インターポールの総裁選、公正な取り締まりに対する懸念(2021/11/25)
今週、世界の警察機関であるインターポール(国際刑事警察機構)の第89回総会がトルコのイスタンブールで開かれ、新しい総裁が選出される。しかし、総裁選挙は、警察権力の行使をめぐる権威主義政権と自由民主主義国との間の緊張関係を浮き彫りにするものであり、人権団体からの厳しい批判にもかかわらず、アラブ首長国連邦の高官が選出されそうな勢いとなっている。
米
『abcニュース』は、中国やアラブ首長国連邦などの権威主義政権の幹部が、フランスに本部を置く警察組織のリーダーの座を狙って、トルコで開催される総会に参加している、と伝えている。
インターポールは、政治的な目的のために利用されることはないとしているが、人権団体は、こうした国の候補者が当選すれば、麻薬密輸業者、人身売買業者、戦争犯罪容疑者、過激派容疑者を追跡する代わりに、インターポールの世界的なネットワークが悪用され、亡命した反体制派や国内の政敵まで逮捕されることになると主張している。...
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『abcニュース』は、中国やアラブ首長国連邦などの権威主義政権の幹部が、フランスに本部を置く警察組織のリーダーの座を狙って、トルコで開催される総会に参加している、と伝えている。
インターポールは、政治的な目的のために利用されることはないとしているが、人権団体は、こうした国の候補者が当選すれば、麻薬密輸業者、人身売買業者、戦争犯罪容疑者、過激派容疑者を追跡する代わりに、インターポールの世界的なネットワークが悪用され、亡命した反体制派や国内の政敵まで逮捕されることになると主張している。
特に2人の候補者に批判が集まっている。アラブ首長国連邦のアーメド・ナセル・アル・ライシ監察長官と、インターポールの執行委員会の空席に立候補する予定の中国公安部のフー・ビンチェン氏である。
インターポールの総裁と執行委員会は、政策と方向性を決定し、日常業務を担当する事務局長を監督し、インターポールの顔となる。事務局長はドイツ人のユルゲン・ストック氏が務めている。しかし、アル・ライシ氏は、拷問の嫌疑をかけられており、インターポールの本部があるフランスや選挙が行われているトルコを含む5カ国で刑事告訴されている。
また、フー・ビンチェン氏は中国政府の後ろ楯を得ており、中国政府は、亡命した反体制派を追い詰めるために世界的な警察機関を利用したり、自国民を失踪させたりした疑いが持たれている。
仏『リベラシオン』紙が調査したところ、「レッドノーティス」と呼ばれる、対象者の逮捕や引き渡しにつながる情報提供の要請の大半は、全体主義国家や政治的透明性に欠ける国から出されており、ロシア、中国、アゼルバイジャン、エジプト、イラン、インド、ベラルーシ、ベネズエラ、タジキスタンなどで、2019年だけでも2500件以上のレッドノーティスが出された。米国上院の報告書によると、同年、国際刑事警察機構(ICPO)が受け取ったレッドノーティスの38%はプーチン政権が発行したものだった。
『リベラシオン』は、欧州司法裁判所に拘束され、民主主義国家の代表者たちをますます不安にさせているインターポールは、あまりにも弱く、資金も乏しく、徹底した改革を行うための政治的意志を欠いている組織である、と報じている。また、「フランスは、リヨンに本部を置くこの組織の公式なホスト国であるが、内務大臣は、この組織の法令が悪用され、拷問を行ってきたとされている人が総裁に選出される可能性があることに動じていないようである。この偽りの静けさには、インターポールをさらなる衰退から救うためのフランスの激しい外交活動が裏で行われているのではないかと期待する人もいるかもしれないが、今週アル・ライシ氏が選出されれば、逆に無責任な無関心を証明することになる。」と伝えている。
米『ワシントンポスト』紙によると、ロジャー・ウィッカー米上院議員は先週の上院での演説で、インターポールは「反体制派や政治的反対者を処罰しようとする専制君主や詐欺師が、他国の法執行機関を法の支配から遠ざけようとするための道具になってしまった」と述べ、会議の開催場所を批判した。上院議員は、トルコがレッドノーティスを最も乱用している国の一つであると述べた。例として、トルコの国営メディアが2019年に、政府に対して、強い、批判的な発言をしている全米プロバスケットボール協会のスター選手で、トルコ出身のエネス・カンターに対して、トルコ政府がレッドノーティスを要請したと報じ、世界のメディアの注目を集めたことを挙げた。
チェコ共和国の総裁候補者、シュアルカ・ハブランコヴァ大佐は、自分の立候補は「法の支配と希望の象徴として、人々がインターポールを見ることを希望している加盟国のためのもの」だと述べている。
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英国、ニュージーランドと自由貿易協定で合意もGDPへの影響なしか(2021/10/21)
英国は昨年の日本との、そして今年6月のオーストラリアとの自由貿易協定の合意に続いて、今日、ニュージーランドとの貿易協定に合意した。英国は欧州連合(EU)からの離脱後、世界中で経済的なつながりを拡大しようとしている。
今回の合意について、英
『ガーディアン』は、英国は主要な同盟国であるニュージーランドと貿易協定を結び、中国への依存を食い止めようとしているが、この協定は英国の国内総生産(GDP)に何の付加価値ももたらさないだろうと報じている。
今回の合意で、衣料品、バス、船舶、ブルドーザーなど、さまざまな英国製品にかけられていた10%もの関税が撤廃される一方で、ニュージーランド産のソービニヨンブラン葡萄、マヌカハニー、キウイフルーツの価格が下げられることになる。...
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今回の合意について、英
『ガーディアン』は、英国は主要な同盟国であるニュージーランドと貿易協定を結び、中国への依存を食い止めようとしているが、この協定は英国の国内総生産(GDP)に何の付加価値ももたらさないだろうと報じている。
今回の合意で、衣料品、バス、船舶、ブルドーザーなど、さまざまな英国製品にかけられていた10%もの関税が撤廃される一方で、ニュージーランド産のソービニヨンブラン葡萄、マヌカハニー、キウイフルーツの価格が下げられることになる。
英国とニュージーランドの貿易額は現在、年間23億ポンド(約3624億円)に達しているが、英政府は、この協定によって中小企業のニュージーランド市場への参入が容易になるとともに、先端技術やサービスを提供する企業にとっての障壁が取り除かれるため、貿易額が増加すると予測している。
この協定は、日本との間で締結された貿易協定や、オーストラリアとの間で基本合意された協定に続くものであり、英国のこの地域への注力は、ジョンソン首相の10年計画の一環であり、英国の外交政策の焦点をインド太平洋に傾け、この地域の民主主義国の同盟と地位を強化し、中国に対する競争力を高めることを目的としているという。
ニュージーランドは中国との貿易依存度が高く、輸出の30%以上が中国市場向けとなっている。ニュージーランドのマフタ外相は、オーストラリアが経験している貿易戦争のような地政学的危機に対する脆弱性を軽減するために、輸出業者に輸出先の多様化を促すことを提案していた。
ニュージーランドの野党党首であるジュディス・コリンズ氏も今月、ガーディアン紙に対し、自由貿易協定なしでは、米国と英国はインド太平洋地域における中国の支配に「扉を開いたままにしている」と語っていた。
アーダーン首相は、新型コロナが国に教えてくれたこととして、「一次生産者、経済、国民に確実性をもたらすためには、世界に通用する製品はできるだけ多くの選択肢を持たなければならない」と述べている。
この取引により、ニュージーランドのGDPは9億7千万ドル(約0.3%)増加する可能性がある。しかし、英国政府の昨年の分析では、英国のGDPへの影響は、0.01%のプラス成長か-0.01%のマイナス成長の間で、長期的には、限定的な影響にとどまると予測している。
米『abcニュース』によると、英国農民組合(National Farmers Union)のミネット・バターズ会長は、今回の合意に対して「今後数年間、多くの英国の農場の存続が危ぶまれ、より多くの英国産の食品が店頭に並ぶことを望んでいる国民にとっても、農村地域や大切な農地の景観にとっても不利益となる」と述べている。そして、「これらの取引は英国の農業にとって良いものであるという言葉を繰り返すのではなく、政府はこれらの取引がどのように英国の農業、食料生産の未来、そして英国農家の高い水準に、恩恵をもたらすのかを説明する必要がある」と主張している。
一方ニュージーランドでは、1973年に英国が欧州経済共同体(European Economic Community)に加盟した際、ニュージーランドの輸出業者の多くが見捨てられたと感じ、その感情が今でも残っている。アーダーン首相は、この新しい協定は、そのような歴史に終止符を打つ時が来たことを意味すると述べている。
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