米南部国境危機、国境警備隊にワクチン義務化で人材不足深刻化の恐れ
バイデン政権は米国の税関・国境警備局の職員に、「11月1日までに新型コロナワクチンの接種を終えなければ解雇する」という公式通達を出した。南部国境で不法入国者が爆発的に増えている中、対応に追われている職員がワクチン接種拒否で解雇されることで、更なる人手不足を招き、完全に「開かれた国境」になることが懸念されている。
下院司法委員会の幹部メンバーであるジム・ジョーダン議員は、米
『フォックスニュース』の番組に出演し、税関・国境警備局の内部告発者から「国境警備隊は、今年の11月、つまり今から6週間後までに国境警備隊員がワクチンを接種しなければ、解雇されるという公式通知を受けている」と語った。
米『ビズパックレビュー』によると、ジョーダン議員は、「その一方で、今日、マヨルカス国土安全保障長官に国境を越えてやってくる大量の移民へのワクチンについて尋ねたところ、それは彼らの選択だと回答した。...
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下院司法委員会の幹部メンバーであるジム・ジョーダン議員は、米
『フォックスニュース』の番組に出演し、税関・国境警備局の内部告発者から「国境警備隊は、今年の11月、つまり今から6週間後までに国境警備隊員がワクチンを接種しなければ、解雇されるという公式通知を受けている」と語った。
米『ビズパックレビュー』によると、ジョーダン議員は、「その一方で、今日、マヨルカス国土安全保障長官に国境を越えてやってくる大量の移民へのワクチンについて尋ねたところ、それは彼らの選択だと回答した。考えてみてほしい。バイデン政権は、国境で法を守るために奔走してきた人たちに、ワクチンを受けなければ解雇するとしている。一方、法を破って入国してきた人たちには、大丈夫、それはあなたが選択するものだという方針を取っている」と説明した。
「バイデン政権のやっていることはもう話にならない。ほんの1年前までは、医師や看護師、警察官といった人々がヒーローだったのに、今ではワクチンを打たないと職を失うと言っている。ハリス副大統領自身が1年前に接種はしないと言っていた同じワクチンだ。」と付け加えた。
財務省職員組合が6月に発表した報告書では、税関・国境警備隊は大量の移民への対応のために1700人も不足している状態だと報告されていた。ジョーダン議員は、「ただでさえ人手不足なのに、(義務化によって)病院や警察、南部国境など、あらゆるところで問題が悪化することになる。国境に関する唯一の結論は、これは意図的なものであり、故意に行っているものだ」と指摘した。バイデン政権は他にも、国境の壁の建設中止、トランプ時代の「メキシコ残留」政策の中止、国境警備隊のイメージ悪化といったことに取り組んでいる。
米『ワシントンエグザマイナー』によると、国境問題を担当しているマヨルカス国土安全保障長官は、今週ワシントンで開催された移民政策研究所の年次移民法・政策会議での講演で、不法入国者の間での「デルタ株の急増は予想外だった。9月下旬にこのような状況になるとは予想していなかった」と述べた。マヨルカス長官はこれまで、感染した移民が米国内に放たれることで国境付近の住民に与えるリスクについて発言を避けてきたが、今回の講演で、移民のうち20%以上が感染力の高い病気にかかっていることを明らかにした。そして、「毎日、7000人、7500人の人を国境で捕まえている。新型コロナウイルスで必要な隔離ができる環境ではない、システムがそれに対応できていない」と述べた。
米『ナショナルレビュー』によると、オバマ元大統領は、abcニュースのインタビューで、「移民問題は難しい。なぜなら、私たちはもともと他人を助けてあげたいと思う国民だからだ。悲劇や苦難を目の当たりにし、子供たちの安全のために必死にこの国に来ようとしている家族を目の当たりにし、場合によっては暴力や大災害から逃れようとしている人たちを目の当たりにしている」と述べた上で、「同時に、私たちは国民国家であり、国境がある。オープンな国境を持つことができるという考えは、現実問題として、持続不可能なものだ」と、現政権の開かれた国境政策に対し批判的なコメントをした。ただし、abcニュースは、現政権を批判したコメント部分をカットした形でオバマ元大統領の全インタビューをテレビで放映した。
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中国の「ゼロ・コロナ」戦略、デルタ株で試される
中国で3回目となる新型コロナウイルスの発生に直面している。ゼロ・コロナ政策を維持することの妥当性を疑問視する中国の専門家も出て来ているが、中国政府はこの政策にのっとって、発生が確認された東海岸の都市での取締りを強化し、集団検査を増やしている。
米
『abcニュース』によると、福建省莆田市の周辺の料金所では新型コロナウイルスの検査が実施され、そのうちの十数カ所は完全に閉鎖されたという。また、近隣の厦門市や泉州市でも、デルタ株の感染が拡大しているため、移動を制限している。
国家衛生委員会は15日、福建省の各地でさらに50人の感染者が確認され、そのほとんどが莆田地区であると発表した。
2019年末に中国中部の都市・武漢で初めて検出されたパンデミックの開始以来、中国では厳しい検査、ロックダウン、検疫、マスク着用の義務が課せられている。...
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米
『abcニュース』によると、福建省莆田市の周辺の料金所では新型コロナウイルスの検査が実施され、そのうちの十数カ所は完全に閉鎖されたという。また、近隣の厦門市や泉州市でも、デルタ株の感染が拡大しているため、移動を制限している。
国家衛生委員会は15日、福建省の各地でさらに50人の感染者が確認され、そのほとんどが莆田地区であると発表した。
2019年末に中国中部の都市・武漢で初めて検出されたパンデミックの開始以来、中国では厳しい検査、ロックダウン、検疫、マスク着用の義務が課せられている。中国では感染拡大はほぼ抑え込んでいるが、国内の様々な地域で新たな感染者が発生し続けている。7月から8月にかけてはデルタ株の感染が複数の省に広がり、より感染力の強い新たな変異ウィルスへの懸念が高まっている。
仏『レゼコー』によると、今回莆田地区で確認されたデルタ株は、9月10日に莆田市でシンガポールからの旅行者が最初の感染者として確認されたという。しかし、この旅行者は、中国に到着後、ホテルで厳重に隔離されている間に、3回の陰性反応が確認されていた。
伝染力の強いデルタ株は、世界で最も厳しいとされる中国の「ゼロ・コロナ」戦略にとって、やっかいな存在だと言える。中国は2020年3月以降、外国に対してほぼ閉鎖されている状態となっているが、7月末に南京から始まった感染の波が17省に広がり、福建省での感染はまだ食い止められたばかりである。それ以前に、工業地帯である広東省でも流行が再燃しており、これも海外からの変異株の流入が原因とされている。
他のアジア諸国と同様に、中国でもウイルス学者の中から、ゼロ・コロナ政策を維持することの妥当性を疑問視する声が上がっている。上海の感染症専門家である張文宏氏は、7月末に「ウイルスと共存することを学ばなければならない」と述べている。しかし、インターネットユーザーから「外国の思想を伝えている」と非難され、直後に大学から盗作の疑いをかけられたため、発言を撤回することを余儀なくされた。また、ある教師は、ネット上のニュース記事へのコメント欄で、中国はウイルスと「共存」できると示唆したことで、15日間拘留されたという。
中国政府がゼロ・コロナ政策を維持する理由の一つは、中国がワクチン接種による集団免疫を獲得するまでの時間稼ぎである。疫学調査の第一線で活躍する鍾南山氏によると、中国では21億5千万回のワクチン接種が行われており、年末までに集団免疫に必要な80%の接種率を達成するという目標に向けて順調に進んでいるという。
しかし、アメリカの外交問題評議会の国際保健を担当する黄延中氏は、デルタ株はこの議論を無意味なものにすると述べている。「中国の既存の予防接種計画では、集団免疫を獲得することはできない」とニューヨーク・タイムズ紙に語っている。
北京の欧米外交官は、「習近平は、昨年の流行の抑制を個人的な勝利として位置づけた。北京オリンピックまで半年、第20回共産党大会まで1年という時期に、戦略を変えてウイルスへの警戒を緩めるようなリスクは絶対におかさないだろう。」と述べている。
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