英国ワクチン諮問委員会、12歳~15歳までの子供へのワクチン接種を非推奨(2021/09/06)
英国のワクチン諮問委員会は3日、12歳から15歳までの健康な子供への新型コロナワクチンを推奨しないという結論を発表した。英国政府はこの結論に反対しており、4人の医療専門家に、子供へのワクチン接種の必要性についてさらに検討するよう依頼した。
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『スカイニュース』によると、ワクチンと予防接種についての合同委員会(JCVI)は3日、健康上の理由だけで12歳~15歳の子供に新型コロナワクチンの接種を推奨すべきではないという結論を下した。ただし、同委員会は政府に対し、新型コロナウイルスが学校教育に与える影響など「より広範な問題」を検討するよう助言している。
保健省は、JCVIからの助言を受けて、今後4人の医療専門家がこの年齢層の若者へのワクチン接種についてさらなるアドバイスを行うと発表した。...
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『スカイニュース』によると、ワクチンと予防接種についての合同委員会(JCVI)は3日、健康上の理由だけで12歳~15歳の子供に新型コロナワクチンの接種を推奨すべきではないという結論を下した。ただし、同委員会は政府に対し、新型コロナウイルスが学校教育に与える影響など「より広範な問題」を検討するよう助言している。
保健省は、JCVIからの助言を受けて、今後4人の医療専門家がこの年齢層の若者へのワクチン接種についてさらなるアドバイスを行うと発表した。医療専門家らは、臨床および公衆衛生の専門家やトップのリーダーたちを招集してこの問題を検討し、健康な12歳から15歳までの子供にワクチンを接種する普遍的なプログラムを推進すべきかどうかについて、閣僚に助言を与えることになる。
医薬品・医療製品規制庁(MHRA)は、ファイザー社とモデルナ社のワクチンが安全性と有効性に関する厳しい基準を満たしていることから、12歳以上を対象としたワクチンを承認している。一方JCVIは、米国、フランス、スペイン、イタリア、カナダ、オランダのように12歳以上への新型コロナ接種を進めている国々に倣うべきだという、大臣や科学者からの圧力を受ける中、慢性的な心臓疾患、肺疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、神経疾患などの基礎疾患を持つ、この年齢層の最もリスクの高い子供たちに限り、ワクチン接種を展開する必要があると発表した。
英『デイリー・メール』によると、イギリスでは、基礎疾患を持つ、12歳~15歳までの合計35万人の子どもたちがワクチン接種の対象となる。JCVIは、重度の疾患を持つ16歳以下の若者が新型コロナウイルスで重症化する確率は1万分の1であるのに対し、健康な子供の場合は50万分の1であるという。
JCVIは、健康な16歳未満の子供たちにワクチンを接種した場合、非常に稀な心臓の合併症が発生することから、ワクチン接種のメリットがリスクを「わずかに」上回るが、この年齢層全体に接種を推奨するほどではないとしている。
JCVIは、接種後に心筋炎として知られる心筋の炎症が起こるという極めて稀な事象について、短期間の入院観察を経て、通常は速やかに回復するものの、中長期的な影響はまだ不明であり、より明確な情報を得るためには、より多くの追跡調査が必要であると結論づけている。
一方、学校・大学指導者協会(ASCL)のバートン事務局長は、生徒にワクチン接種を推奨しないというJCVIの決定に失望していると述べた。この決定を尊重しつつも、「秋学期以降、ウイルスの感染による教育上の混乱を防ぐことがより困難になる」可能性があると述べている。保健相は、医療専門家の勧告があった場合、12歳から15歳の子供たちに速やかに予防接種を展開するための準備をするよう、国民医療サービスに要請している。
イースト・アングリア大学の医療微生物学者であるデビッド・リバモア教授は、世界は数十年とは言わないまでも何年もの間、新型コロナと付き合っていかなければならない中、自然免疫を持った子供たちの世代を持つことは、後になって感染者が急増するのを防ぐのに役立つだろうと述べている。自然感染は、ワクチン接種よりも、ウイルスとの「生涯にわたる共存の第一歩」になり得ると主張している。また、「子供や青少年にワクチンを接種する直接的な理由はありません。彼らは感染しても重症化する可能性は極めて低いです。一方ワクチンには、血栓や心筋炎など、まれですが重い副反応があります。高齢者や基礎疾患のある人にとって、これらの副反応はコロナ感染によるものに比べれば小さなものであり、ワクチンを接種することは当然賢明です。しかし、子供の場合は、リスクとベネフィットの比率がはるかに曖昧であり、逆転する可能性もあります。JCVIもこのような理由でこの年齢層への接種に反対しています。」と説明している。
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多数の医学誌が気候変動対策を要請(2021/09/06)
新型コロナウイルスのパンデミックに世界が対処する一方で、人々の健康に既に影響を与える気候変動への対策を先延ばししてはいけないとして、各国の医学誌が連名で論説を掲載し警鐘を鳴らしている。
9月6日付仏
『France24』(AFP通信引用)「200以上の医学雑誌が気候変動への早急な対策を要請」との見出しで以下のように報道している。
パンデミックに世界が対処する一方で、地球温暖化が人々の健康に既に影響を与えているため、気候変動への対策を先延ばししてはいけない、と各国の医学雑誌が警鐘を鳴らしている。
11月のCOP26気候サミットを前に、ランセット、イーストアフリカン医学ジャーナル、ブラジルの公衆衛生ジャーナル、国際看護レビューなどを含む220以上の医学雑誌が論説を掲載。...
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9月6日付仏
『France24』(AFP通信引用)「200以上の医学雑誌が気候変動への早急な対策を要請」との見出しで以下のように報道している。
パンデミックに世界が対処する一方で、地球温暖化が人々の健康に既に影響を与えているため、気候変動への対策を先延ばししてはいけない、と各国の医学雑誌が警鐘を鳴らしている。
11月のCOP26気候サミットを前に、ランセット、イーストアフリカン医学ジャーナル、ブラジルの公衆衛生ジャーナル、国際看護レビューなどを含む220以上の医学雑誌が論説を掲載。産業革命以来、気温が1.1度上昇したことが様々な問題の原因となっていると指摘し、「気温上昇により健康への害や、自然界の破壊が発生している」と警告した。
過去20年間で65歳以上の熱中症関連の死亡例が50%以上増加しており、「高温の気温は脱水症、肺機能低下、皮膚病、熱性感染症、 精神障害、妊娠合併症、アレルギー、心疾患、肺疾患等を引き起こす」。この影響を最も受けるのは、マイノリティ、子ども、貧困層だという。また、引き続く生物多様性の喪失により、回復不可能なダメージが与えられるという。
論説は、「世界では新型コロナへの取り組みが必要だが、パンデミックが去るまで、排出削減を待つことは出来ない」と強調。多くの政府がコロナ対応で「異例の予算」を必要としたように、環境危機にも「同様の緊急対応」を求め、各国政府は我々の生活を根本から変えるような社会経済の仕組みを作る必要があるとしている。
9月5日付米国『ウォール・ストリート・ジャーナル』は「気候変動対策が急がれる、医学誌が異例の要請」との見出しで以下のように報道している。
5日発表された有力な医学、看護、公衆衛生ジャーナル220誌以上の合同論説記事では、気候変動への緊急対策が訴えられた。この論説は、英国医学誌やランセットなどに掲載された。
これは現状では、二酸化炭素や温室効果ガス排出に起因する地球の気温上昇による健康問題対策が十分でないと警鐘を鳴らすもので、社会や経済組織や生活様式の根本的な改革を求めている。この論説は、米国や英国の他、中国、インド、オーストラリア、アフリカ、南アメリカの雑誌に掲載されており、英国の21の保健団体からなる気候変動に関する英国健康同盟の呼びかけで実現した。
米疾病管理予防センターによると、気温上昇などの異常気象は、ケガや早死の他、高血圧や心肺の疾患にも影響するという。ベルギーの災害疫学研究センターによると、2015年フランスでは異常気象により3300人が死亡したとされる。また気候変動は、不安や鬱を引き起こし、メンタルヘルスにも影響するという。2019年の「自然気候変動」の研究では気温上昇により自殺件数が増加するとしている。
論説では、富裕国に対し年間1000億の拠出目標を要請、気温上昇対策への低所得国支援として、交通システムや食品物流改善などへの資金的援助を求めている。
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