【Globali】
トランプ大統領のスウェーデン発言の波紋(2017/02/22)
トランプ米大統領は2月18日フロリダ州で支持者を集めた集会を行ったが、その中で自分の特定国からの入国を禁止した移民政策の正当性を訴えるために中東からの難民を受け入れているスウェーデンですら問題が起こっていると発言し、これが様々な波紋を起こしている。大統領はあたかも前日の夜スウェーデンでテロが起こったような発言をしたため、そのような事実はないとしてスウェーデン政府までが米国政府に発言の確認を求めることになった。その後大統領が明らかにしたところでは、前日の夜テレビで放送されたフォックスニュースの番組でスウェーデンの難民が犯罪等の問題を起こしている事実が紹介されたことを指しているものであった。米大統領の発言としては正確性を欠き混乱を招くものと言わざるを得ない。この発言を大統領がスウェーデンでテロが発生したと発言したと報じた日本の新聞、テレビに対しては、大統領はテロが起きたとは一言も言っておらず、誤報だという批判も出ているようであるが、大統領は真にお騒がせマンである。
2月20日付
『ニューヨークタイムズ』は、「テレビ司会者の発言、トランプ大統領の耳へ、その後スウェーデンの不信へ」という見出しでこの騒動とその波紋を伝えている。
金曜日の夜フォックスニュースは、最近のイスラム教徒の移民により発生、エスカレートするスウェーデンの暴力問題についてのドキュメンタリー制作者へのインタビューを放送し、製作者ホロビッツ氏は「スウェーデン政府はこの問題を隠蔽しようと努めている」と発言、司会者のカールソン氏は「それはひどい」と応じた。...
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2月20日付
『ニューヨークタイムズ』は、「テレビ司会者の発言、トランプ大統領の耳へ、その後スウェーデンの不信へ」という見出しでこの騒動とその波紋を伝えている。
金曜日の夜フォックスニュースは、最近のイスラム教徒の移民により発生、エスカレートするスウェーデンの暴力問題についてのドキュメンタリー制作者へのインタビューを放送し、製作者ホロビッツ氏は「スウェーデン政府はこの問題を隠蔽しようと努めている」と発言、司会者のカールソン氏は「それはひどい」と応じた。それを見ていた大統領はうなずき、その瞬間トランプ大統領の外交政策への取り組みの異常さ、更にはテレビが彼の考えに与える影響を明白に示した外交問題が発生した。大統領は翌日のスピーチに前夜スウェーデンでテロが起きたことを示唆するような発言を盛り込んだ。スウェーデンは大統領の説明に反発し偽りであるとしているが、そんな具合に大統領は公式報告書、情報機関の報告書、政府関係機関との協議、恐らく国務長官の助言もなしで永年の友好国といざこざを始めてしまった。
面食らったスウェーデンのビルト元首相はメールで「米国大統領は世界で最も多くの情報を持ち自分の発言の重要性を認識していると思っていたが、突然、どう見ても疑わしい情報源に頼って誤報を使用し友好国を傷つけた」と語った。この事態に大統領側近は、大統領は特定のテロ事件というよりは一般的な犯罪の増加に言及したものと火消しに努めたが、大統領は逆に火に油を注ぐようにツイッター上で米国の報道機関はスウェーデンの危険な実態をごまかしているとして「市民を馬鹿にするな。偽ニュースメディアはスウェーデンの大量難民受け入れが上手く行っていると言う。そんなことはない。」と発言した。スウェーデンのローベン首相は記者会見で「課題を抱えているのは事実であるが、事実は正確に扱い、公表する際は事実確認をする責任がある」と述べた。トランプ大統領は現代における他の大統領と違う方法で情報を取得し、処理し、利用する。夜テレビを見て、それをツイッターや演説、インタビューに組み入れるようだ。
スウェーデン犯罪防止協議会が先月発表した統計によると多くの難民を受け入れた2015年と2016年に犯罪が大きく増加している事実はない。スウェーデンのマルモ大学の犯罪学の博士課程の大学院生によると難民による重大な犯罪の発生率は非常に高いが、被害者も難民である場合が多いという。この院生は皆が賛成するとは思わないがと前置きして、難民受け入れで若干犯罪は増えるかも知れないが、倍増する訳ではなく耐えられるレベルであると思うと語る。フォックスニュースのインタビューでホロビッツ氏はスウェーデンでは強姦や暴力が増加しているが、スウェーデン人の多数は引き続き開放政策を支持していると語った。スウェーデンの新聞が月曜日報じたところによると、ホロビッツ氏から質問を受けた二人の警察官の発言では、同氏は自分の主張を正当化するために二人の意見を歪めてドキュメンタリーに利用したというと報じている。
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イタリアの銀行に公的資金注入へ(2016/12/28)
1472年創業で世界最古の銀行と言われる、イタリア第三位のモンテパスキ銀行は2008年の金融危機により生じた不良債権の処理が遅れており、今年行われた欧州中央銀行(ECB)の資産査定で資本不足を指摘されたため自力による50億ユーロの増資を検討したが、十分な資本を集めることが出来なかった。このためイタリア政府は公的資金の注入による救済に乗り出したが、12月27日のECB発表によると12月に入って預金の流出が加速しており資本不足額は80億ユーロにのぼる模様である。また金融危機後EU加盟国間で定めたルールによると、今後政府が銀行を救済する場合は、その銀行への投資家も一定の損失負担を負うことになっているが、ドイツ連銀の総裁は今回のイタリア政府の救済がこのルールに則っているか疑問を呈しており、最終的に欧州委員会の承認が取れるのか見通せない状況にある。金融危機とギリシャ危機で大きく傷ついた欧州の銀行には未だ未だ問題が残っているようである。
12月27日付
『メールオンライン』(ロイター通信引用)は、「イタリア、モンテパスキ銀行救済のため65億ユーロ注入へ」という見出しで、火曜日消息筋が語ったところによると、イタリア政府は同国第3位のモンテパスキ銀行救済のため、当初予想を上回る約65億ユーロの公的資金を注入する見込みであると報じた。注入額が増加した理由は、ECBが同行の資本不足額を50億ユーロから88億ユーロに改定したためである。同行は先週50億ユーロの自力増資が不首尾に終わったため政府の支援を要請していた。...
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12月27日付
『メールオンライン』(ロイター通信引用)は、「イタリア、モンテパスキ銀行救済のため65億ユーロ注入へ」という見出しで、火曜日消息筋が語ったところによると、イタリア政府は同国第3位のモンテパスキ銀行救済のため、当初予想を上回る約65億ユーロの公的資金を注入する見込みであると報じた。注入額が増加した理由は、ECBが同行の資本不足額を50億ユーロから88億ユーロに改定したためである。同行は先週50億ユーロの自力増資が不首尾に終わったため政府の支援を要請していた。65億ユーロの資本を注入後イタリア政府の同行への出資比率は約70%となる。残りの23億ユーロはEUの新しい銀行救済ルールに従い、機関投資家が保有する劣後債券を株式に転換して調達する。但し、約4万人の小口投資家が持つ総額20億ユーロの劣後債は株式に転換するが、これをイタリア政府が普通社債に転換し補償する予定である。この救済案はEUの承認を必要とし、承認には2、3ヶ月を要すると見られる。モンテパスキ銀行はこの夏のECBによる資産査定で最も弱体化している銀行と認められたが、予定通り公的資金が注入された場合、イタリア政府が同国の問題銀行救済のために用意した200億ユーロのうち約3分の1を使いきることになると報じている。
12月27日付
『ドイッチェヴェレ』は、「ドイツ連銀総裁、モンテパスキ銀行救済案に慎重姿勢」という見出しで、ドイツの中央銀行である連銀のワイトマン総裁はイタリアのモンテパスキ銀行の救済案は、新しいEUルールに従っていない惧れがあるため慎重な検討を要すると独紙
『ビルト』に語ったと伝えた。新しいEUルールによれば4万人の小口投資家も銀行救済に貢献する必要があるが、イタリアの経済相は小口投資家は保護されると約束している。新ルールは納税者の保護を最も優先すべきだとしており、この救済案には問題があると語ったと伝えている。
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