イスラエル、ワクチン接種済みの外国人ツアー客を5月から受け入れ
大規模で効果的な新型コロナウイルスの予防接種キャンペーンを展開したイスラエルは、3回目の全国的ロックダウンからの段階的解除を進めている。徐々に日常が戻りつつある中、5月23日から予防接種を受けた観光客も受け入れ始めることが発表された。
イスラエル紙
『ハアレツ』によると、イスラエルは新型コロナウイルスの発生により、昨年3月から、海外からの外国人の受け入れを禁止してきた。しかし5月23日からは、コロナワクチンを接種した外国人に限り、団体旅行客として受け入れを再開する。
保健省と観光省の共同声明によると、イスラエルの観光を再開する初期段階では、モニタリングが容易な団体客のみに限定されるという。国内の感染率が上がらないことを前提に、個人旅行者にも徐々に国境を開放していくと観光相は述べている。...
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イスラエル紙
『ハアレツ』によると、イスラエルは新型コロナウイルスの発生により、昨年3月から、海外からの外国人の受け入れを禁止してきた。しかし5月23日からは、コロナワクチンを接種した外国人に限り、団体旅行客として受け入れを再開する。
保健省と観光省の共同声明によると、イスラエルの観光を再開する初期段階では、モニタリングが容易な団体客のみに限定されるという。国内の感染率が上がらないことを前提に、個人旅行者にも徐々に国境を開放していくと観光相は述べている。
イスラエルを訪れる団体客は全員、イスラエル行きのフライトに搭乗する72時間以内に、PCR検査を受け、着陸時にはワクチン接種を受けたことまたはコロナから回復したことを証明する血清検査を受け、PCR検査も再度受けることが求められるという。第一段階では、一日に入国できる観光客の数も上限が設けられる。
なお、先週からは、国内に親族がいる一部の海外居住者の入国が認められるようになった。ただし、内務省または最寄りのイスラエル領事館のいずれかから、イスラエルに行くための承認を事前に得る必要がある。
米『abcニュース』によると、イスラエルツアーオペレーター協会の代表であるヨッシ・ファタル氏は、今回の決定を歓迎しつつも、ツアー客の受け入れ方法に疑問を投げかけている。同氏は、なぜ同じワクチンを接種した観光客よりも、ワクチンを接種したイスラエル人の方が入国しやすいのか理解できないと述べている。同氏は、イスラエルに対し、ワクチン接種を認識するための国際基準を採用し、プライバシーの問題があるとする血清検査は行わないよう求めた。
イスラエルのニュース専門テレビ局『i24ニュース』によると、イスラエル政府は現在、到着手続きを容易にし、血清学的検査を不要にする「予防接種証明書の相互承認」について複数の国と交渉しているという。
イスラエル当局専門家によると、同国はワクチンによる「集団免疫」を達成した可能性があり、さらなる制限を安全に緩和することができるという。ワイツマン科学研究所の生物情報学者であるイラン・シーガル氏は、490万人以上のイスラエル人がワクチン接種を終えたことで、1日の新型コロナウイルス感染者数は97%減少したと報告している。
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メルケル首相、訪中し貿易摩擦に釘を刺す
景気が減速傾向にある中国だが、その市場規模は巨大で世界経済に及ぼす影響は大き
い。EU随一の経済大国であるドイツとも貿易摩擦問題を抱えている。そんな中、メル
ケル首相が中国を訪問し、首相や国家主席と会談を行っている。今後中国とドイツの
経済関係はどのように展開していくのか、各メディアは次のように報じている。
6月13日付
『人民日報』(中国)は「新華社通信」の記事を引用し、昨日中国の李克強首
相とドイツのメルケル首相が北京のホテルで会談を行ったことを報じている。記事に
よると両国は双方の利益と発展のために協力関係を強化すべきとの意見で一致したと
いう。
メルケル首相の訪中は今回で9回目であり、両者は4度目となる両政府間の会議の共同
議長を務める予定だという。会議の中で、中国は自国の産業発展計画である「メイド
インチャイナ2025」(今後10年で中国の製造強国化を図る計画)を、ドイツ側は「イ
ンダストリー4.0」(工業のデジタル化により製造コストを大幅に削減する計画)に
ついての意見を交換する。...
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6月13日付
『人民日報』(中国)は「新華社通信」の記事を引用し、昨日中国の李克強首
相とドイツのメルケル首相が北京のホテルで会談を行ったことを報じている。記事に
よると両国は双方の利益と発展のために協力関係を強化すべきとの意見で一致したと
いう。
メルケル首相の訪中は今回で9回目であり、両者は4度目となる両政府間の会議の共同
議長を務める予定だという。会議の中で、中国は自国の産業発展計画である「メイド
インチャイナ2025」(今後10年で中国の製造強国化を図る計画)を、ドイツ側は「イ
ンダストリー4.0」(工業のデジタル化により製造コストを大幅に削減する計画)に
ついての意見を交換する。また、両国は知的製造業や技術革新、起業についてなど、
様々な分野での意見交換を行う予定である。
同記事は2国間の関係が良好で、発展しつつある点を強調しているが、もちろん2国間
の経済関係は単純なものではない。
6月12日付
『DW.com』(ドイツ)はメルケル首相が李克強首相と会談を行う前日に中
国科学院でメルケル首相が行った演説にスポットを当てている。中国科学院とは、中
国が擁するハイテク総合研究と自然科学の最高研究機関のことである。そこでメルケ
ル首相は「貿易摩擦について話すのは気が引けるが」と前置きした上で、それでも2
国間の良好な経済関係の実現にむけて我々はオープンに話をすべきと演説している。
メルケル首相が示唆しているのは中国の鉄鋼の過剰生産のことであり、これが鉄鋼の
国際価格の下落を招いているのだという。中国は政府レベルでこの問題の対処を明言
しているものの、重工業の改革に踏み切れば大量の失業者が出ることが確実なため二
の足を踏んでいるとされる。他方、ドイツも中国側から経済市場の開放を求められて
いる。これは15年前に中国が世界貿易機関に加盟した際に決定していることであり、
今年末までに様々な分野での市場開放が行われる予定であるが、中国が様々な分野で
過剰生産を行っていることを理由にEU内から懸念の声が上がっている。
メルケル首相は中国に対し、経済大国としての責務を果たすことを求めており、中国
国内での人権尊重の徹底や、近隣諸国との南シナ海や東シナ海における領土問題での
平和的解決を求めていく方針であるという。
また、ドイツの企業が中国に進出するハードルを下げるための法整備や、IT分野にお
ける中国によるスパイ活動の取り締まり強化が、2国間の経済関係強化に不可欠であ
る点を強調する構えだという。
メルケル首相は李克強首相との会談後、習近平国家主席と会談する予定である。
6月13日付
『abcニュース』(米)では、中国とドイツの経済関係が微妙な関係である
最中にメルケル首相が中国を訪問し、ドイツの企業が中国へ進出する際の障害をなく
すべく努力していると報じる。
前述の通り、法整備やスパイ活動の取り締まりがドイツ企業から求められているが、
最近は中国企業によるドイツ企業の買収が勢いを増しおり、このことがドイツ国内で
問題視されているという。先月には中国の家電メーカーであるミデア社がドイツの産
業用ロボットメーカーであるクカ社を52億ドル(約5519億円)で買収する話が持ち上
がっており、メルケル首相はこの件についても懸念を表明するものと見られている。
ちなみに中国は昨年ドイツの4位の貿易相手国である。
ドイツとの関係を良好に保つことは、EUとの経済関係にも反映される。中国が今後ド
イツとどのような関係を築いていくのか注目される。
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