【Globali】
イタリアの銀行に公的資金注入へ(2016/12/28)
1472年創業で世界最古の銀行と言われる、イタリア第三位のモンテパスキ銀行は2008年の金融危機により生じた不良債権の処理が遅れており、今年行われた欧州中央銀行(ECB)の資産査定で資本不足を指摘されたため自力による50億ユーロの増資を検討したが、十分な資本を集めることが出来なかった。このためイタリア政府は公的資金の注入による救済に乗り出したが、12月27日のECB発表によると12月に入って預金の流出が加速しており資本不足額は80億ユーロにのぼる模様である。また金融危機後EU加盟国間で定めたルールによると、今後政府が銀行を救済する場合は、その銀行への投資家も一定の損失負担を負うことになっているが、ドイツ連銀の総裁は今回のイタリア政府の救済がこのルールに則っているか疑問を呈しており、最終的に欧州委員会の承認が取れるのか見通せない状況にある。金融危機とギリシャ危機で大きく傷ついた欧州の銀行には未だ未だ問題が残っているようである。
12月27日付
『メールオンライン』(ロイター通信引用)は、「イタリア、モンテパスキ銀行救済のため65億ユーロ注入へ」という見出しで、火曜日消息筋が語ったところによると、イタリア政府は同国第3位のモンテパスキ銀行救済のため、当初予想を上回る約65億ユーロの公的資金を注入する見込みであると報じた。注入額が増加した理由は、ECBが同行の資本不足額を50億ユーロから88億ユーロに改定したためである。同行は先週50億ユーロの自力増資が不首尾に終わったため政府の支援を要請していた。...
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12月27日付
『メールオンライン』(ロイター通信引用)は、「イタリア、モンテパスキ銀行救済のため65億ユーロ注入へ」という見出しで、火曜日消息筋が語ったところによると、イタリア政府は同国第3位のモンテパスキ銀行救済のため、当初予想を上回る約65億ユーロの公的資金を注入する見込みであると報じた。注入額が増加した理由は、ECBが同行の資本不足額を50億ユーロから88億ユーロに改定したためである。同行は先週50億ユーロの自力増資が不首尾に終わったため政府の支援を要請していた。65億ユーロの資本を注入後イタリア政府の同行への出資比率は約70%となる。残りの23億ユーロはEUの新しい銀行救済ルールに従い、機関投資家が保有する劣後債券を株式に転換して調達する。但し、約4万人の小口投資家が持つ総額20億ユーロの劣後債は株式に転換するが、これをイタリア政府が普通社債に転換し補償する予定である。この救済案はEUの承認を必要とし、承認には2、3ヶ月を要すると見られる。モンテパスキ銀行はこの夏のECBによる資産査定で最も弱体化している銀行と認められたが、予定通り公的資金が注入された場合、イタリア政府が同国の問題銀行救済のために用意した200億ユーロのうち約3分の1を使いきることになると報じている。
12月27日付
『ドイッチェヴェレ』は、「ドイツ連銀総裁、モンテパスキ銀行救済案に慎重姿勢」という見出しで、ドイツの中央銀行である連銀のワイトマン総裁はイタリアのモンテパスキ銀行の救済案は、新しいEUルールに従っていない惧れがあるため慎重な検討を要すると独紙
『ビルト』に語ったと伝えた。新しいEUルールによれば4万人の小口投資家も銀行救済に貢献する必要があるが、イタリアの経済相は小口投資家は保護されると約束している。新ルールは納税者の保護を最も優先すべきだとしており、この救済案には問題があると語ったと伝えている。
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ドイツ銀行、米和解金問題で株価急落(2016/09/28)
ドイツ最大の銀行で、一時は世界最強の銀行ともいわれたドイツ銀行の株価が再び下げ足を速めている。年初には昨年度の決算で約9千億円という巨額の損失を計上して信用不安が起こり株価の急落を招いたが、今度は同行が2008年の金融危機前に米国で金融商品の不正販売に関わったことに対し、米当局から140億ドル(約1.4兆円)の和解金を要求されたことが不安を呼んでいる。この和解金の額は現在の同行の株価から算出した時価総額とほぼ同額であり、この金額をそのまま払うことになれば同行にとり大きな負担となる。ドイツのメルケル首相がドイツ銀行を政府が救済することはないと発言したことも不安に輪を掛けている。イタリアの銀行も不良債権問題で苦しんでおり、欧州の銀行不安は未だ完全に払しょくされていない状況にある。
9月26日付
『ニューヨークタイムズ』は、「ドイツ銀行、米国での紛争でドイツ政府の支援要請を否定」という見出しで、月曜日ドイツの雑誌のドイツ政府がドイツ銀行に対する支援を否定したという記事を受けて同行株価が安値を付けたと報じた。ドイツ銀行の広報担当者は、クライアン頭取がメルケル首相に米司法省との仲介を要請したことを否定し、政府による救済の予定はなく、同行は独自に課題に対応する決意であると語った。このため同行が新たに増資を行うという憶測が投資家の売りを誘ったようである。...
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9月26日付
『ニューヨークタイムズ』は、「ドイツ銀行、米国での紛争でドイツ政府の支援要請を否定」という見出しで、月曜日ドイツの雑誌のドイツ政府がドイツ銀行に対する支援を否定したという記事を受けて同行株価が安値を付けたと報じた。ドイツ銀行の広報担当者は、クライアン頭取がメルケル首相に米司法省との仲介を要請したことを否定し、政府による救済の予定はなく、同行は独自に課題に対応する決意であると語った。このため同行が新たに増資を行うという憶測が投資家の売りを誘ったようである。
ドイツ銀行はドイツ最大の銀行であるが、銀行であれギリシャのような国家であれ公的な救済はしたくないというドイツ国民には、大きすぎて潰せないという考えはない。クライアン頭取は今後投資顧問業などに経営の重心を移したい意向であるが、現状は債券やデリバティブのトレーディングが収益の中心であり、加えてこの分野は市場が縮小し競争は激しくなるばかりであるため、同行の収益回復は見通せていない。欧州の銀行は欧州中央銀行が一元的に管理監督するメカニズムは出来たが、ドイツ銀行であれイタリアの銀行であれ、このメカニズムが問題にどう対応するのかが不透明な点が課題であると専門家はコメントしていると報じている。
9月27日付
『ドイッチェヴェレ』は、「非常な難局のドイツ銀行」という見出しの論説記事を掲載した。2008年の金融危機の際ドイツ銀行の当時の最高経営責任者(CEO)であったアッカーマン氏は「この危機に政府の金を受け入れることは恥ずかしくて出来ない」と述べた。当時は確かに大規模のごまかしに手を染めていたので多額の利益を計上しており政府の救済を必要としなかった。しかし、その結果世界で7,800件もの訴訟に直面しており、これをすべて解決する費用は和解金等も含め数十億ユーロに達する見込みである。ドイツ銀行の世界的名声と価値は近年劣化しており、株価は2009年のレベルから90%下げて現在史上最安値の10ユーロ近辺にある。これで評価した時価総額は140億ユーロであり、世界ランクは78位でマレーシアやブラジルの銀行と同じ位である。同行の株は最近欧州上位50社の指数であるEurostoxx50から価値が低下したので外されてしまった。株価は大バーゲンであるが、誰も買おうとしない。リスクが高過ぎるからだ。ドイツ銀行が倒産したら世界的金融危機が再び発生するだろう。つまり大き過ぎて潰せない銀行なのである。ドイツ銀行は米国との和解金140億ドルを払うことはできないので、増資が必要だが増資に応じることはギャンブル以外のなにものでもない。政府の救済の話題が出てきて、政府、銀行両者とも否定しているが、確かなことは同行が危機に陥った場合税金の投入は不可避であるということだ。全く馬鹿げたことだ。
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