フィリピン大統領の国連脱退発言(2016/08/23)
6月末にフィリピンの大統領に就任したドゥテルテ氏は、就任後6ヶ月以内に麻薬犯罪者を一掃すると公約し、強権を発動して取り締まりを進めている。ドゥテルテ大統領就任後2ヶ月弱の間に712名の麻薬犯罪容疑者が警察により殺害さており、また警察以外の「自警団」による殺害が千名に上ると言われている。これに対して国連の人権高等弁務官事務所が批判する報告を発表したため、8月21日ドゥテルテ大統領は内政干渉と反発し、国連脱退も辞さないと発言した。この発言は国連への怒りが思わず口を付いて出た不用意な発言のようであるが、一国の大統領の発言としては如何なものかと思われる。ドゥテルテ大統領は「東洋のドナルド・トランプ」とも言われており、短絡的な発言が多いことを含め性格や考え方が似ているようであるが、この大統領の行動を見ていると、トランプ候補が米国の大統領になったときにどうなるかの良い参考になるようである。
8月22日付
『USニューズ&ワールドレポート』は、「ドゥテルテ大統領の麻薬取締で1,800人の死者」という見出しで、フィリピン国家警察長官は月曜日7週間前に新大統領就任以来、警察及び“自警団”が容疑者を約1,800人殺害したと発表したと報じた。長官はこのうち712人は警察によるものであるが、1,067人は麻薬組織内の「自警団」によるものとしてこれを非難した。一方大統領はダバオ市長時代から「自警団」による殺害を容認する発言を繰り返しており、国連のこれら超法規的殺害を非難する報告に対して、国連脱退を警告したと報じた。...
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8月22日付
『USニューズ&ワールドレポート』は、「ドゥテルテ大統領の麻薬取締で1,800人の死者」という見出しで、フィリピン国家警察長官は月曜日7週間前に新大統領就任以来、警察及び“自警団”が容疑者を約1,800人殺害したと発表したと報じた。長官はこのうち712人は警察によるものであるが、1,067人は麻薬組織内の「自警団」によるものとしてこれを非難した。一方大統領はダバオ市長時代から「自警団」による殺害を容認する発言を繰り返しており、国連のこれら超法規的殺害を非難する報告に対して、国連脱退を警告したと報じた。
8月22日付フィリピンの
『マニラブレティン』は、「ドゥテルテ大統領、国連脱退を警告;外交専門家は反対」という見出しで、ドゥテルテ大統領は、多数の容疑者を殺害したとして同国の麻薬取締に対する批判を国連が続けるなら、脱退も辞さないと発言したが、外交専門家はこの大統領発言は間違いなくフィリピンの利益にならず、益々フィリピンを国際社会から孤立させると発言したと報じた。大統領は国連の報告が一国の大統領に全く敬意を払っておらず、報告発表前に大統領と会ってもいないことに反発している。また、国連の報告は容疑者殺害を一方的に非難しているが、それ以上の罪のないフィリピン国民が麻薬の犠牲になって殺されている事実に触れておらず、国民を守ることが大統領の役目であると主張する。大統領は、中国やアフリカ諸国と一緒に新しい国際機関を作ってもいいとも発言した。
これに対してフィリピンの大学の政治学の教授は、大統領の発言は深く考えずに突然出てきたものであり、ドゥテルテ政権に対する海外の批判を増幅するだけである。但し、大統領が西側諸国と仲良くするだけでなく、干渉を排して独立国として独自の外交を考えていることも評価してやる必要があると言う。フィリピンの元国連大使を勤めた外交官は、今回の発言をまともに考える必要はない。大統領が国連の報告に一一反応する必要はないと言う。
フィリピンの国会議員は、今回の発言は大統領の性格から出た不用意なもので真剣に捉えるべきではない。大統領は国連や外交関係の発言はもう少し慎重にやるべきだと言うと報じている。
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リオオリンピック、半分終わったところで(2016/08/16)
リオデジャネイロ・オリンピックは半分ほどが終わったところであるが、日本人選手の活躍で日本は盛り上がっているようである。開催前には現職大統領の職務停止、大会施設の建設遅延、テロや犯罪のセキュリティ問題等が懸念され、開催に漕ぎ着けるのかどうかさえ心配されたが、テレビで見る限りでは競技は大きな混乱もなく行われているようである。しかしテレビで見えないところではどうなっているのか、米メディアの報道を紹介する。
8月13日付
『USニューズ&ワールドレポート』(AP通信引用)は、「リオ、第1週を通じ山積する問題と格闘中」という見出しで、リオオリンピックが半分を終了し引き続き多くの問題を抱えており、これまで開催された地域外で開催することの課題を浮き彫りにし、近い将来未開催地域で再び開催するのは遠のいたようだと報じた。これまで選手や競技は難局を上手く乗り切り、ブラジル人は歓迎と友好を示し、テレビは世界へ向けてリオやその周辺の美しい景色を最高のレベルで放映している。...
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8月13日付
『USニューズ&ワールドレポート』(AP通信引用)は、「リオ、第1週を通じ山積する問題と格闘中」という見出しで、リオオリンピックが半分を終了し引き続き多くの問題を抱えており、これまで開催された地域外で開催することの課題を浮き彫りにし、近い将来未開催地域で再び開催するのは遠のいたようだと報じた。これまで選手や競技は難局を上手く乗り切り、ブラジル人は歓迎と友好を示し、テレビは世界へ向けてリオやその周辺の美しい景色を最高のレベルで放映している。しかし、概してオリンピック関係者の言によると、南米最初のリオオリンピックは組織上の問題が多すぎて、楽しさより失望のほうが勝っているという。
7年前にリオ開催を決めたときは、ブラジル経済は好調で政治的にも世界の中で輝いており南米開催の時が来たことを確信させたが、現在のブラジルは、景気は低迷、大統領は弾劾に直面し、多くの政財界人が汚職疑惑で身動きできない状況にあるため、予算削減と資金不足で大会の規模縮小を余儀なくされた。ブラジル人は親切でありそれは良い点であるが、悪い点は7年もあったのに用意が出来ていなかった点であり、過去最悪だった土壇場で準備が終わったアテネと、組織委員会が無能であったアトランタの二つを合わせたようだとオリンピックの歴史に詳しい人はいう。これに対しブラジル人は「我々はオリンピックの組織に問題があることはわかっていた。大会は始まったので後は最善を尽くすしかない。われわれはわれわれの組織運営能力を過信したことはない。」という。
これまでに上がった問題を列挙すると、目立つ空席、プールの水に異常発生、爆発物発見、会場に流れ弾が飛来、選手役員が強盗、窃盗に会ったこと、メディアのバスへの投石、会場内の売店が少ないこと、等々である。今後開催の三大会、2018年冬季の平昌、2020年夏季の東京、2022年冬季の北京は何れも状況は安定しているようだ。アフリカが最後の未開催地域で、2028年か2032年に南アフリカの可能性がある。国際オリンピック委員会(IOC)のスポークスマンは取材に対し、「我々はリオオリンピックを振り返って、オリンピック運動のために良かったと評価するだろう。オリンピックを世界に広めることが最終目的であり、オリンピックを欧米の小さなクラブにしないことが重要である」と語ったと報じている。
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