【Globali】
世界が見る2015年の日中関係(2015/01/05)
今年は日本にとって戦後70周年。安倍首相は安倍談話を発表する方向で3月にも検討に入るというが、中国にとっては 「抗日戦争と反ファシスト戦争勝利70周年」であり、5月から年末にかけて反日、反ファシズム関連の行事が目白通しだ。すでに年初から反日機運が盛り上がっており、今年の日中関係は過去最悪になるとの報道もある。また、急激に両国関係が改善するのは好ましくないという中国側の事情も存在しており、中国はいつでも歴史問題などで日本を批判できる準備をしているという。一方、米国からは日中関係への積極的な関与、特に尖閣問題の平和的解決に米国はもっと日本を援助していくべきだとの提言も出てきた。各国は2015年の日中関係について、以下のように報じた。
12月31日付
『テネシアン』(米国)は、「米国は尖閣問題で日本を援助していくべき」との見出しで、ヴァンダービルト大学のクリントアレクサンダーシニア博士の寄稿文を紹介し、この中で同博士は、日本における安全保障上の重要な問題として「尖閣諸島 (釣魚島)の問題が、アジア太平洋地域における平和の行方を大きく左右する」と指摘した。同エリアには「両国の歴史的な敵意とナショナリズムに裏打ちされた、地政学的な問題が存在する」とし、「一触即発の危険なエリアであり、世界の中でも有数の火薬庫」だと分析した。...
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12月31日付
『テネシアン』(米国)は、「米国は尖閣問題で日本を援助していくべき」との見出しで、ヴァンダービルト大学のクリントアレクサンダーシニア博士の寄稿文を紹介し、この中で同博士は、日本における安全保障上の重要な問題として「尖閣諸島 (釣魚島)の問題が、アジア太平洋地域における平和の行方を大きく左右する」と指摘した。同エリアには「両国の歴史的な敵意とナショナリズムに裏打ちされた、地政学的な問題が存在する」とし、「一触即発の危険なエリアであり、世界の中でも有数の火薬庫」だと分析した。さらに同地区の安定や、中国に海洋における法の支配を遵守させることは、日本だけでなく米国にとっての国益にもつながるため、米国政府はこの問題の平和的解決や法の支配の遵守を最優先事項にして、国連や他団体への働きかけを通じてより積極的な役割を果たし、日本をサポートしていくべきだ」との提言を紹介した。
1月4日付
『アジアワン』(シンガポール)は、「安倍外交は重要な年に直面している」との見出しで「昨年、日本と中国の間で3年ぶりに首脳会談が行われ、両国関係に改善の兆しが見え始めたが、中国政府にとっては日本と親密になりすぎた場合には、国内において習政権への反発が出る可能性が高いため、いつでも歴史認識カードを切れる余地を残している」と報じた。
1月4日付
『アジアトゥデイ』(韓国)は、日中関係について、今年は中国の国家的プロジェクト「抗日戦争と反ファシスト戦争勝利70周年」にあたるため、「日中関係は年初から史上最悪の状況に直面する可能性がある」と分析し、「すでに中国のマスコミは連日、”抗日戦争と反ファシスト戦争勝利70周年”関連の大々的な宣伝を展開し、反日ムードが盛り上がりを見せている」と報じた。さらに「経済以外のすべての両国の交流が1年間、暫定的に中断される可能性すらあり、中国では日本との関係改善を云々したり、そのために努力するという雰囲気では到底ない」と報じた。
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世界が見る日銀の追加金融緩和(2014/11/03)
10月31日、日銀の黒田総裁が市場に供給するお金の量を、年間80兆円まで増やす追加の金融緩和を発表した。市場にはサプライズと受け止められ、日経平均株価は一時800円以上も値上がりし、外国為替市場では6年1か月ぶりに、一時1ドル112円台まで下がる急激な円安となった。今回の日銀の決定は、金融政策決定会合に出席した政策委員9人のうち賛成5人、反対4人と票が割れる中での決断であり、黒田総裁は「デフレからの脱却を図るため」のものと説明しているが、一部では、12月に迫る安倍首相の消費増税引き上げの判断のための環境整備との見方も出ている。同日、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も国内債権の割合を、現在の60%から35%に引き下げ、国内株式を現在の12%から25%に引き上げると発表した。各国は、日銀の追加金融緩和について、以下のように報道した。
11月3日付
『朝鮮Biz』(韓国)は、「二つの劇的な金融刺激策は日本の総力戦だ」との見出しで、「日銀が自国の国債の購入を大幅に増やす一方で、国債への投資に集中してきたGPIFが、国内外の株式投資を大幅に増やすという二つの劇的な刺激策が発表された」と、日銀の金融緩和とGPIFのポートフォリオ見直しをセットにして報じ、「このような(追加の金融緩和)決定は、米国が量的緩和を終了させ、来年中旬から基準金利を上げる決定をした場合においては、追加の金融緩和に乗り出すことはもはや困難になることが予想されるために、(実質的に)景気を回復させるための安倍首相の最後の賭けと言われている」と指摘した。...
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11月3日付
『朝鮮Biz』(韓国)は、「二つの劇的な金融刺激策は日本の総力戦だ」との見出しで、「日銀が自国の国債の購入を大幅に増やす一方で、国債への投資に集中してきたGPIFが、国内外の株式投資を大幅に増やすという二つの劇的な刺激策が発表された」と、日銀の金融緩和とGPIFのポートフォリオ見直しをセットにして報じ、「このような(追加の金融緩和)決定は、米国が量的緩和を終了させ、来年中旬から基準金利を上げる決定をした場合においては、追加の金融緩和に乗り出すことはもはや困難になることが予想されるために、(実質的に)景気を回復させるための安倍首相の最後の賭けと言われている」と指摘した。
11月3日付
『ウォールストリートジャーナル』(米国)は、「日銀金融政策決定会合の票割れで綱渡りの黒田総裁」との見出しで、「より多くのお金を市場にあふれさせるという、黒田総裁の驚きの決定は、株価を押上げ、デフレとの戦いに力を与えるものとなったが、その判断において日銀の政策委員の票が割れたことは、黒田総裁の今後の追加緩和政策が、非常に難しくなったということを意味している」と分析した。また、1日の社説では、「金融緩和政策だけでは、財政悪化を食い止めることはできない。日本政府は、労働市場の柔軟化などの構造改革を急いで進めなければならない」と指摘した。
11月2日付
『アジアワン』(シンガポール)は、「安倍首相は10%に消費税率を上げるかどうかの判断を12月中にも行うものとみられている」とした上で、「今回の追加緩和は、株価を上昇させることで、その判断を後押しするものになる」との一部のアナリストの分析を紹介した。
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