ウラジーミル・プーチン大統領(70歳、2000年就任)は、己が始めたウクライナ特別軍事作戦が全く期待どおりに進まず、いよいよロシア国内からの反発に伴う強制排除のクーデターに怯えているとみられる。そうした中、ウクライナ秘密情報部隊が同大統領の動静情報を傍受して攻撃ドローンによる暗殺を試みたが、失敗に終わった模様である。ただ、同大統領に関わる情報が漏れたことを全否定する必要があるためか、ロシア公安当局は墜落したドローンの回収含めて、事態を隠蔽しようとしている。
4月27日付英国
『エキスプレス』紙、米国
『ウェスターン・ジャーナル』オンラインニュース等は、プーチン大統領の動静をキャッチしたウクライナ秘密情報部隊が、ドローン爆撃機で同大統領を暗殺しようとしたが失敗に終わった模様だと報じている。
ドイツの『ビルト』紙(1952年創刊)の速報によると、モスクワ郊外訪問予定のウラジーミル・プーチン大統領を暗殺しようとした、ウクライナ製攻撃ドローンUJ-22が墜落したという。
同紙は、“当該ドローンは、飛翔距離が800キロメートルに及ぶ、ウクライナが保有する最も近代的な無人機で、ウクライナから同ドローンが目指した地域までは500キロメートルであり、全く問題がない”とした上で、“同ドローンには17キログラムの爆弾が装着されていて、これは米軍、カナダ軍やその他同盟国がよく使用しているものだ”と報じている。
同紙はまた、ウクライナ活動家ユーリ・ロマネンコ氏のインタビューを掲載し、“我々の仲間(ウクライナ秘密情報部隊)が、プーチン暗殺を企てて神風ドローンを飛翔させたところ、ロシアの防空網を突破したものの、(プーチンが訪問しようとしていた)工業団地近くで墜落してしまった”と報じた。
同紙は更に、プーチン大統領が無人航空機開発を推し進めているモスクワ郊外のラドネボ工業団地を4月23日に訪問する予定だとの情報をキャッチしたウクライナ秘密情報部隊が、同大統領暗殺を目論んで同攻撃ドローンを飛翔させたものだと報じている。
ロシア地元紙は、モスクワ東方郊外のウォロスコーゴ村に、ドローンが1機破壊され墜落したと報じている。
同村は、プーチン大統領が訪れるとされたラドネボ工業団地の東方約20キロメートルに位置している。
また、親ロシア政権派のSNS投稿者による情報によると、同工業団地近くのいくつかの建物が爆弾によって破壊されたと言及しているが、それが同ドローンによるものなのかまでは不詳だとしている。
ただ、米国『デイリィ・ビースト』オンラインニュース(2008年設立のリベラル系メディア)報道によると、ロシア公安当局は、暗殺未遂事件があったと疑われるような証拠品を回収し、事態を隠蔽しようとしているという。
ロシア国営メディアも、暗殺計画に言及する西側メディア報道とともに映し出されたドローンの残骸について、当該ドローンがロシア領内に侵入してきたはずがないと否定報道している。
なお、プーチンの公式訪問についてはこれまで、訪問実現後に公表されるのが常であるが、西側メディア報道では、4月27日現在、同工業団地をまだ訪問してはいないとされている。
一方、4月27日付ロシア『タス通信』は、同大統領が昨年末に開発承認した、無人航空機開発プロジェクトの中心となる同工業団地を、4月27日に訪問予定としていると報じている。
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4月7日付
『AP通信』は、「中国・SI間安全保障協定によって太平洋地域に警報」と題して、近々締結の運びとなる両国間協定に基づき、中国による南太平洋地域の海外軍事拠点創りによって、西側諸国にとって同地域の安全保障が危うくなると報じている。
中国とSIの間で、まもなく「安全保障に関わる協定」が締結されることとなり、南太平洋地域に脅威をもたらす恐れがある。
すなわち、中国が同協定を梃に大規模軍事拠点の構築を着々と進めることになるのか、あるいは、西側諸国が同協定に敵意を示すことが中国側にうまく利用されてしまうかも知れないからである。
仮に中国がSIに軍事拠点を築くことになると、それは至近距離にある豪州やNZの安全保障のみならず、米国の主要海外基地のひとつであるグアム基地にとっても問題視されることになる。
中国は2017年、ソマリア沖海賊対策の名目で、アフリカ北東部のジブチ(1977年フランスから独立、紅海・アデン湾を繋ぐ海峡に面する重要拠点)に初となる海外軍事基地を設営しており、その後も海外拠点開設に向けて動いていた。
SI政府は先週、当該協定の原案の作成に取り掛かり始めていて、“最終文案”が固まり次第署名の運びとなると発表した。
これまで明らかになった原案によると、中国軍艦が“兵站”のためにSIに寄港することが認められ、また、SIの求めに応じて中国が、“SIの国内秩序を安定させるため”に警察・兵隊やその他治安部隊を送るとされている。
更に、当該協定の内容に関し、メディア対応含めて、中国の同意なしに公表することはできないとされている。
SI政府は、2019年に4回目の登場となるマナセ・ソガバレ首相(67歳)が就任するや否や、台湾と断交して中国との国交を回復すると決定している。
ただ、野党勢力含めて中国依存度の高まりに不満を持った住民らによって、2021年11月に大規模デモが引き起こされ、SIと友好関係にあった豪州政府が警察や軍人を送って鎮静化させている。
かかる状況もあって、SI政府は今週、“国内において何度も発生する暴動で、多くの政府施設等が破壊されていることに辟易している”と表明し、中国及びSIともに、今回の協定締結によって中国の軍事基地開設の取っ掛かりとなるものではなく、あくまでSIだけでは暴動を鎮圧できないので、中国の支援を仰ぐためのものだ、と強調した。
しかし、豪州・NZ及び米国も、当該協定の締結に強い懸念を表明している。
NZのジャシンダ・アーダーン首相(41歳、2017年就任)は、“非常に問題となる”と改めて強調している。
また、SI近隣のミクロネシア連邦(1986年米国より独立)のデビッド・パヌエロ大統領(57歳、2019年就任)は、ソガバレ首相宛に書簡を出し、当該協定締結を思い止まるよう訴えた。
同大統領は、第二次大戦時にSIやミクロネシアが旧日本軍と米軍等の連合軍との間の激戦地になったことを例に挙げ、再び大国間の戦略拠点になることを懸念すると強調した。
しかし、SI警察相は、SIの協定のことより、ミクロネシアの環礁島が気候変動に伴い海底に沈んでしまうことの方を心配した方が良い、と嘲るコメントを出している。
一方、豪州国防軍統合作戦部長のグレッグ・ビルトン中将(57歳、2019年就任)は記者団のインタビューに答えて、もし中国軍艦がSIを拠点として活動するようになったら、“状況を一変させる”ことになると懸念を表明した。
同中将は、“SIは豪州本土至近であることから、豪州軍の日々の対応、特に領空や海上において特別警戒が必要となるからだ”と付言した。
しかし、豪州シンクタンク、ローウィ・インスティテュート(2003年設立)太平洋諸島問題研究部門のジョナサン・プライク部門長は、首脳らは少々過剰反応気味だとし、特に豪州は5月に総選挙を控えていることから尚更だとコメントした。
同部門長は、“西側諸国にとっては非常に気にかかり、かつ、緊急事態とみられるが、(軍事基地化等)事態がそう簡単に動いていくことはないと思う”と言及した。
更に、“注意警報を鳴らし過ぎると、反ってSIに中国寄りに追い込んでしまうかも知れない”とも付言した。
一方、同日付豪州『スカイニュース豪州』テレビは、「豪州情報部門幹部、中国と安全保障協定締結予定のSIを訪問し同国首相と緊急会談」と題して、SIが同協定を締結する前に豪州政府の懸念を伝えたと報じている。
豪州の情報部門の幹部2人が4月7日、同国が中国と締結しようとしている「安全保障協定」について討議するため、急遽SIを訪問した。
豪州秘密情報局(ASIS、1952年設立)のポール・サイモン局長(61歳、2017年就任)及び豪州国家情報会議(ONI、1977年前身設立)のアンドリュー・シアラ―議長(2020年就任)で、SIのソガバレ首相と直接会談し、豪州政府の懸念を伝えた。
しかし、同首相は会談後、当該協定締結を諦める意思がないとの声明を発表した。
同首相は、“両者との会談において、SIが中国のみならず他国と幅広い安全保障協定を締結していくとの意思について、両国間での理解を深めることに重点が置かれた”と言及した。
その上で同首相は、“中国は豪州・SI双方にとって重要な貿易相手であり、また、SIとしても、豪州との二国間安全保障協定を高く評価しており、かつ、豪州は今後もSIにとっての最適なパートナーだ”とも付言した。
なお、同首相は会談前日の4月6日、3月にリークした当該協定草案に関し、国際社会から反発を受けたことについて憤っていると述べている。
何故なら、当該協定草案には、中国に基地を提供するなどという条文は一切言及されていないからだ、と強調した。
そして同首相は、“SIがある国に基地を提供するということになれば、他国から軍事上の標的にされる恐れがあるので、そのような事態を招くことは全く望んでいないからだ”とも付言している。
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