米大統領選の最中から現在まで、ことある毎に中国批判を繰り返してきたトランプ大統領が、就任以来初めて習主席を米国に迎えて米中首脳会談を開く。当該日程が決まってからも、同大統領による対中国の口撃が止まない状況下、多くの関係国はもとより、会談の主題とされる北朝鮮もミサイル発射で揺さぶりをかけるなどして、同会談の行方について固唾を呑んで注目している。
4月4日付英
『ロイター通信英国版』:「トランプ・習両首脳会談が近づく中、中朝国境付近に中朝関係停滞の痕跡」
ドナルド・トランプ大統領は4月2日、米中首脳会談を間近に控えた中、中国の賛同の有無に拘らず、対北朝鮮政策を独自に進めていくと表明したばかりか、対中国貿易についても厳しく対応するとの方針を示している。
ただ、裏での北朝鮮支援を疑われた中国について、中朝国境付近では両国間関係が大きく後退している姿が垣間見える。...
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4月4日付英
『ロイター通信英国版』:「トランプ・習両首脳会談が近づく中、中朝国境付近に中朝関係停滞の痕跡」
ドナルド・トランプ大統領は4月2日、米中首脳会談を間近に控えた中、中国の賛同の有無に拘らず、対北朝鮮政策を独自に進めていくと表明したばかりか、対中国貿易についても厳しく対応するとの方針を示している。
ただ、裏での北朝鮮支援を疑われた中国について、中朝国境付近では両国間関係が大きく後退している姿が垣間見える。
中国は2011年、北朝鮮との経済連携を強化する一環で、300億人民元(34億9千万ポンド、約4,820億円)を投じて、北東アジア経済特区(注1後記)を設立すべく、北朝鮮労働者1万人以上を投入してインフラ・ビル・道路建設に乗り出した。
しかし、北朝鮮による去年9月の5度目の核実験以降、中朝関係は特に冷え込み、同特区計画は頓挫した模様で、中朝国境付近の村々の至る所に建設途上のビル、止まったままのクレーン、工事途上とみられるコンクリート・パイプの類が放置されている。
4月5日付フランス
『フランス24』オンラインニュース(
『AFP通信』配信):「北朝鮮挑発の中、初のトランプ・習両首脳会談開催」
北朝鮮危機や米中間貿易問題が大きくなる中、トランプ大統領と習近平(シー・チンピン)主席の初の首脳会談が4月6日に行われる。
最近の北朝鮮の核・ミサイル開発がとみに進捗し、米本土が狙われるとの懸念が高まっていることから、同大統領としては中国に対して、更に直接的かつ影響力ある北朝鮮対策を求めるだけでなく、米国だけでも軍事行動等厳しい対応に出る意向を表明している。
同会談開催直前48時間前の4月5日早朝、北朝鮮がまたしてもミサイル発射を実施した。ただ、このニュースが報じられる前に米高官が4月4日、“もう時間切れ”であり、北朝鮮の脅威を封じるため“(軍事行動を含めた)如何なる対応も取る”意向であると発言している。
同日付韓国
『KBSニュース』:「トランプ大統領、習主席と北朝鮮問題協議」
4月6、7日に習主席をフロリダ州に迎えて首脳会談を持つトランプ大統領は、米中貿易問題もさることながら、北朝鮮政策を第一に協議する意向である。
これに先立ち、ホワイトハウスの高官は4月4日、これまでの政権が北朝鮮核開発を阻止できなかった以上、何よりもまず北朝鮮問題の進捗のために中国に対して、より厳しい対応を要求していくことになるだろうとコメントしている。
一方、同日付中国
『チャイナ・デイリィ』:「新しい米中関係構築」
今週開催の初の米中首脳会談に先立ち、3月中旬に訪中したレックス・ティラーソン国務長官は習主席と会談した際、トランプ大統領が今後50年間米中関係を緊密にしていくとの意向を持っていることを伝えた。
習主席は2013年、サニーランド(カリフォルニア州)でバラク・オバマ大統領(当時)と会談した際、“新型大国関係(注2後記)”構築を提案したものの、同大統領はその後、“アジア重点主義”を掲げて、ことある毎に中国と敵対してきた。
そこで習主席は今回も、トランプ政権との“新型大国関係”構築を再度提案した次第だが、同国務長官は、“一つの中国”原則を含め、より良い両国関係の構築について同意した。
従って、米中貿易問題のみならず、北朝鮮問題についても、“新型大国関係”構築の目的の下、初の両国首脳会談で突っ込んだ議論がなされ、相互協力が進捗することが望まれる。
(注1)北東アジア経済特区:吉林省南東部の和竜(ヘロン)・北朝鮮北東部沿岸の清津(チョンジン)・同北東山間部の毛峰(マオフェン)を結ぶ三角地帯に、橋・道路・鉄道を建設して物流ルートを確保し、両国の生産品を清津港を経由して日本・韓国・米国・欧州向けに輸出しようという計画。
(注2)新型大国関係:衝突・対抗せず、相互尊重し、Win-Winで協力することを原則とした両大国関係。
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