世界保健機関(WHO)は5月31日を「世界禁煙デー」と制定している。その日に合せて、欧州内では喫煙者に優しかったチェコにおいて、パブやレストランを禁煙とする法律が制定されたが、世界人口の約1割の喫煙者の4割以上(3億人余り)を1国で占める中国では、大都市では禁煙運動が支持されつつあるも、PM2.5(微小粒子状物質)のひとつでもある煙害を減らすために、中国全土での徹底した禁煙措置が必要と専門家は訴える。一方、日米他研究機関の調査研究によると、「三次喫煙(喫煙後の内装・家具、また、喫煙者の毛髪・衣服に付着したタバコの煙)」が非喫煙者に与える健康被害の深刻さが報告されているが、4月11日付コラムNo.110「受動喫煙対策」の中で述べたとおり、日本では、2002年に健康増進法が制定されて以降、一部の施設で分煙対策が講じられたものの、今や世界49ヵ国において、公共施設・飲食店・交通機関などの公衆の場での“屋内全面禁煙”が強制化されているのに対して、日本の対策は不十分である。
5月30日付ブルガリア
『ノヴィナイト』オンラインニュース:「WHO:タバコで毎年700万人死亡、また、環境破壊も起こすと発表」
「世界禁煙デー」を前にWHOは5月30日、タバコによって毎年世界で720万人が死亡し、経済損失は4,000億ドル(約44兆4,000億円)に上り、また、森林伐採という環境破壊も引き起こしているとの報告を発表した。
WHOが初めて公表した調査報告によると、タバコには7,000種類以上の毒性化学物質が含まれていて、更に、タバコの煙からは数千トンの発ガン性、かつ地球温暖化ガスが輩出されるとしている。...
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5月30日付ブルガリア
『ノヴィナイト』オンラインニュース:「WHO:タバコで毎年700万人死亡、また、環境破壊も起こすと発表」
「世界禁煙デー」を前にWHOは5月30日、タバコによって毎年世界で720万人が死亡し、経済損失は4,000億ドル(約44兆4,000億円)に上り、また、森林伐採という環境破壊も引き起こしているとの報告を発表した。
WHOが初めて公表した調査報告によると、タバコには7,000種類以上の毒性化学物質が含まれていて、更に、タバコの煙からは数千トンの発ガン性、かつ地球温暖化ガスが輩出されるとしている。
また、世界で販売されている150億本の3分の2が、環境に影響を与えるゴミとなり、それは集積される全てのゴミの30~40%にも当り、なおかつ、タバコ300本の生産のために1本の木が失われる勘定となるという。
5月31日付米
『ニューヨーク・デイリィ・ニュース』:「世界禁煙デーに合せて発表された、タバコを減らす最適な方法」
ウィーン医科大学のマイケル・クンズ研究員が中心のチームは5月31日の「国際禁煙デー」に合せて、タバコを減らす最善の方法を発表した。すなわち、30年もの調査研究の結果、タバコの販売価格を1%上げれば、タバコの消費量は0.7%下がる(5%上げれば3.5%下げられる)というものである。
欧州では、喫煙が病気や早逝の最大の原因となっており(肺ガンによる死亡原因の約90%、慢性気管支炎の死亡原因の約75%が喫煙)、クンズ氏は、喫煙は一酸化炭素などの毒を吸引しているのと同様だと、喫煙被害の深刻さを訴えた。
同日付英
『インターナショナル・ビジネス・タイムズ』オンラインニュース(
『AP通信』配信):「欧州内で喫煙者の天国だったチェコで禁煙法制定」
チェコは5月31日、大衆が集まる映画館・スポーツ競技場、また、バー・レストラン・カフェの屋内での全面禁煙とする法律(罰金5,000チェコ・コルナ、190ドル、約2万1,000円)を施行した。チェコはこれまで、欧州の中で喫煙者にとって最後の楽園と言われていた。
同国では何年もの間禁煙措置について議論が続けられてきたが、ヘビー・スモーカーで有名なミロシェ・ゼマン大統領も禁煙運動の流れに抗せられず、同法に署名したため、発効の運びとなった。
チェコで禁煙措置法が採用されたことから、欧州連合(EU)加盟29ヵ国のうち、何ら喫煙規制のない国はスロバキアのみとなった。
同日付中国
『中国新聞』オンラインニュース:「中国の専門家、タバコ消費削減対策強化を要求」
「国際禁煙デー」に合せて、多くの専門家が、中国におけるタバコ消費削減対策の強化が必要と訴えている。
中国はタバコ生産量及び消費量が世界最大で、喫煙者は3億人以上に上り、これは世界全体の喫煙者の44%をも占める。
中国の北京・上海などの大都市では、公共施設・交通機関や職場などでの屋内全面禁煙措置が強制化されているが、中国全体では規制が不十分である。
専門家は、若年層への教育強化でタバコの健康被害を訴える等、新たな喫煙者を増やさない施策も必須だとしている。
一方、同日付米
『USAトゥデイ』紙:「煙害には三次喫煙被害もあって、思う以上に危険」
エネルギー省傘下のローレンス・バークレイ国家研究所の調査チームが、モルモットを使って調査研究した結果、タバコの煙を吸い込ませた布を置いた部屋に生まれたばかりのモルモットを3週間住まわせたところ、血液中に煙の中の有毒化学物質が認められたことから、三次喫煙被害を受けていたことが判明した。
すなわち、喫煙ルームの内装・家具や、喫煙者の衣服などについたタバコの有害物質によって、非喫煙者、特に子供が三次喫煙被害を被る可能性が高いと言えるという。
同研究所のボー・ハン主任研究員は、免疫耐性が不十分な子供ほど、三次喫煙被害を受けやすいことが証明できたとコメントした。
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