すでに２度の日中首脳会談が実現し、自民党の二階総務会長が３０００人の訪中団を引き連れて、習近平国家主席に安倍首相の親書を手渡すなど、日中関係がかなり改善されてきている。こうした中、中国が国防白書を発表したが、この中で中国は南シナ海をめぐり、名指しは避けつつも米国をけん制。その一方で日本については「戦後体制からの脱却を積極的に追求し、軍事安全政策を大幅に調整しており、国家発展の方向性をめぐり地域諸国の高い関心を呼んでいる」とやや控え目な表現にとどめている。ここにきて中国は敵意を向ける対象を日本から米国にシフトさせた印象を受ける。「米メディア；米軍の偵察に中国海軍が執拗に警告」でもお伝えしたように、南シナ海の米軍の偵察行動をめぐり米中は一触即発の状態にある。日本は米国と同盟関係を強化している以上米国への敵意は結局、日本に向くことにもなる。各国は日中関係改善の一方で、悪化する米中関係について以下のように報じた。

5月26日付『インデペンデント』（米国）は、「南シナ海をめぐって米国は中国から領土問題に口出ししないよう警告されているが、戦争になることはもはや避けられないものとみられる」と報じた。
5月26日付『ＡＦＰ通信』（フランス）は、「自衛隊の報道官がＡＦＰの取材で中国の台頭を念頭に置いた米豪軍事演習に７月、日本が参加するとことを発表した」と報じ、「一部をフィリピン、ベトナムなどが領有権を主張しているスプラトリー諸島に人工島を構築していることからもそれは明らかだ」と、衛星写真を根拠にあげながら「中国は南シナ海のほぼ全域を自国のものとみなしている」と報じ中国を批判。...

5月26日付『インデペンデント』（米国）は、「南シナ海をめぐって米国は中国から領土問題に口出ししないよう警告されているが、戦争になることはもはや避けられないものとみられる」と報じた。
5月26日付『ＡＦＰ通信』（フランス）は、「自衛隊の報道官がＡＦＰの取材で中国の台頭を念頭に置いた米豪軍事演習に７月、日本が参加するとことを発表した」と報じ、「一部をフィリピン、ベトナムなどが領有権を主張しているスプラトリー諸島に人工島を構築していることからもそれは明らかだ」と、衛星写真を根拠にあげながら「中国は南シナ海のほぼ全域を自国のものとみなしている」と報じ中国を批判。さらに「日本も中国と東シナ海の尖閣諸島（釣魚島）をめぐって同様の問題を抱えている上、日米は安全保障を互いに強化させていく方向で動いている」ので、日本の米豪軍事演習への参加は理にかなっていると報じている。
一方こうした記事とは対照的に、5月25日付『新華社通信』（中国）は「中日両国には多くの課題は残されているものの、３０００人から構成される日本からの中国訪問団は両国関係の未来に希望があることを示している」と報じた。
5月26日付『ＳＢＳ』（韓国）は、「過去の歴史領土問題で対立していた中国と日本の関係が、最近になって急速に改善している。習近平国家主席は、大規模な日本の観光交流団を直接受け入れ、安倍首相は、習近平主席に親書を送った。 問題はむしろ韓国であり、北東アジアの外交情勢が改善しているのに、韓国だけが出遅れているとの懸念が韓国で高まっている」と報じた。

ＡＰＥＣで日中首脳会談が実現したことには賛否両論あるが、やはり、尖閣諸島周辺で一触即発の状態にあった両国にとっては、大きな収穫だったといえるだろう。首脳会談後、２年７ヶ月ぶりに日中財務長官会談が開催され、中国外務省が日本の映画スター・高倉健死去に際し、異例のお悔やみを発表したり、小笠原周辺海域に大挙して押し寄せて、サンゴの違法操業を行っていた漁船も姿を消した。さらには、日本に対し強硬姿勢をとり続けてきた中国の李克強首相が、首相に就任して以来、初めて日本の有識者と北京人民大会堂で４０分にわたり会談し、両国関係を重視する姿勢を示すなど、両国関係には確実に変化の兆しが見えてきている。一方で、尖閣諸島に中国の海警が侵入し続けていることや、中国が非殺傷兵器（ＡＤＳ）を、巡視船に装備するなどの動きも出てきており、来年には、対日戦勝７０周年を祝う式典の開催を控えており、まだまだ油断はできない。はたして、日中関係は改善したのか、今後の日中関係はどのような方向に進むのか。各国は、日中首脳会談後の日中関係を、以下のように報じた。

12月4日付『漢拏日報』（韓国）は、「安倍晋三首相の円安政策が効果をあげ、日本の旅行が４４年ぶりに黒字に転じた」ことを報じた上で、「尖閣（中国名釣魚島）列島をめぐる紛争の影響で、昨年まで日本を訪れる中国人は毎年減少傾向にあったが、４月に日本を訪問した中国人は１９万人で、前年同月に比べて２倍近く増加した」と伝え、両国の関係が改善してきていることを示唆した。
一方、12月4日付『ニュースピム』（韓国）は、「安定成長を続けている中国の自動車市場において、伝統的に強かった日系自動車が苦戦しており、その代わりに、フランス系自動車メーカーがシェアを拡大してきている」と報じ、この原因について「（日中間の）領土紛争がある」と伝えた。...

12月4日付『漢拏日報』（韓国）は、「安倍晋三首相の円安政策が効果をあげ、日本の旅行が４４年ぶりに黒字に転じた」ことを報じた上で、「尖閣（中国名釣魚島）列島をめぐる紛争の影響で、昨年まで日本を訪れる中国人は毎年減少傾向にあったが、４月に日本を訪問した中国人は１９万人で、前年同月に比べて２倍近く増加した」と伝え、両国の関係が改善してきていることを示唆した。
一方、12月4日付『ニュースピム』（韓国）は、「安定成長を続けている中国の自動車市場において、伝統的に強かった日系自動車が苦戦しており、その代わりに、フランス系自動車メーカーがシェアを拡大してきている」と報じ、この原因について「（日中間の）領土紛争がある」と伝えた。
12月4日付『ハンギョレ』（韓国）は、「中国と日本の関係は、首脳会談後も膠着状態で、両国とも（尖閣諸島問題など）東シナ海の状態の意見の相違を認め、歴史を直視することなどを盛り込んだ中日関係の改善４項目に対し、我田引水の解釈をしている」と報じ、「中国海警が再び尖閣諸島海域に侵入するなど、緊張状態は相変わらず継続している」と伝えている。
12月5日付『ＳＢＳ』（韓国）は、中国の李克強首相が、北京で日本の有識者と会談したことを伝え、「日本のメディアは”この会談で、李首相が尖閣や靖国に言及しなかったことは異例なこと”と伝えた」と報じた。
12月4日付『人民日報』（中国）は、「来年は、中国の抗日戦争、反ファシズムの勝利７０周年勝利の記念式典が開催されるが、式典で日本の指導者が講演する予定。日本側メンバーは、中日間の若者の交流を強化したいと考えている」と報じた。