日本:驚異的な債務の山に直面
日本の財務省は10日、国の借金である「長期債務残高」が2021年度末時点で1017兆1000億円になったと発表した。過去最大を更新し、初めて1000兆円の大台を超えた。仏経済紙
『レゼコー』は、この驚異的な負債について、日本では誰も議論していないことに疑問を唱えている。
『レゼコー』は、「日本ではお金はタダなのか?」と問い、日本政府の長期債務が1017兆1000億円を超えたことを驚きと共に伝えている。これは、フランス政府の借金の3倍以上に相当する。
財務省は発表の中で、地方自治体の債務も含めた日本の公的債務総額は、国内総生産のほぼ250%に相当する「山」となっていると指摘している。この数字をもとに共同通信社が計算したところ、日本人一人当たり966万円の理論上の負債を「背負っている」ことになる。...
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『レゼコー』は、「日本ではお金はタダなのか?」と問い、日本政府の長期債務が1017兆1000億円を超えたことを驚きと共に伝えている。これは、フランス政府の借金の3倍以上に相当する。
財務省は発表の中で、地方自治体の債務も含めた日本の公的債務総額は、国内総生産のほぼ250%に相当する「山」となっていると指摘している。この数字をもとに共同通信社が計算したところ、日本人一人当たり966万円の理論上の負債を「背負っている」ことになる。
『レゼコー』は、この天文学的なレベルの負債は、他のG7諸国をパニックに陥れるものであるが、日本では何の議論も起きていない、と指摘している。ナティクシス日本証券のエコノミスト、岩原宏平氏は「世論は、公共支出の増加と債務の増加は避けられないと考えている。だから、まともな議論ができない。」と述べている。
長年「どんな代償を払ってでも」的な政策を実践し、本格的な野党が存在することなく政権を担ってきた保守党の執行部は、経済が冷え込むたびに巨額の景気刺激策を打ち出してきた。新型コロナウイルスの流行が始まって以来、5回も行われた。危機的な時期を除いては、人口減少や経済停滞によって損なわれた税収で年間予算を均衡させることはすでに不可能であり、行政はその都度、経済を支えるため、また高齢化の加速に伴う医療や年金といった社会支出の急増を賄うために借金に頼らざるを得なくなっている。
昨年3月期の債務残高は、1990年代半ばから途切れることなく膨らみ続いているが、最近になって加速している。このような例外的な財政不均衡は、日本の債務の特殊な構造によってのみ可能になっている。岩原氏は、「日本の家計は貯蓄のほとんどを銀行口座に預けており(48%)、この資金で商業銀行が日本国債を購入している。日本の投資家が85.7%を保有している」と説明している。日本政府は海外からの資金調達に依存せず、国内の経済関係者から厚い信頼を得ているため、書類上ではいくらでも借金をすることができる。
2013年以降、量的緩和政策の一環として市場で国債を大量に買い上げてきた日本銀行の揺るぎない支援も頼みの綱となっている。3月末時点で、日銀は国債残高の43.4%を保有していた。
この日本型モデルに短期的な脅威はないものの、専門家たちは、政府が国民の行動の変化を考慮しなければならないと指摘している。家計が高齢化すると、銀行口座からの引き落としが多くなり、債券を購入する資金が制限される。岩原氏は、「国家はいつか海外からの借入を余儀なくされる可能性があり、その場合、国家の負債水準と他国と比較して非常に利回りが低いため、より複雑になるだろう」と指摘している。
米『フォックスニュース』も、日本政府の長期債務残高は18年連続で増加し、6年連続で過去最高を更新していると報じている。負債の増加は、日本の社会保障制度への負担増と、新型コロナウイルス関連の支出、さらに日本の積極的な銀行政策がもたらした結果だと伝えている。
『フォックスニュース』は、日本の経済問題は、労働力の高齢化と雇用市場の停滞によってさらに深刻化していると指摘している。日本では質の高い雇用を生み出すことが難しく、低技能職は外国人労働者の補充に頼っている。出生率は世界で最も低い国の1つであり、日本政府は若いカップルが子供を持つためのさまざまなインセンティブを実施しているが、子どもの数は減る一方となっている。
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ゼロ・コロナ政策とウクライナ戦争で、欧州企業にとって中国の魅力が低下
中国の「ゼロ・コロナ」政策とウクライナ戦争が、欧州企業にとって中国市場の魅力を低下させている。在中国EU商工会議所が5日に発表した調査結果では、4分の1近くの企業が、投資の一部を他のアジア諸国に移転することを検討していると回答した。
仏ラジオ局
『RFI』によると、中国のGDPのほぼ4割が、中国の数十の大都市の完全又は部分的ロックダウンの影響を受けているという。中国共産党政府の厳格な「ゼロ・コロナ」戦略は、中国市場に進出する外国企業にも影響を与えている。在中国EU商工会議所が4月20日から26日にかけて行った世論調査によると、参加した370社以上の欧州企業のうち、60%が今年の収益の減少を見込んでおり、77%が中国の魅力が低下していると考え、23%が現在または計画中の投資の一部を、南アジアや東南アジアに移転することを考えていると回答した。...
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仏ラジオ局
『RFI』によると、中国のGDPのほぼ4割が、中国の数十の大都市の完全又は部分的ロックダウンの影響を受けているという。中国共産党政府の厳格な「ゼロ・コロナ」戦略は、中国市場に進出する外国企業にも影響を与えている。在中国EU商工会議所が4月20日から26日にかけて行った世論調査によると、参加した370社以上の欧州企業のうち、60%が今年の収益の減少を見込んでおり、77%が中国の魅力が低下していると考え、23%が現在または計画中の投資の一部を、南アジアや東南アジアに移転することを考えていると回答した。
将来への不安は、採用活動にも影響を及ぼしているという。学校の休校や移動の規制などで、家族連れで人材を呼び込むことが難しい状況になっている。また、教師の離職率は2021年度が始まる時点で25%、昨年全体では40%だった。2022年はインターナショナルスクールの教師の50%が入れ替わると推測されており、教師のビザの手続きには平均6カ月を要する中、採用が困難となっている。
在中国EU商工会議所は、「中国一の都市と言われた上海が1カ月も封鎖され、終わりが見えない。たとえ1年後でも、中国がいつ経済を再開するのかを知る必要がある」と主張しており、「ビジネスを阻害するのは、不確実性と見通しのなさだ」と指摘している。
こうした中、ウクライナ戦争によって不確実性がさらに高まっている。中国とヨーロッパを結ぶシルクロードを走る列車が利用出来なくなり、ロシアとウクライナの領空も迂回しなければならず、物流はさらに混乱し、輸送費が上がっている。
仏『レゼコー』によると、特に上海を拠点としている企業にとって、交通問題が大きな課題になっているという。85%の企業が生産のための原材料や部品の入手が困難であり、ほぼ同数の企業が完成品を中国やその他の地域に納品することも難しい状況にあると回答した。中国当局は、ドライバーがウイルスを拡散するのではないかと恐れて、トラックが他の都市へ移動することを厳しく制限している。また、ドライバーがトラックから降りないように、ドアや窓にシールを貼り、48時間以内のPCR検査を定期的に要求しているという。
米『フォックスニュース』によると、現在、中国国民の4人に1人がロックダウンで外出できない状況にあり、中国の100大都市のうち87都市が何らかの移動制限を課しているため、サプライチェーンは停止してしまっているという。一部の専門家達は、中国は今年、ゼロ成長または経済収縮に陥る可能性があり、すでに10年来の成長鈍化、生産性低下、債務急増の傾向に拍車がかかると見ている。
EU商工会議所のヨルグ・ブトケ会頭は、「調査では23%が、現在または計画中の中国への投資を他の市場へ移すことを検討し始めていると回答した。これは、わずか2カ月前の2倍の数字だ」と、企業が地理的な展開を多様化する必要に迫られていることを指摘。最近、在上海日本国総領も、一部の企業が生産移転を始めていると報告している。
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