Sturmer 」が1930年代に使った手であり、反対派を悪者にするためにナチスやソ連が用いた手法を、米大手メディアが用いることに対して、政治的分裂の両側にいる1億5千万人以上の有権者はどう判断するのだろうかとコメントしている。
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1月26日付米
『ニューズウィーク』誌:「大統領府報道官、ドゥテルテ大統領が富裕層を殺せと言ったのは真意でなく、言動をそのまま受け取らないようにと釈明」
フィリピン大統領府のサルバドル・パネロ報道官は1月26日、ロドリゴ・ドゥテルテ大統領が1月23日にレイテ島(フィリピン中部)で演説した際、2大水道会社のオーナーを指して、泥棒猫の富裕層は殺せ、と発言したのは真意ではないので、言動をそのまま受け取らないようにと釈明した。...
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1月26日付米
『ニューズウィーク』誌:「大統領府報道官、ドゥテルテ大統領が富裕層を殺せと言ったのは真意でなく、言動をそのまま受け取らないようにと釈明」
フィリピン大統領府のサルバドル・パネロ報道官は1月26日、ロドリゴ・ドゥテルテ大統領が1月23日にレイテ島(フィリピン中部)で演説した際、2大水道会社のオーナーを指して、泥棒猫の富裕層は殺せ、と発言したのは真意ではないので、言動をそのまま受け取らないようにと釈明した。
フィリピンメディア『GMAニュース』報道によると、同大統領は、マニラ首都圏の上下水道を管理・運営するメイニラド・ウォーター・サービス(1997年設立、西側を管轄)及びマニラ・ウォーター(1997年設立、東側を管轄)の経営者は不届き千万な富裕層なので、自身が指示を出したらすぐ抹殺してしまえ、と発言していた。
また、『ABS-CBNニュース』報道によると、同大統領は、移動通信会社のグローブ&スマートの経営者も盗人だとして、同様の扱いとするよう表明していた。
しかし、パネロ報道官は『フィリピン・スター』の番組の中で、同大統領の表現は独特できつ過ぎる嫌いはあるが、その真意は、名前を挙げた富裕層や企業の、納税者や消費者から金を奪うようなやり方を決して許してはならない、ということを強調する意味合いであるとして、一般市民の理解を求めた。
一方、同報道官は、フィリピン政府が2人の米上院議員の入国を拒否することとしただけでなく、米国からの旅行者のフィリピン入国に制限を加える可能性にも言及した。
すなわち、同報道官は、昨年12月にリチャード・ダービン及びパトリック・リーヒー両上院議員が、2017年に逮捕・拘留されたライラ・デ・リマ上院議員の事件に関わったフィリピン高官の米入国を拒否する決議を採択させたことから、フィリピンの内政に余計な干渉をすることは許されないため、当然の報復措置だと言及した。
そして同報道官は、リマ上院議員の事件は、明らかに不正摘発の所以だと強調した。
同日付フィリピン『マニラ・ブルティン』紙:「大統領府、ドゥテルテ大統領の金持ちを殺せとの発言は、重圧を与えるためのもので言動どおりではないと釈明」
パネロ大統領府報道官は1月26日の記者会見で、ドゥテルテ大統領の不道徳な金持ちは殺せ、との発言は、例によって多くの人に注目してもらおうとの意図であって、決して言動どおり受け取らないように、と釈明した。
同報道官は、一部の富裕層経営者が、法律に違反する行為をしているので、当然報いを受けなければならないと同大統領は訴えたかったものだ、と付言した。
同報道官はまた、大統領に名指しされた上下水道会社や移動通信大手の経営者はもとより、その他法律に違反しているとの心当たりがある富裕層に対する厳しい警告の一環だ、とも言及した。
なお、同報道官は、富裕層はボディガードを付けた方が良いかとの質問に対して、法律に基づいて事業等を行っていれば、かかる心配は全く不要、と回答している。
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