カナダ教育委員会、ノーベル平和賞受賞者を反イスラム感情を起こす可能性があるとして検閲対象に(2021/11/22)
カナダ最大であるトロント教育委員会は、2018年のノーベル平和賞受賞者であり、イラクでISに拉致され性奴隷の被害者となったナディア・ムラードさんを、「イスラム教への反感を助長する」可能性がある存在だと判断し、ムラードさんが招待された読書&意見交換会に13歳から18歳までの10代の女の子が参加できない措置を取った。
カナダ
『グローブアンドメイル』 紙によると、トロント教育委員会は、4年ほど前からトロント在住の母親であり起業家でもあるターニャ・リー氏と提携して、10代の女の子を対象とした読書&意見交換会のイベントを運営している。トロントのダウンタウンにある図書館の地下で15人の10代の少女たちが集まって始まった会は、現在60人以上の10代の少女たちが毎月オンラインで集まる規模まで成長した。
トロント教育委員会はこれまで積極的にリーさんの活動を支援してきた。...
全部読む
カナダ
『グローブアンドメイル』 紙によると、トロント教育委員会は、4年ほど前からトロント在住の母親であり起業家でもあるターニャ・リー氏と提携して、10代の女の子を対象とした読書&意見交換会のイベントを運営している。トロントのダウンタウンにある図書館の地下で15人の10代の少女たちが集まって始まった会は、現在60人以上の10代の少女たちが毎月オンラインで集まる規模まで成長した。
トロント教育委員会はこれまで積極的にリーさんの活動を支援してきた。参加する生徒に本を配布したり、クラスで議論したり、クラブのメンバーが学校を休んで参加することを許可したりしてきた。しかし、先月、リーさんはヘレン・フィッシャー教育委員会会長から、リーさんが選んだ2冊の本を支持しないという連絡を受け、支援を打ち切られた。2冊のうち1冊が2018年のノーベル平和賞受賞者のナディア・ムラードさんの本「THE LAST GIRL - イスラム国に囚われ、闘い続ける女性の物語」だった。教育委員会は、イスラム教への反感を起こす可能性があると判断して、生徒たちを参加させない旨を伝えたという。
『グローブアンドメイル』 紙は、力ある立場の機関が、無知であり、特に教育の仕事をしていることは問題だ、と批判している。ムラードさんは19歳のとき、イスラム国のテロリストがイラク北部の村に侵入し、彼女を含む何千人もの若いヤジディ教徒の女性たちを奴隷にして大量虐殺を行った。逃亡することに成功しドイツに逃れたムラードさんは、国連安全保障理事会で証言し、人身売買に関する国連大使となり、ノーベル平和賞を受賞した。
『グローブアンドメイル』 紙は、自らのマニフェストで「公平性、人権、反人種主義、反抑圧に対する大胆なコミットメント」を謳っているトロント教育委員会の幹部たちは、アフリカ系行事をお祝いすること、ジェンダーニュートラルトイレ、一人一台端末の推進でマニフェストを達成するものではないことをもう一度考え直すべきだと指摘している。
しかし、こうした検閲行為はカナダ国内で広がっている。仏放送局『RFI』 と『ウエストフランス』 紙によると、ラジオ・カナダ・インターナショナルの記者が今年9月、オンタリオ州南部の約30の学校図書館から2年前に、約5千冊のコミック本、児童・青少年向けの小説、ノンフィクションの本がカナダ先住民に対する不適切な表現が含まれていたとして処分されていたことを発見した。
例えば、「タンタン」や「ラッキールーク」など、欧米で昔から子供達に人気のある漫画本や、文学賞の候補になった現代小説であっても、例えば先住民のように着こなす方法を説明しているとして、その文化の所有権を持つのは不適切であるがゆえに処分の対象となった。他にも、半裸の人物が登場したり、「アメリカンインディアン」という表現が出て来たりした場合、不適切だとして処分された。「人種差別、差別、固定観念の灰を埋めよう」と、数十冊の本が燃やされ、その灰が地面に埋められたこともあったという。
30校ほどの学校が集まって造られた委員会は、こうした処分を行うにあたって「知識の保護者」と称するアドバイザーを採用していた。しかし、いくつかの先住民族コミュニティの出身であるとして採用されたアドバイザーは、先住民族コミュニティでは誰からも知られておらず、系図学者も18世紀以降の先住民の祖先を見つけることができなかった。さらには、そのアドバイザーは、左派与党の「先住民委員会」の共同議長を務めていたことが発覚し、波紋が広がっていた。保守党のリーダーであるエリン・オトゥール氏は、先住民との「和解は、カナダを壊すことではない」とツイートしていた。
閉じる
カナダ石油・天然ガス、2022年にはカナダの掘削活動が増加すると石油連盟が発表(2021/11/17)
カナダ石油サービス連盟(PSAC)の予測によると、カナダにおける石油・天然ガスの掘削量は、2022年に16%増加する。
カナダ紙
『グローブ・アンド・メール』 によると、業界の最新の予測では、カナダの石油・天然ガスの掘削活動は、2022年にはパンデミック以前のレベルに戻るという。カナダ石油サービス連盟(PSAC)は、来年、カナダでは合計5400本の井戸が掘削され、前年比で16%増加し、2019年以降で最も活発になると予想している。
またPSACは、下半期の活動の増加を考慮して、2021年の予測を4650本に修正した。...
全部読む
カナダ紙
『グローブ・アンド・メール』 によると、業界の最新の予測では、カナダの石油・天然ガスの掘削活動は、2022年にはパンデミック以前のレベルに戻るという。カナダ石油サービス連盟(PSAC)は、来年、カナダでは合計5400本の井戸が掘削され、前年比で16%増加し、2019年以降で最も活発になると予想している。
またPSACは、下半期の活動の増加を考慮して、2021年の予測を4650本に修正した。2021年の年初には、PSACは年間で3350本の井戸が掘削されると予測していた。
PSACの2022年の予測は、WTI原油価格を1バレルあたり平均70ドル、AECO天然ガス価格を1千立方フィートあたり平均4.10ドルと予測している。
PSACの会長兼最高経営責任者であるグルプリート・ライル氏は、見通しは1年前に比べて明るいものの、業界はまだ2014年後半に原油価格が暴落する前の状態にまで回復していないと述べている。商品価格の上昇により掘削が活発化している一方で、業界は成長を妨げる可能性のある深刻な労働力不足にも直面しているという。
『カナダ放送協会(CBC)』 は10月13日付の記事で、世界中でコロナ規制が緩和され、世界的なエネルギー需要の増加に対応するため、長年にわたる価格低迷、解雇、統合を経て、カナダ西部の石油・ガス会社は再び生産を活発化させていると伝えている。
カナダエネルギー請負業者連盟(CAOEC)によると、カナダでは先週175の掘削リグが稼働していたが、昨年の同時期にはわずか75、2019年には155であった。
CAOEC事務局長のマーク・ショルツ氏は、「これは20750件の雇用増加であり、業界は活動に対して非常に強気だ。しかし、課題は、あまりにも急速に生産量を増やそうとしているため、生産能力の制限に対処しなければならないことだ。「会員の中には、顧客である石油・ガス生産者に対して、利用可能なリグがないという声がすでに聞こえ始めている。これは、主に人材不足によるものだ。生産量を増やす能力に影響を与えることになるだろう」と述べている。
今年の石油・ガスの生産量を増やそうとしている企業は、すでに労働市場の問題に直面している。業界の労働市場情報を提供するEnergySafe Canada社の一部門であるPetroLMI社のデータによると、カナダの石油・ガスサービス部門の失業率は、2020年9月の17.7%から2021年9月には3.7%に低下している。サスカチュワン州では、現在、石油・ガスサービス従事者の失業率は基本的にゼロだという。
PetroLMI副社長のキャロル・ホウズ氏は、業界が直面している最大の問題は、雇用が大幅に増加しているにもかかわらず、石油・ガスサービスの労働力の規模が昨年とほとんど変わっていないことだと語っている。そして、歴史的に見て、カナダ西部のリグ労働者の多くは国内の他の地域、特に東海岸から来ており、パンデミックの際には地元に戻ってしまった。そのような労働者の多くは、ウイルスの脅威が続く限り、仕事に戻りたくないと考えている、とホウズ氏は指摘している。
しかし、パンデミックの前から、石油・ガス業界の労働力は減少傾向にあったという。2013年から2019年の間に、原油価格の暴落によって、請負業界の雇用は2万1200人(29%)減少した。2020年にはさらに6300人の雇用が失われた。
ショルツ事務局長は、多くの労働者は、何年にもわたって価格の低迷、解雇、不安定な状況が続いたことで、倦怠感を感じているのではないかと述べている。石油業界の労働者は「他の人たちと同じように仕事をしたいと思っている。他の人々と同じように、仕事に安定性と一貫性を求めている。この業界もいずれは安定した仕事を提供できるようになると思うが、現時点ではまだこのような中間的な段階にある」と説明している。
閉じる
その他の最新記事