4月23日付Globali「北朝鮮の再度のミサイル発射で米朝間は一触即発(2)」の中で、“北朝鮮が4月22日、北朝鮮に人道支援のために滞在していた韓国系米国人を拘束した模様”と報じた。そして10日余り経った5月3日、北朝鮮はようやく、国家転覆の容疑で拘束したと公表したが、トランプ政権との外交交渉の盾に使うのではないかとみられている。一方、北朝鮮の後ろ盾となっている中国は、1961年締結の「中朝友好協力相互援助条約」に基づき、米軍の侵攻があった場合に、どこまで軍事的支援をすべきか憂慮していると報じられている。
5月3日付米
『AP通信』:「北朝鮮、米国市民の拘束を認める」
国営メディアの
『朝鮮中央通信』は5月3日、北朝鮮当局が4月22日、平壌(ピョンヤン)国際空港で一人の米国人を、国家転覆を画策した容疑で拘束したと報道した。
拘束されたのは韓国系米国人の金サンドク(58歳)氏で、かつて中国の延吉(イエンチー、中国北東端の吉林省)の延辺(イエンビエン)科学技術大で韓国語を教えており、同大と姉妹関係にある平壌科学技術大(PUST)において、会計学の専任講師をしていたという。...
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5月3日付米
『AP通信』:「北朝鮮、米国市民の拘束を認める」
国営メディアの
『朝鮮中央通信』は5月3日、北朝鮮当局が4月22日、平壌(ピョンヤン)国際空港で一人の米国人を、国家転覆を画策した容疑で拘束したと報道した。
拘束されたのは韓国系米国人の金サンドク(58歳)氏で、かつて中国の延吉(イエンチー、中国北東端の吉林省)の延辺(イエンビエン)科学技術大で韓国語を教えており、同大と姉妹関係にある平壌科学技術大(PUST)において、会計学の専任講師をしていたという。
北朝鮮研究専門家によると、これまで北朝鮮は滞在中の米国人を拘束して、米国の高官などを引っ張り出して、交渉を有利に進める手立てとしてきており、今回もその可能性を否定できないとする。
同日付英
『メール・オンライン』(
『AFP通信』配信):「北朝鮮国営メディア、米国人教授を逮捕したと報道」
PUSTがリリースした声明によると、韓国系米国人の金教授の逮捕はPUSTの授業等に関わっていないとしており、また、北朝鮮と国交のない米国に代わって、平壌在スウェーデン大使館が北朝鮮当局とのコンタクト等“能動的に関与している”としている。
韓国の
『聯合(ヨナプ)ニュース』は、金教授が北朝鮮の農村で働かされている子供たちを解放する運動に関わっていたと報道している。
なお、金氏を含めて、北朝鮮に拘束された米国人は3人となり、最初の2人は既に、スパイ活動や“国家反逆罪”の容疑で、それぞれ10年、15年の禁固刑を言い渡されている。
一方、同日付フランス
『AFP通信』:「中国、北朝鮮との軍事協定適用に懐疑的」
1961年に毛沢東(マオ・ツォートン)と金日成(キム・イルソン)両主席の間で“中朝友好協力相互援助条約”が締結されて以来、既に半世紀以上が経過しているだけでなく、両主席の死後かなりの時間が経っていることもあって、同条約は中国にとってほぼ忘れ去られたものとなっている。
特に、中国の意思に反して、北朝鮮が既に何度もミサイル発射を実行し、また6度目の核実験の可能性まで取り沙汰されており、このため中国は米国からの突き上げに遭っていることから、中国として北朝鮮を軍事的に支援することは考えづらいとみられる。
更に、習近平(シー・チンピン)国家主席と金正恩(キム・ジョンウン)委員長は、未だに会談したことさえないという状況である。
なお、同条約には20年毎の自動延長条項が付いており、前回2001年に自動延長され、現行では2021年まで有効である。
また、同日付中国
『環球時報』:「トランプ大統領は北朝鮮に混迷深まるメッセージを送っている」
ドナルド・トランプ大統領は北朝鮮に対して、混迷深まるメッセージを送っている。すなわち、5月1日に、正常な条件が整えば、金委員長と会うことは厭わない、と言ったかと思えば、翌日には、必要に応じて武力行使も辞さないと脅しているからである。
なお、中国外交部の耿爽(ゲン・シュアン)報道官は5月2日、5月1日のトランプ大統領の発言を受けて、米朝間で協議が再開されたことを承知しており、中国としては、朝鮮半島の問題解決には、関係国の対話しかないと考えているとコメントしている。
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