米メディア;大雨に伴う洪水や地震に耐える日本(2015/09/14)
世界各地で、気候変動に伴う洪水、干ばつ、嵐等の大災害が発生しており、自然の恐ろしさを伝えるニュースが、毎日のように報道されている。その中にあっても、地震が頻発する日本は、火山の噴火に加えて、台風に伴う集中豪雨、洪水被害に見舞われることが多く、米メディアも注目しており、先週の東日本の大洪水と東京の地震について、速報で伝えている。
9月12日付
『CNNニュース』は、「大洪水で、280万人に避難勧告」との見出しで、「総務省消防庁によると、台風に伴う大雨による洪水で、東日本の10県にわたり被害が発生し、3人が死亡、16人が行方不明、そして少なくとも27人が負傷し、280万人の住民に避難勧告が出され、うち約18万3,500人には避難指示が出されたという。特に被害のひどかった常総市(茨城県)では、自衛隊等による救出活動が続けられている。...
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9月12日付
『CNNニュース』は、「大洪水で、280万人に避難勧告」との見出しで、「総務省消防庁によると、台風に伴う大雨による洪水で、東日本の10県にわたり被害が発生し、3人が死亡、16人が行方不明、そして少なくとも27人が負傷し、280万人の住民に避難勧告が出され、うち約18万3,500人には避難指示が出されたという。特に被害のひどかった常総市(茨城県)では、自衛隊等による救出活動が続けられている。今回の洪水被害の主たる原因は、台風“アータウ”(台風18号、注後記)に伴う記録的な豪雨による河川の氾濫で、常総市の他、宮城県、栃木県でも堤防が決壊し洪水の被害が出ている。なお、福島原発の所有者の東京電力は、今回の集中豪雨で、同原発内の汚染水が少々海に流出したことを認めている。」と報じた。
同日付
『ロス・アンゼルス・タイムズ』紙は、「洪水で、15人が依然行方不明」との見出しで、「記録的豪雨により鬼怒川の堤防が決壊したため、茨城県では5,000人以上の住民が避難し、そのうち常総市の住民は3,600人にも上る。なお、常総市他では避難所が設けられ、被災者に食糧、飲み水、毛布、トイレットペイパー、おむつなどの必需品が用意されている。」と伝えた。
一方、同日付
『ラピッド・ニュース・ネットワーク』オンラインニュースは、「東京都心で地震発生、しかし建物の損壊なし」との見出しで、「9月12日未明、東京都心でマグニチュード5.2の地震が発生し、少なくとも12人が負傷した。気象庁の発表によると、震源地は東京湾で、震源の深さは海面から70キロメーターという。依然、震度4前後の余震が発生する可能性を警告しているが、この地震は、東京の北に位置する常総市で洪水被害が発生した翌日に起こっており、被害の増大が懸念される。なお、地震発生時、地下鉄や電車は一時的に運行停止されたが、間もなく復旧している。」と報じた。
なお、日本のメディアのその後の報道では、常総市の高杉市長が9月13日、甚大な被害が出た同市の一部の地域の住民に、堤防決壊前に避難指示を出さなかったことについて、ミスだったと謝罪したという。鬼怒川の水位が上昇しているとの情報提供があった地域には避難指示を出したものの、被害に遭った地域の情報がなかったことと、その箇所が決壊するとは予想しなかったとの弁解をしている。2013年10月の台風26号直撃に伴う土砂災害(49名の死者・行方不明者)や2014年8月の広島市の豪雨による土砂災害(75名の死者、44名の重軽傷者)において、行政による避難勧告、避難指示の遅れが犠牲者の増加につながったとの非難の声が多かったにも拘らず、今回も行政側の不手際が露呈することになった。地震含めた自然災害が多く発生する日本において、リスク・マネジメント(想定内は当然として、想定外の事態に備える対策)の不十分さが浮き彫りになるのは、非常に残念なことである。
(注)台風“アータウ”:日本他14ヵ国からなる“台風委員会”が2000年以降、北西太平洋あるいは南シナ海の領域で発生した台風に、予め用意した140個の名前のリストから発生順に命名することにしたもので、“アータウ”は83番目の名前。なお、毎年台風は約26個発生するので、同リストの名前は約5年毎に一巡する。
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米メディア;過激派組織イスラミックステートNo.2幹部殺害(2015/08/24)
8月10日付「過激派組織イスラミックステート(IS)の脅威」の中で、“ISは、キリスト教徒を含む住人300人近くを拉致したり、イラクの当局者300人を殺害したりと、依然自身の定めるイスラムの掟に従って残虐な行為を繰り返している”と報じた。そうした中、米軍による空爆で、ISの最高指導者アブバクル・バグダディ容疑者に次ぐ副司令官の立場にあった、ハジ・ムタッツ幹部が殺害されたと米メディアが伝えた。
8月21日付
『CBSニュース』は、「米安全保障会議(NSC)は8月21日、今月18日にイラク北部モスル近郊で実施した空爆で、ISのNo.2幹部のハジ・ムタッツ容疑者(ファディル・ハヤリという別名も持つ)を殺害したと発表した。ムタッツ容疑者はイラクにおける軍事作戦を指揮しており、資金調達(注後記)も担当していたと言われる。」とし、NSCのネッド・プライス報道官のコメントを引用して、「ハヤリ容疑者の死亡で、資金調達、メディア対応、軍事作戦等でISには大きな打撃となったはず。...
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8月21日付
『CBSニュース』は、「米安全保障会議(NSC)は8月21日、今月18日にイラク北部モスル近郊で実施した空爆で、ISのNo.2幹部のハジ・ムタッツ容疑者(ファディル・ハヤリという別名も持つ)を殺害したと発表した。ムタッツ容疑者はイラクにおける軍事作戦を指揮しており、資金調達(注後記)も担当していたと言われる。」とし、NSCのネッド・プライス報道官のコメントを引用して、「ハヤリ容疑者の死亡で、資金調達、メディア対応、軍事作戦等でISには大きな打撃となったはず。」と報じた。
同日付
『Yahooニュース』(
『AFP通信』記事引用)は、「国防総省高官が以前、ハヤリ容疑者は昨年12月の有志連合の空爆で死亡した、別名アブ・トゥルクマニ容疑者と同一人物だと述べていたが、NSCは今回の空爆でハヤリ容疑者が殺害されたと確認した。なお、ハヤリ容疑者は、サダム・フセイン政権時代の軍幹部で、その後ISに参加し、現在のISのイラク拠点となっているモスルを、2014年6月に制圧した際の作戦を担ったと言われる。」とし、「一方、ISによる残虐な行為は続いていて、今月初め、モスル市内及び近郊で、イラクの警察官、軍関係者、地方公務員、ジャーナリスト、医者、そして人権擁護者など2,000人以上が殺害されている。ISの発表では、イスラムの掟に背いたためと言われている。」と伝えた。
一方、8月22日付
『ラピッド・ニュース・ネットワーク』オンラインニュースは、「米軍関係者によると、ISは8月11日にクルド人部隊ペシュメルガを攻撃した際、発ガン物質を含む化学兵器を使用した疑いがあるという。現在、使用された化学物質の精密検査が行われているが、最初の簡易検査では発ガン性毒物が検出されている。2013年にシリアが化学兵器を使用したことから、米ロの外交交渉の結果、当該化学兵器の撤去、廃棄が行われたが、シリアを制圧しつつあるISが化学兵器を手に入れた可能性が否定できない。もしそれが事実だとすると、無慈悲、無道徳のISが無差別殺りくに使用することとなり、ISを勢い付けてしまうおそれがある。」と報じた。
(注)資金調達:制圧したイラク油田などから生産する石油を闇で取引したり、国外のIS信奉者からの支援金を募ったりする仕事で、今年5月に資金調達担当幹部のアブ・サヤフ容疑者が殺害されてから、ムタッツ容疑者が指揮していたと言われる。
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