EU外相;ウィルス禍に乗じてEU分断を画策する中国に要注意と警鐘【米・英国メディア】(2020/05/17)
5月15日付Globali
「新型コロナウィルス感染問題でより鮮明になった中国政府のしたたかさと弱い者いじめ」で報じたとおり、中国は、自国より経済力・軍事力が遥かに劣る国が自国政策に批判の声を上げると、見え見えの輸入規制を敷いたりして徹底的に痛めつける。そして、この傾向は欧州連合(EU)にも当てはまるようで、この程EU外相が、新型コロナウィルス(COVID-19)問題で中国側支援に期待するのも結構だが、これに乗じてEU分断が図られないよう、EUが一枚岩となって大国中国に対応していく必要があると警鐘を鳴らした。
5月16日付米
『ニューズウィーク』誌:「EU外相、中国によってEUが分断されないようEUは一枚岩となって対応が必要と警鐘」
EU外務・安全保障政策上級代表(外相に相当)のジョセップ・ボレル氏(73歳、スペインの政治家)は、“国家権力主義”を浸透させるべく、中国がEUにおいて分断を図ろうとしているので注意が必要だと警鐘を鳴らした。
5月15日付の欧州主要紙に投稿したもので、同氏は、中国が“友好国”だと仕切りに売り込んできているが、“大国に当たっていくためには、EU加盟国が一枚岩となって対応していく必要がある”と説いた。...
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5月16日付米
『ニューズウィーク』誌:「EU外相、中国によってEUが分断されないようEUは一枚岩となって対応が必要と警鐘」
EU外務・安全保障政策上級代表(外相に相当)のジョセップ・ボレル氏(73歳、スペインの政治家)は、“国家権力主義”を浸透させるべく、中国がEUにおいて分断を図ろうとしているので注意が必要だと警鐘を鳴らした。
5月15日付の欧州主要紙に投稿したもので、同氏は、中国が“友好国”だと仕切りに売り込んできているが、“大国に当たっていくためには、EU加盟国が一枚岩となって対応していく必要がある”と説いた。
何故なら、中国はCOVID-19感染拡大深刻化の中、EU内のそれぞれの国に対して微妙な差をつけて外交を進めてきており、その結果EU内での分断が図られる恐れがあるからだ、としている。
同氏は、COVID-19での中国支援について、支援を受けた加盟国に“世界に周知”するよう求めている節があると懸念している。
具体的には、かつて、中国がCOVID-19感染で医療崩壊危機に直面していた際、EUは余計なことを言わずに中国に支援の手を差し伸べたが、今回EUが同様な危機に陥った際、中国は医療機器等を大量に送ってきて、しかも世界が注目するよう喧伝しているからだとする。
同氏は最後に、“困難の際にお互いに助け合う国際的連帯が必要”だとしながらも、“EU方針がそうであるように、その支援を政治的影響力に結び付けてはならない”と強調した。
EUは4月、中国がCOVID-19感染拡大の責任逃れのため、故意に偽情報を拡散してその問題から眼を逸らさせようとした疑いがあるとの報告を出したところ、中国政府は、トランプ政権の中国批判に加担するためのものだとして、当該報告を葬り去ろうと画策したとして非難している。
なお、ボレル氏は新聞掲載と同日に、“EUと中国は友好関係だけでなく経済的な競争相手でもあるが、両者間の協力関係は信頼と平等互恵に基づくものでなければならない”とツイートしている。
5月15日付英国『ロイター通信』:「EU外相、COVID-19発生源について独立機関の調査を要求」
EU外交担当トップのボレル氏は、5月15日発行のドイツ紙『フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング』(1949年創刊の日刊紙、社名は“フランクフルト総合新聞”の意)のコラムに投稿して、“中国はCOVID-19感染が世界中にこれ以上拡大しないよう貢献すべき”だとした上で、“感染拡大を引き起こしたウィルス発生源について、独立した調査機関による科学的調査が必要”だとも強調した。
更に同氏は、中国は以上に加えて、“ワクチン開発、経済再活性化に貢献するだけでなく、特に感染被害が甚大な途上国が抱える債務返済について大半を猶予することが求められる”とも付言した。
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ドイツ総選挙、浮動票取り込みを狙って与・野党党首が躍起【米・英国メディア】(2017/08/26)
8月6日付
Globali「メルケル首相、連邦議会総選挙前に州議会選挙で追い風続く」の中で触れたとおり、9月24日の総選挙を控えて、アンゲラ・メルケル首相(63歳)率いるドイツキリスト教民主党(CDU)が3つの州議会で連勝し、勢いをつけている。しかし、世論調査では、浮動票が半分近くを占めるため、目下のところ支持率が劣勢となっている、野党のドイツ社会民主党(SPD)代表のマルティン・シュルツ党首は、欧州議会議長だった職歴を活かして、欧州連合(EU)におけるメルケル首相の失政をあげつらうことで追い落としを図っている。一方、メルケル首相は、庶民派と言われるシュルツ氏を意識してか、自家製ポテトスープのレシピを公開したり、目立つことが嫌いな夫のヨアヒム・ザウアー大学教授(68歳、フンボルト大学ベルリン校で量子化学専攻)を引っ張り出したりと、懸命である。
8月26日付米
『ブルームバーグ』オンラインニュース:「シュルツ党首、メルケル首相はEUを“不安定に”したと批判」
SPDのマルティン・シュルツ党首は8月25日、フランクフルトに4千人余りの支持者を集め、アンゲラ・メルケル首相はEUでの信頼を失い、また、EU加盟国を不安に陥れていると批判した。
同氏は、メルケル首相及びウォルフガング・ショイブレ財務相の緊縮財政を強いる政策によって、EU加盟国の連携やユーロ通貨の統合を危うくしているとした。...
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8月26日付米
『ブルームバーグ』オンラインニュース:「シュルツ党首、メルケル首相はEUを“不安定に”したと批判」
SPDのマルティン・シュルツ党首は8月25日、フランクフルトに4千人余りの支持者を集め、アンゲラ・メルケル首相はEUでの信頼を失い、また、EU加盟国を不安に陥れていると批判した。
同氏は、メルケル首相及びウォルフガング・ショイブレ財務相の緊縮財政を強いる政策によって、EU加盟国の連携やユーロ通貨の統合を危うくしているとした。支持率でメルケル首相率いるCDUに差を付けられていることから、SPD党首として巻き返しを図ろうとしている。
なお、8月25日にリリースされた直近のFGワーレン世論調査の結果、CDUの支持率が39%であるのに対して、SPDは4月時の32%から22%まで後退している。新興右派政党ドイツのための選択肢(AfD)は9%、また、SPDと共闘しているGreenは8%となっている。
8月24日付英
『ザ・テレグラフ』紙:「アンゲラ・メルケル首相、浮動票が半数との世論調査結果を受けて、支持獲得のため自家製ポテトスープのレシピを公開」
メルケル首相は、9月24日に行われる連邦議会選挙で勝利し、4期目を目指している。しかし、直近のフランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング(フランクフルト総合新聞)紙世論調査の結果、依然CDUはSPDに勝っているものの、支持政党なしの浮動票が46%もいるという。
そこで、同首相は、国民食であるポテトスープの自家製レシピを公開したり、目立つことが嫌いな夫のヨアヒム・ザウアー量子化学教授との仲睦まじさをアピールし、浮動票取り込みに躍起となっている。
なお、各党の支持率は、CDU 39.5%、SPD 24%、自由民主党(FDP)10%である。また、反移民政策を標榜していることで、メルケル首相がその台頭を恐れるAfDは7%と、以前の勢いを落としている。
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