鼻に噴霧する新しいタイプのワクチン(9月13日)
ウイルスなどの異物が体内に入った時に、これを排除するように働く「抗体」の機能を持つタンパク質を抗体(免疫グロブリン)と呼ぶが、IgA、IgD、IgE、IgG、 IgMの5種類がある。
今、ファイザーやモデルナなどのワクチンを筋肉注射するとIgGという免疫グロブリンが体内で増えて、これが重症化を防いでいる。
ところがこのIgGにウイルスが付着しやすい鼻や喉では量が少ないために予防効果が低いので、今まではこの点が盲点となってきた。...
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ウイルスなどの異物が体内に入った時に、これを排除するように働く「抗体」の機能を持つタンパク質を抗体(免疫グロブリン)と呼ぶが、IgA、IgD、IgE、IgG、 IgMの5種類がある。
今、ファイザーやモデルナなどのワクチンを筋肉注射するとIgGという免疫グロブリンが体内で増えて、これが重症化を防いでいる。
ところがこのIgGにウイルスが付着しやすい鼻や喉では量が少ないために予防効果が低いので、今まではこの点が盲点となってきた。
鼻や喉などで分泌されやすい免疫グロブリンはIgAであることがわかってきた。
ウイルスが最初に付着する鼻や喉にあらかじめIgAを作ってしまえば、感染自体を防ぐ効果が高まるはずである。さらにいえば全身の免疫向上による発症予防も期待できる。
以上の観点から鼻に噴霧して鼻や喉でIgAを増やすワクチン「経鼻噴霧型新型コロナウイルスワクチン」の開発が複数の企業によって行われている。
一つは三重大のグループと新興企業「バイオコモ」、もう一つが東大系ベンチャー企業「ハナバックス」、さらにもうひとつが「塩野義製薬」によって進められている。
こうした動きは日本だけではなく、アストラゼネカを開発した英国・オックスフォード大や香港大学では既に臨床試験に入っているという。
ワクチンは「感染の重症化を防ぐ」という性格から「感染させない」という方向に向けて確実に進行中である。
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ワクチンと新薬の動向(9月11日)
モノクローナル抗体「ソトロビマブ」は軽症から中等症患者を対象に点滴で投与するグラクソスミスクライン社の新型コロナ治療薬で、特例承認が厚労省に申請された。
海外の治験では重症化リスクのある患者の入院や死亡のリスクを約8割減らすとの効果が確認され、米国ではすでに緊急使用許可が出ている。
国内で新型コロナの治療薬として認可されているのは「レムデシビル(点滴薬)」「デキサメタゾン(ステロイド点滴薬)」「バリシチニブ(点滴抗炎症薬)」、さらに基本的には重症化リスクの高い患者が対象の抗体医薬(点滴)「ロナプリーブ(カシリビマブ及びイムデビマブ)」の4種類で「ソトロビマブ」は5種類目となる。...
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モノクローナル抗体「ソトロビマブ」は軽症から中等症患者を対象に点滴で投与するグラクソスミスクライン社の新型コロナ治療薬で、特例承認が厚労省に申請された。
海外の治験では重症化リスクのある患者の入院や死亡のリスクを約8割減らすとの効果が確認され、米国ではすでに緊急使用許可が出ている。
国内で新型コロナの治療薬として認可されているのは「レムデシビル(点滴薬)」「デキサメタゾン(ステロイド点滴薬)」「バリシチニブ(点滴抗炎症薬)」、さらに基本的には重症化リスクの高い患者が対象の抗体医薬(点滴)「ロナプリーブ(カシリビマブ及びイムデビマブ)」の4種類で「ソトロビマブ」は5種類目となる。
期待の声が高かった「イベルメクチン」の有効性については海外で疑問視する声が未だに出ており、大量摂取による副作用も出ている。
米国NIH(国立衛生研究所)は「イベルメクチン」が新型コロナに有効かどうか結論が出せないとしている。「アビガン」も、厚労省の審議会で承認が見送られており、現在、別の臨床試験で有効性の証明が試みられているという。
こうした中で、塩野義製薬は画期的な飲み薬タイプの新型コロナウイルス治療薬「S-217622」の「条件付き早期承認」を年内に目指している。
又、モデルナ社が新たに開発したワクチン「mRNA-1073」は、新型コロナ、季節性インフルエンザの両方の効果を持ったワクチンで、現在注目されている。
注目されている理由は、新型コロナはブースター接種(追加接種)が必要と言われており、「mRNA-1073」を打つことによって3回目以降の接種の役割と季節性インフルエンザのワクチン接種をたった1回で済ますことができるからである。
季節性のインフルエンザは昨シーズンはインフルエンザの流行がなかったため、その分免疫が落ちている可能性があり、政府の承認が前提だが、今冬は打っておいた方が無難と言えるかもしれない。
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ブースター接種念頭に武田薬品・ノババックスワクチン・年明けにも供給(9月7日)
武田薬品工業が7日、厚生労働省と1億5000万回分の米ノババックス製コロナワクチンの製造供給契約を締結した。
このワクチンは既にワクチン接種を終えた人に追加投与する「ブースター接種」での使用が念頭に置かれており、最短、年明けの供給を目指している。
日本向けのノババックスワクチンの生産は、ノババックス社からのワクチン原液を使い武田薬品の光工場で製造される。
ノババックスの組み換えたんぱくワクチンは、ウイルスを構成する成分のうち、感染にかかわる部分のみを培養細胞などを増やしつつ精製する。...
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武田薬品工業が7日、厚生労働省と1億5000万回分の米ノババックス製コロナワクチンの製造供給契約を締結した。
このワクチンは既にワクチン接種を終えた人に追加投与する「ブースター接種」での使用が念頭に置かれており、最短、年明けの供給を目指している。
日本向けのノババックスワクチンの生産は、ノババックス社からのワクチン原液を使い武田薬品の光工場で製造される。
ノババックスの組み換えたんぱくワクチンは、ウイルスを構成する成分のうち、感染にかかわる部分のみを培養細胞などを増やしつつ精製する。
ウイルス自体を使用しないため、生ワクチンや不活化ワクチンと比べると、副反応が起こりにくいというメリットを持つ。
一方でファイザーやモデルナのメッセンジャーRNAワクチンと比較すると、精製されたワクチン成分の免疫を起こす力が弱いというデメリットがある。
ここを補強するためにアジュバント(抗原性補強剤)という物質を用い、抗原性を増強する。
ラテン語で助けるという意味を持つアジュバントは組み換えたんぱくワクチンにとっては頼もしい助っ人である。武田薬品工業に提供されるアジュバントはAGCグループが委託製造し、ノババックスが供給するもので、光工場で充填される。
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モデルナ・ワクチン異物混入(8月30日)
モデルナ社のワクチン異物混入は日本人を再びワクチンアレルギーにしかねないインパクトを秘めている。
モデルナ社がワクチン製造を委託しているスペイン・マドリードの製薬会社で今回の異物混入は起きたとみられる。
ロビ製薬研究所(ROVI)はスイスの製薬会社ロンザの工場で作られたモデルナワクチン原液を使ってラベリングまでの最終処理をスペインで行っている。
問題のバイアルについて、ROVIは日本のみに出荷されたものであるとした上で、新設した製造ラインで物質が混入したものとみて調べを進めている。...
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モデルナ社のワクチン異物混入は日本人を再びワクチンアレルギーにしかねないインパクトを秘めている。
モデルナ社がワクチン製造を委託しているスペイン・マドリードの製薬会社で今回の異物混入は起きたとみられる。
ロビ製薬研究所(ROVI)はスイスの製薬会社ロンザの工場で作られたモデルナワクチン原液を使ってラベリングまでの最終処理をスペインで行っている。
問題のバイアルについて、ROVIは日本のみに出荷されたものであるとした上で、新設した製造ラインで物質が混入したものとみて調べを進めている。
ところで、ROVIは評価が高い企業のようである。
世界で持続可能性の高い企業として、製薬業界の分野で432社中2位という高い評価を獲得し、バイオテクノロジー企業、製薬研究所、ヘルスケア機器を含む分野896社の中で17位に輝くなど、評価が高く注目されていたが、日本での異物混入発覚によって同社の株価は13.4%も下落した。
モデルナワクチンについては8月16日以降、未使用ワクチン容器の一部から異物が混入されているとの報告が複数の接種会場から報告されてきたが、2週間以上も経過しているにも関わらず、未だに問題の物質が何なのかが特定されないことは不思議としか言いようがない。
長引けば長引くほどマイナスの影響が出てくるので、調査結果説明は迅速に行うことが求められている。
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ワクチンの価格は?(8月28日)
大きなベールに包まれた新型コロナワクチンの単価について、EUのメンバーであるベルギーの閣外大臣は製造会社によって大きな開きがあると2020年12月に曝露した(時事通信)。
例えばベクターワクチンであるアストラゼネカワクチンは225円で、メッセンジャーRNAワクチンであるファイザーワクチンは1520円だという。(ちなみに日経2021年8月の記事ではファイザーワクチンが約2540円に引き上げられたと報道されている。...
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大きなベールに包まれた新型コロナワクチンの単価について、EUのメンバーであるベルギーの閣外大臣は製造会社によって大きな開きがあると2020年12月に曝露した(時事通信)。
例えばベクターワクチンであるアストラゼネカワクチンは225円で、メッセンジャーRNAワクチンであるファイザーワクチンは1520円だという。(ちなみに日経2021年8月の記事ではファイザーワクチンが約2540円に引き上げられたと報道されている。)
同じくRNAワクチンであるモデルナワクチンは1860円だがこれも引き上げられている可能性がある。大阪大学の森下教授によればアンジェスのDNAワクチン(未承認)はモデルナの10分の1という発言をしているので引き上げられていない場合は186円ということになる。
一方2020年日医研の資料では新型コロナウイルスワクチンの全国統一の単価は接種1回目、接種2回目ともに2070円(消費税は含まれていない)と書かれている。
ワクチン製造にかかるコストは実際にどのぐらいなのかということにも興味が出てくるが、ワクチン製造のためには厳格に規制・管理された環境と設備が必要なため、一般的に500億円以上のお金がかかるとされている。
創薬開発を前提とした場合、基礎研究から臨床前動物実験で10億円から20億円かかることになる。第1相治験から第2相治験までが50億円から100億円、第3相治験を経て承認・承認後調査で500億円から1000億円かかるということで、莫大な金がかかるため、メガファーマシーの独壇場になっている。
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