今や世界第2位の経済規模を誇り、世界景気対策はもとより、国連安全保障理事会運営から地球温暖化対策まで、中国がその大国としての存在感を示し、事あるごとに米国と覇権争いをしている。そして、宇宙開発もそのひとつで、中国国家宇宙局(CNSA)はこの程、2020年を目処に火星探査機を打ち上げ、火星探査において米国に追い付き、追い越すとの大胆な発表をしている。
4月22日付米
『NBCニュース』(
『AP通信』記事引用)の報道「中国、2020年までに火星到達との計画を発表」:
「・CNSAの許達哲(ウー・ダジェ)局長は4月22日、2020年を目処に火星探査機を打ち上げ、火星着陸と探査を目指すと発表。
・その他、中国は今年6月、宇宙ステーション天宮(ティアンゴン)2号を打ち上げるばかりか、有人宇宙船神舟11号乗船の2人の宇宙飛行士に天宮2号に数日滞在させ、更に将来的には、有人宇宙船の月面着陸も計画。...
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4月22日付米
『NBCニュース』(
『AP通信』記事引用)の報道「中国、2020年までに火星到達との計画を発表」:
「・CNSAの許達哲(ウー・ダジェ)局長は4月22日、2020年を目処に火星探査機を打ち上げ、火星着陸と探査を目指すと発表。
・その他、中国は今年6月、宇宙ステーション天宮(ティアンゴン)2号を打ち上げるばかりか、有人宇宙船神舟11号乗船の2人の宇宙飛行士に天宮2号に数日滞在させ、更に将来的には、有人宇宙船の月面着陸も計画。」
同日付米
『ディジタル・トレンズ』科学・技術紙の報道記事「CNSAが2020年目処に火星着陸を計画と発表」:
「・米航空宇宙局(NASA)のウェブサイトでは、有人宇宙船による火星着陸・探査を2030年代に達成するとの計画。
・一方、CNSA許局長発表の、2020年目処に火星着陸との計画には、一日も早くNASA
のミッションに追い付こうとする意図があると推測。」
同日付英
『インターナショナル・ビジネス・タイムズ英国版』オンラインニュースの報道記事「中国、2020年目処に火星着陸を目指すのみならず、NASAに先駆けて月面有人基地設置を計画」:
「・CNSA許局長は、火星への宇宙飛行ミッションは、火星着陸及び探査を同時に行う計画と強調。
・また同局長は、月面着陸について、短期的にはロボットなどを駆使して月の石などのサンプルを持ち帰ることだが、長期的には、月の裏側にも到達し、長期探査が可能となるよう月面有人基地の設置であるとも表明。
・なお同局長は、中国としては米国と宇宙開発技術等協力して行っていきたいと考えるが、目下のところ両国間に障害があることが残念ともコメント。」
同日付中国
『新華社通信』の報道記事「中国、2021年に火星到着を計画」:
「・CNSA許局長は4月22日、中国初の人工衛星打ち上げ記念日(注1後記)に先駆けて設けられた記者会見で、中国は2021年に宇宙船を火星に着陸させ、探査を実施する計画であると発表。
・中国の航空宇宙科学専門家の葉培建(イェ・ペイジャン、注2後記)氏は、火星への宇宙飛行は、他国(旧ソ連、米国、欧州、インド)に後れをとってはいるが、中国の火星着陸・探査計画は、より広範囲でかつ詳細な火星表面の探査を行うもので、必ずや宇宙の様々な謎を解き明かすことに有益となると説明。
・まだ葉氏は、同ミッションの成功で、2021年の中国共産党100周年を祝うことになるともコメント。」
一方、同日付ロシア
『スプートニク』国際ニュースの報道記事「中国とロシアは宇宙開発
で最大限の協力」:
「・CNSA許局長は4月22日、中国とロシア両国は、今後の宇宙開発で大いなる提携が可能と発言。
・具体的には、宇宙船のエンジンやその他宇宙開発用の様々な電子機器製造などの共同ワーク。
・また同局長は、ロシア連邦宇宙局(ロスコスモス)のイーゴリ・コマロフ局長が4月23日に来訪し、4月24日の人工衛星打ち上げ記念式典に出席予定とコメント。」
(注1)中国初の人工衛星打ち上げ記念日:1970年4月24日、長征1号によって初の人
工衛星東方紅1号打ち上げに成功。旧ソ連、米国、日本に次ぐ快挙。
(注2)葉培建:中国が国家的プロジェクトとして推進している、月探査計画である「嫦
娥計画」の総指揮者かつ総設計者。嫦娥とは、中国で月にちなむ女神のことで、2003年3
月に正式着手。大きく「探査計画」、「着陸計画」、「滞在計画」に分かれる。
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