オーストラリア統計局は、2年間続いたパンデミックによる死亡者数の詳細に関する調査結果を発表した。オーストラリア統計局のデータは1月31日までの死亡者数を含めており、新型コロナウイルスが原因で死亡した人と、新型コロナウイルスの陽性反応を示しながらも別の原因で死亡した人を含む、2639人の死亡者に関する特徴を調べた。
豪ニュースサイト
『9ニュース』は、2020年3月から2022年1月までのオーストラリア全土で記録されたコロナ関連の死者2639人のうち、ウイルスが原因ではない死者は83人だったと伝えている。これらの人々は、新型コロナウイルスに陽性でありながら、癌などの他の症状で死亡した人達である。
新型コロナウイルスに起因する2556人の死亡者のうち、20人はコロナの長期的影響によるものだった。また、2556人のうち、疾患のない人は220人に過ぎなかった。死亡者の91.4%は他の疾患を抱えており、平均的してコロナウイルスと同時に2.7種類の他の疾患を抱えていた。
死亡者の69.5%(1776人)は、既存の慢性疾患を持つ人たちであった。既存の慢性疾患は、合併症のリスクを高め、その結果、死亡のリスクを高めることが知られている。1776人の死亡者のうち慢性心疾患の人が35.8%、認知症の人が30%、糖尿病の人が20.6%だった。
また死亡者は、男性が1428人であるのに対し、女性は1128人と、女性より男性の方が多かった。死亡した人の年齢の中央値は83.7歳で、男性が81.2歳、女性が86.0歳であった。
40歳未満では、男性15人、女性10人が亡くなっている。死亡の大部分は厳しいロックダウン措置をとったビクトリア州で発生しており、1557人が死亡した。
しかし、豪ニュースサイト『news.com.au』によると、オーストラリアで記録された新型コロナウイルスによる死亡者数は、パンデミック期間中にオーストラリア全土で確認された全死亡者数の約1%に過ぎなかった。同じ期間に、オーストラリアでは、10万人が癌で、3万2千人が心臓病で、3万人がアルツハイマー病と認知症で、1万人が糖尿病で亡くなっていた。
豪記者のベン・フォーダムは、今回の結果に関して、「状況を軽視しているわけではない」「家族の悲しみを無視しているわけではない」としながらも、「これらの統計は、我々が目撃した大げさな恐怖を煽るキャンペーンを暴露するものだ」と述べている。そして、パンデミック到来後のオーストラリアでの死因の99%以上は、コロナが原因ではなかったという事実は、政府が適切な政策を取っていなかったことを示していると主張している。また、ランセット誌が最近発表した研究で、米国では、肥満率が35%を超える16の州で、新型コロナウイルスによる死亡率が世界で最も高いことが報告していることを指摘した。「政府はなぜ、人々に健康になるように言わないのか。なぜ、最大の危険因子の1つは体重が多すぎることだと警告しないのだろうか。肥満の人を侮辱するのが怖いからなのか。毎日、健康上のアドバイスについて聞かされていたのに、最も重要な健康上のアドバイスは、健康的であればあるほど、コロナでも生き残る可能性が高くなるというものだったのではないか。」とコメントしている。
豪ニュースサイト『ブリスベン・タイムズ』によると、クイーンズランド州の保健局のジェラード医師は記者会見で、現在は、死亡原因が複雑化しており、新型コロナウイルスが直接原因で死亡した人もいれば、新型コロナウイルスに感染していても他の原因で死亡している者もいることを強調した。そしてこれは、新型コロナウイルスに勝利し始めている兆候だと述べた。医師は、「2021年に海外でこの病気を見てきた。若い人たちがウイルス性肺炎にかかって亡くなっていた。現在は、複数の健康上の問題を抱えた高齢者たちが亡くなっており、ウイルスがどの程度死因となっているのかを判断するのが難しい場合が多くなっている」と述べている。「2022年は、ワクチン接種によって、まったく違った状況になっている。ワクチン接種によって、この病気のあり方は完全に変わった。」とコメントしている。
閉じる
1月11日付
『AP通信』他:「1月11日に過去に発生した出来事」
●1861年
・南部アラバマ州が4番目の州として米合衆国から離脱。前年の米大統領選で奴隷制に批判的なエイブラハム・リンカーン(1809~1865年、1861~1865年在任の第16代大統領)が当選したことへの反発。その後同様に離脱した合計南部11州で米連合国(1861~1865年に存在した未承認共和国)を結成し、南北戦争(1861年4月~1865年5月)に突入。
●1908年
・第26代大統領セオドア・ルーズベルト(1858~1919年、1901~1909年在任)が、グランドキャニオンを国定記念物にすると宣言。その後紆余曲折あり、漸く1919年2月に議会が国定公園とする法律を制定。
●1913年
・初の密閉式セダン型自動車、ハドソンがニューヨークで開催された第13回全米自動車ショーでお披露目。メーカーはハドソン・モーター(1909~1954年に存続。他社と合併してアメリカン・モーターズに社名変更)。
●1927年
・ハリウッド映画界の名士が集ったロスアンゼルスのアンバサダーホテルでの晩餐会で、映画芸術科学アカデミー(AMPAS)を立ち上げ。1929年5月、第1回アカデミー賞(注1後記)開催。
●1935年
・米飛行士アメリア・イアハースト(1897~1937年)が、ハワイ州を飛び立ってオークランド(カリフォルニア州)に無事到着し、世界初の太平洋横断単独飛行に成功。
●1943年
・米国と英国が、中国における治外法権を放棄することに合意する中華民国(当時)・米国間及び中華民国・英国間協定に署名。
●1963年
・英国ロックバンドのビートルズ(1960~1970年)が、一躍人気グループに押し上げられることになった「プリーズ・プリーズ・ミー」(2枚目のシングル曲)を発表。
●1964年
・米軍医総監ルーサー・テリー(1911~1985年、1961~1965年在任)が「喫煙と健康」と題したレポートを発表し、その中で“喫煙は、肺ガンや気管支炎等特定疾患による死亡率悪化に少なからぬ影響を与えている”と断言。
●1978年
・ソ連の2人の宇宙飛行士を乗せたソユーズ27号が、ソ連の宇宙ステーション・サリュート6号(1977~1982年の間運用)にドッキング。
●1989年
・第40代大統領ロナルド・レーガン(1911~2004年、1981~1989年在任)が、退任を9日後に控えて、“国を変えるつもりだったが、むしろ世界の方を変えた”と任期8年を全うして満足するコメント。
●2003年
・イリノイ州知事のジョージ・ライアン(当時69歳、1999~2003年在任)が、退任2日前に州内の死刑囚167人に対して終身刑への減刑を決定。理由は、死刑判決のプロセスが“恣意的であったりむらがあったりするので、人道に反する”と考えるため。
●2010年
・メジャーリーグベースボール(MLB、1903年発足)のマーク・マグワイア元選手(当時46歳、1986~2001年の間MLB 5球団に在籍)が『AP通信』のインタビューに答えて、1998年に70本のMLB最多ホームラン記録を打ち立てたとき、ステロイドや成長ホルモンを使用していたと告白。1998年当時は道義的に使用が問題視されていたものの、ドーピング違反問題が深刻化したのは2005年であり、当該記録は依然有効。但し、このため同元選手は野球殿堂入りの資格を喪失。
●2012年
・オランダ人のレストラン経営者ヨラン・バン・デル・スルート容疑者(当時24歳)に対して、2010年にリマ(ペルー首都)においてペルー人ステファニー・フローレス(当時21歳)を強盗目的で殺害した罪で28年の禁固刑。なお、同容疑者は、2005年にカリブ海のオランダ領アルバに旅行で来ていた米国人ナタリー・ホロウェイ(当時18歳)の失踪事件の重要参考人とされているが、依然未解明。
●2017年
・第45代大統領就任直前のドナルド・トランプ(当時70歳、2017~2021年在任)がニューヨークのトランプタワーで行われた記者会見で、大統領選の際に民主党本部にサイバー攻撃が仕掛けられていた事件の背後にロシア関係者がいることを初めて認める旨発言。また、可及的速やかにバラク・オバマ前大統領(2009~2017年在任の第44代大統領)が導入した医療福祉制度を廃案とすること、及び密入国阻止のためにメキシコ国境にメキシコ負担で壁を建設することを議会に要求すると強調。
・米連邦裁判所が、ドイツ自動車会社フォルクスワーゲン(1937年設立)のドイツ人幹部6人に対して、米排ガス規制不正容疑で有罪判決。また、同社に対して罰金43億ドル(約4,950億円)の賦課を決定。これは自動車メーカーに科された罰金の最高額。
●2020年
・中国の武漢(ウーハン)医療福祉局が、新型コロナウィルス(COVID-19)による初めての犠牲者が出たと発表。61歳の患者で、COVID-19感染源とされる魚市場にしばしば通っていたと説明。
●2021年
・保守系のソーシャルネットワークサービス“パーラー(注2後記)”が、5日前に発生した米議会議事堂乱入事件に関与した被疑者らの打ち合わせ等に使用されていたことを理由に、強制的にオフライン。但し、事件解明に資する投稿文や関係資料は被疑者らによって直前に消去。
・カリフォルニア州南部のサンディエゴ・サファリパーク(1972年開園)の7頭のゴリラがCOVID-19に感染。野生でない動物の初感染の可能性。
(注1)アカデミー賞:米映画の健全な発展を目的に、キャスト、スタッフを表彰し、その労と成果を讃えるためのAMPASによる映画賞で、オスカー(The Oscars)としても知られている。毎年2月末から3月初めにロサンゼルスのドルビー・シアターで授賞式が行われる。授賞式前年の1年間に米国内の特定地域で公開された作品を対象に選考され、また映画産業全般に関連した業績に対して贈られる。
(注2)パーラー:2018年8月に開設された、非主流を自称するミニブログ。ツイッターやフェイスブック(現メタ)等の主流のソーシャルネットワークに代わる、言論の自由と偏見のない選択肢として自らを宣伝。2021年の米国議会議事堂の襲撃の調整に使用されたという告発を受けた後、アップル、グーグル、アマゾン等テック企業がモバイルアプリを削除する等した結果、オフラインとされ締め出し。
閉じる