ウクライナ戦争を背景に国際サイバーセキュリティフォーラムがフランスで開幕(2022/06/07)
サイバーセキュリティに関する欧州のビジョンを促進することを目的とした国際サイバーセキュリティフォーラム(ICF)が今日から3日間、フランスで開催される。今年は13000人以上の参加者が見込まれており、ロシアとウクライナの軍事衝突を背景に、サイバー脅威の状況やその対策について最新の情報が交わされる。
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『BFMTV』によると、ICFの共同主催者であるギヨーム・ティシエ氏はAFPに対し、「出展者は15%から20%増の約550社、講演者は500人近くと、かつてないほど多くの関係者が参加する」と述べている。
ロシアのウクライナへの軍事侵攻が始まった際、世界的なサイバー攻撃が懸念されたが、今のところ、ロシアとウクライナの間でおさまっている。フランスの仏国家情報通信システム安全庁のプパール長官は今週、「ロシアはウクライナを集中的に攻撃している」と指摘。...
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『BFMTV』によると、ICFの共同主催者であるギヨーム・ティシエ氏はAFPに対し、「出展者は15%から20%増の約550社、講演者は500人近くと、かつてないほど多くの関係者が参加する」と述べている。
ロシアのウクライナへの軍事侵攻が始まった際、世界的なサイバー攻撃が懸念されたが、今のところ、ロシアとウクライナの間でおさまっている。フランスの仏国家情報通信システム安全庁のプパール長官は今週、「ロシアはウクライナを集中的に攻撃している」と指摘。しかしウクライナ側は、ロシアのサイバー攻撃に対してよく準備していたことと、マイクロソフトなど国・民間を問わず欧米の協力のおかげで、ロシアからのサイバー攻撃を封じ込めるが出来ているという。プパール長官は、サイバー問題に関して「ウクライナ側に非常に強いレジリエンスが見られる」と述べ、サイバー防衛関係の人たちに「希望を与える」ことだと語っている。
IT関連の仏ニュースサイト『ルモンド・アンフォルマティーキュ』によると、欧州理事会と欧州議会は5月、欧州の主要インフラのセキュリティ強化を目的とした「NIS2」指令の改定について政治的合意に達している。EU全体で共通した高いレベルのサイバーセキュリティを実現したいという意向が強く、官民双方でレジリエンスとインシデント対応能力を向上していく。このために最大45億ユーロ(約6400億円)を目標にサイバーセキュリティへの投資を拡大していく。
なおこのプロジェクトの合意の数ヵ月前には、加盟国に対するサイバー攻撃の増加に対応する能力を向上させるために、EU-CyCLONeと呼ばれる欧州の合同サイバーセキュリティユニットの創設が発表されている。こうした新たなセキュリティ対策は欧州だけではない。米国でも連邦政府機関にゼロトラストセキュリティが課されるようになった。同様に英国でも、通信ソリューションやインフラのセキュリティを強化し、インターネットに接続可能な端末の輸入・販売業者にサイバーセキュリティ基準を課す法案を準備中である。
仏『ソリューション・ニュメリーク』は、ウクライナ戦争で見られたようなサイバー攻撃の将来的な可能性についてフランス中小企業に調査が行わられたところ、中小企業の59%はサイバー攻撃が急増すると予測している。調査対象企業の45%がサイバーセキュリティ対策の強化をすでに実施しているか、または実施中であると回答し、6%がそのつもりだと回答している。調査対象企業の51%がサイバー攻撃の脅威に対して具体的な対策をとっていることになる。
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兵力を失いつつあるウクライナ、いつまで戦いを続けることができるのか(2022/06/06)
ウクライナのゼレンスキー大統領は5月31日、ウクライナが戦闘で毎日60人から100人の兵士を失っていることを明らかにした。米軍にとって最も死者が多かった1968年のベトナム戦争では、1日平均50人弱の米兵が死亡していた。兵力を失っていくウクライナがいつまで戦争を継続することが出来るのか。ウクライナ軍は兵力補充の必要性に直面している。
『AP通信』によると、2019年までウクライナ軍の参謀総長を務めたヴィクトル・ムジェンコ将軍は、損失が悪化する可能性があると警告した。ムジェンコ氏はAP通信に対し、「第二次世界大戦以来、ヨーロッパで最も重要な紛争である。だから損失が大きい。損失を減らすために、ウクライナは今、ロシアの兵器に匹敵する、あるいはそれを上回る強力な兵器を必要としている。そうすれば、ウクライナもそれなりの対応ができるはずだ。...
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『AP通信』によると、2019年までウクライナ軍の参謀総長を務めたヴィクトル・ムジェンコ将軍は、損失が悪化する可能性があると警告した。ムジェンコ氏はAP通信に対し、「第二次世界大戦以来、ヨーロッパで最も重要な紛争である。だから損失が大きい。損失を減らすために、ウクライナは今、ロシアの兵器に匹敵する、あるいはそれを上回る強力な兵器を必要としている。そうすれば、ウクライナもそれなりの対応ができるはずだ。」と述べている。
2月24日にロシアのウクライナへの侵攻で始まったこの紛争では、ロシアがウクライナの首都キーウ奪取に失敗した後、ロシア側が重点的に攻撃している東部地域で、ロシアの集中砲火が多くの死傷者を出している。
米国の駐欧州陸軍司令官を務めたベン・ホッジス氏は、ロシアの戦略を「中世的な摩耗戦略」だと表現し、ウクライナが、ロシアの砲台を破壊し混乱させる米国や英国などの兵器の納入があるまで、「この種の犠牲は続くだろう」と述べた。そして、「この戦場は、イラクやアフガニスタンの20年間より、はるかに殺傷力が高い。犠牲者には、リーダーや軍曹も含まれる。彼らはより露出が多く、常に動き回っているため、死傷者の多くを占める」と説明している。
ウクライナは戦争前、約25万人が軍隊に所属し、さらに10万人を増員している最中だった。政府は、14週間以上にわたる戦闘で何人が死亡したかを明らかにしていない。ウクライナの民間人が何人殺されたのか、戦闘員が何人死んだのか、本当のところは誰も知らない。政府高官による犠牲者数は、広報上の理由から数字を誇張したり、低く見積もったりすることもあり、検証はほとんど不可能である。
欧米の専門家たちは、ロシア軍の死傷者ははるかに多く、数千人に上ると推定しているものの、ウクライナの犠牲者が増えれば増えるほど、ウクライナ軍も代替要員を確保しなければならないと指摘している。人口4300万人のウクライナには人材はある。しかし、ワシントンの戦略国際問題研究所で上級顧問を務める元米海兵隊のマーク・カンシアン氏は、「問題は、兵士の募集と訓練、そして前線への投入だ」と指摘している。「戦争が長期的な摩耗戦に移行しているのであれば、代替要員を確保するシステムを構築しなければならない。これは戦闘中のすべての軍隊にとって困難な課題である。」と語っている。
ウクライナのムジェンコ将軍は、「たしかに損失は大きい。しかし、同盟国の協力があれば、それを最小限に抑え、減らして、攻勢を成功させることに移行できる。そのためには強力な武器が必要となる。」と訴えている。
仏『BFMTV』は、ウクライナ軍と共に戦っている外国人義勇兵のうちにも犠牲者が出ていることを報じている。外国人義勇兵のための公式機関である「ウクライナ領土防衛部隊外国人軍団」は、4人の外国人義勇兵がロシアのウクライナ侵攻と戦って死亡したことを発表した。オランダ人、オーストラリア人、ドイツ人、フランス人の名前を挙げているが、死亡した日付や状況は特定されていない。
同軍団は、デンマーク、イスラエル、ポーランド、ラトビア、クロアチア、イギリス、オランダ、カナダといった国々の市民が仲間に加わったと報告している。ゼレンスキー大統領は開戦と同時に外国人部隊の編成を発表し、その後すぐにウクライナ当局が約2万人の応募があったと発表した。2008年にロシアとの5日間戦争を経験し、ロシアが親ロシア派のアブハジアと南オセチアの独立を承認した旧ソ連邦のグルジアからも相当数の志願兵が集まっているという。ロシアは、2月24日の侵攻開始以来、ウクライナで「数百人」の外国人戦闘員を殺害し、新たな流入を食い止めたと主張している。
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