アジア各地を異常寒波が襲う(2016/01/26)
エルニーニョ現象で暖冬が予想される中、週末から続く異常寒波は、通常比較的温暖とされる鹿児島に大雪、奄美大島に115年ぶりの雪、沖縄に39年ぶりの霙をもたらしたが、アジア各地も異常寒波の影響を受けている。偏西風が南に蛇行して北極の寒気が流れ込んだのが原因とされている。アジアのメディアの報道ぶりを伝える。
1月26日付英文版
『上海日報』(AFP通信引用)は、「気温急降下でアジア各地混乱」という見出しで温暖な冬に慣れている各地の住民にとって珍しい寒さで、死者が出たり、大量の航空便キャンセルとなったと伝えている。タイのバンコクでは通常20℃以下になることは珍しいが、日曜日の夜は16℃まで下がり、短パンとサンダルで過ごして来た市民はタンスにある長袖の上着を探すのに苦労した。中国南部の広州では同日60年ぶりに霙が降った。...
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1月26日付英文版
『上海日報』(AFP通信引用)は、「気温急降下でアジア各地混乱」という見出しで温暖な冬に慣れている各地の住民にとって珍しい寒さで、死者が出たり、大量の航空便キャンセルとなったと伝えている。タイのバンコクでは通常20℃以下になることは珍しいが、日曜日の夜は16℃まで下がり、短パンとサンダルで過ごして来た市民はタンスにある長袖の上着を探すのに苦労した。中国南部の広州では同日60年ぶりに霙が降った。台北では44年ぶりの寒さで4℃まで下がり90名の死者を出した。香港では60年ぶりの寒さで小学校、幼稚園は臨時休校となった。ベトナムのハノイでは週末の夜の気温が20年ぶりの6℃まで下がり、山間部では雪も降った。韓国の済州島では、月曜日30年ぶりの大雪で空港が閉鎖され観光客9万人が立往生となった。
1月26日付
『タイペイタイムズ』は、「寒冷前線で大損害」という見出しで、台湾各地で寒波により大きな農業被害が生じたと報じた。イチゴに最大の被害が出ており、ミカン、生姜、りんご、梨などにも被害が出ている。農業被害額は5,074万台湾ドル(約1.8億円)に上るという。南部の台南地区ではハタ、ハマグリなどの海産物の養殖に被害が出ている。但し、養殖の海産物は、同じものが直接海洋から獲れるので供給に支障はないだろうとも伝えている。
1月26日付香港の
『サウスチャイナモーニングポスト』は、「香港の寒波、対応策の不備を示す」という社説を掲載し、香港は大規模のサイクロンや熱波に対する経験は豊富であるが、
今回の60年ぶりの寒波については、異常気象に対する対応をチェックする良い機会となったと伝えている。香港では中々経験出来ない零度近くの気温を経験しようと最高峰の大帽山に登った市民が低体温症などになり救助隊に助け出された。この手の救助は初めてであり救助のやり方に課題を残した。
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産業革新機構主導のシャープ再建案(2016/01/25)
かつてシャープの亀山工場で作られた液晶テレビAQUOSは高画質で人気を呼び、シャープはこの液晶と太陽光パネルで日本をリードするハイテク企業と目されていたが、怒涛のようなグローバル化の荒波に揉まれ、韓国サムスン、LG等との価格競争に敗れ経営危機に追い込まれた。過去主力銀行の協力のもと自主再建を目指してきたが中々浮上出来ず、1月22日の新聞で官民ファンドの産業革新機構の主導で再建を目指すことが固まったと報じられた。再建案では革新機構が3,000億円出資し主力銀行2行が3,500億円の金融支援を行うほか、液晶事業は分社して将来ジャパンディスプレイとの統合を目指す。シャープに対しては台湾の鴻海精密工業も6,250億円の買収提案をしているが、総合的な判断で革新機構の案が選ばれたと報じられている。当然液晶技術を外国に渡したくないという我が国政府民間共通の思いがこの結論に大きく影響したものと思われるが、この結論は海外からは批判的な目で見られているようだ。
1月22日付台湾の
『タイペイタイムズ』は、「鴻海、日本シャープ買収へ」という見出しで、台湾の鴻海精密工業が6,250億円でシャープを買収する提案を行ない、シャープは2月4日までに再建方針を決定するという「ウォールストリートジャーナル」の報道を伝えた。同紙は「日経新聞」の報道として産業革新機構の再建案も検討中であると伝えている。日本政府役人は液晶事業を外国に売却することに懸念を示し
ていること、鴻海はシャープの銀行団の賛同を得るため借入金の全額肩代わりも示しているとも伝えている。...
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1月22日付台湾の
『タイペイタイムズ』は、「鴻海、日本シャープ買収へ」という見出しで、台湾の鴻海精密工業が6,250億円でシャープを買収する提案を行ない、シャープは2月4日までに再建方針を決定するという「ウォールストリートジャーナル」の報道を伝えた。同紙は「日経新聞」の報道として産業革新機構の再建案も検討中であると伝えている。日本政府役人は液晶事業を外国に売却することに懸念を示し
ていること、鴻海はシャープの銀行団の賛同を得るため借入金の全額肩代わりも示しているとも伝えている。
1月21日付
『ロイター通信』は、「日本株式会社、シャープ争奪戦には勝利も液晶戦争では敗北」という見出しで、シャープ再建では産業革新機構が鴻海をリードしているが、業界関係者は過当競争の中、革新機構による再建案が長期的に同社を守ることが出来るか疑問であると報じている。液晶事業では技術力と同程度にマーケットに対応するスピードが必要とされており、この点では中国、韓国のメーカーが優位にあるとも報じている。
1月22日付
『ブルームバーグビジネス』は、「シャープ株高騰 日本のファンドによる救済の見込み」という見出しで、シャープは関係筋の情報では産業革新機構の再建案に傾きつつあり同社株は22日の東証で一時12%上昇したと報じた。日本は過去アジアの会社への技術売却を認めた例がなく、これは唯一の選択肢である。シャープ、革新機構、日本政府は従業員の雇用を懸念しており、これがもっともスムーズに行く再建案であるというアナリストの意見を伝えている。
1月22日付
『ウォールストリートジャーナル』は、「安倍総理顧問、政府ファンドのシャープ出資に反対」という見出しで、安倍総理の顧問で元日銀審議委員の中原伸之氏の発言を伝えた。同氏は、革新機構による再建は、安倍内閣が進めてきた企業のコーポレートガバナンスを高める方針に反するし、規制緩和や開放経済を求めるTPPの精神にも反すると発言した。
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