米最高裁が銃携帯規制を違憲とする、銃規制に逆風(2022/06/24)
米連邦最高裁判所が、公共の場で銃を持ち歩くことを規制するニューヨーク州の州法は、合衆国憲法に反するとの判断を行った。カリフォルニア州、ハワイ州、メリーランド州、マサチューセッツ州、ニュージャージー州、ロードアイランド州にも同様の州法があり、全米で人口の約4分の1がこの決定の影響を受けるとされる。大都市での銃の所持が増えることで、既に増加傾向にあった銃撃事件が今後も増え、犯罪率も上がることが懸念されている。
6月23日付米
『CBSニュース』:「最高裁がニューヨーク州の銃制度を違憲とする判決、武器携帯権拡大へ」:
23日最高裁は、自衛のため公共の場で銃を隠して持ち歩くことを厳しく制限するニューヨーク州法は違憲であると判断した。
判事6人賛成対3人反対の判決により、108年前から続く州法の合憲性を覆した。クラレンス・トーマス判事は多数派の意見をまとめ、同州法は合衆国憲法修正第2条で示される市民の「適切な理由による権利」を妨げるもので、この憲法上の権利は個々の権利保障法案に基づく「第二級の権利」ではないとしている。...
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6月23日付米
『CBSニュース』:「最高裁がニューヨーク州の銃制度を違憲とする判決、武器携帯権拡大へ」:
23日最高裁は、自衛のため公共の場で銃を隠して持ち歩くことを厳しく制限するニューヨーク州法は違憲であると判断した。
判事6人賛成対3人反対の判決により、108年前から続く州法の合憲性を覆した。クラレンス・トーマス判事は多数派の意見をまとめ、同州法は合衆国憲法修正第2条で示される市民の「適切な理由による権利」を妨げるもので、この憲法上の権利は個々の権利保障法案に基づく「第二級の権利」ではないとしている。今回の判決は、最高裁が憲法のもと、「個人が自衛目的で、自宅に武器を置く権利が保障される」との判決を下し、銃の権利拡大に繋がった2008年以来の重要な判決となる。
今米国では、5、6月に発生した銃乱射事件がきっかけとなり、事件発生を減らすための銃規制法への議論が活発になっていた矢先だった。今後は、ニューヨーク以外の銃規制が適用される州にも影響が及び、市街地での銃撃事件が増加することが懸念されている。
バイデン大統領は声明で、「この決定に深く失望している、銃による暴力を減らす法改正を各州に求める。この判決は世間の常識にも、憲法にも反しており、我々を困惑させるもの」だと批判している。ニューヨーク州のホークル知事も、「国が銃制度を見直す中、極めて衝撃的」な判決だとしている。
同付米『NBC』:「最高裁がNYの銃携帯法を覆す、銃の権利拡大へ」:
23日最高裁は、個人が公共の場で銃を隠し持つ権利を制限する州法を違憲とした。これにより、銃の権利は全国的に拡大するとみられる。
この決定により、これまで以上にニューヨーク、ロサンゼルス、ボストン等の大都市で、市民が合法的に銃を携帯することが増えるとみられる。また、全米の人口の約4分の1が、この決定の影響を受ける州に在住しているとされる。
最近テキサス州、ニューヨーク州、カリフォルニア州で銃撃事件が起きているのを受け、議会では銃規制が議論されており、23日には上院で、銃の対策を強化する重要法案が可決している。バイデン大統領も、新たな法通過のため、「全国民で銃の安全を提唱していこう。命が危険に晒されている」と促した。
前回最高裁が大きな銃法の判断をしたのは2010年。全国で自衛のため自宅に銃を所有する権利を認めたが、自宅外での武器携帯は認められなかった。多くの国では、銃所有者が合法的に銃を携帯することを殆ど問題としない。だが、ニューヨーク州は、1913年に制定された現行法により、公共の場で銃を隠して携帯するためのライセンスを申請する場合、武器を携帯すべき必要性と「適切な理由」を提示しなければならない。
無制限ライセンスを持つ場合、どこでも銃の携帯が許されるが、制限付きライセンスの場合は、携帯する権利はあるが、狩猟や標的物の射撃など、特別な目的の場合のみ許可されている。今回この州法に意義を唱えたのは、無制限ライセンスへの申請が却下された銃の権利支援団体の男性2人だという。
州法支持派は、これを違憲とすることで、パンデミックで既に増加傾向にあり、更に増加している銃撃事件が今後も増え、犯罪率も上昇することを懸念している。カリフォルニア州、ハワイ州、メリーランド州、マサチューセッツ州、ニュージャージー州、ロードアイランド州に同様の州法がある。
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中国ハッカー集団、世界から数兆円分の知的財産を盗む(2022/05/10)
中国の国家支援を受けているサイバー攻撃集団「APT41」が悪質なサイバー工作活動により、製造、エネルギー、製薬分野における約30社の多国籍企業から推定数兆円分の知的財産を盗み出していたことが明らかになった。
米
『CBSニュース』によると、ボストンに拠点を置くサイバーセキュリティ企業であるサイバーリーズン社の最新の報告書で、中国政府に雇われているハッカー集団が、北米、ヨーロッパ、アジアのテクノロジーおよび製造企業から、設計図、数式、製造関連のデータなど数百ギガバイトの知的財産および機密データを盗み出す悪質な活動を行っていたことが報告された。
サイバーリーズン社のリオール・ディヴCEOは、『CBSニュース』に対して、「戦闘機、ヘリコプター、ミサイルの図面」だけでなく、「糖尿病、肥満、うつ病に関する医薬品の知的財産」を盗んでおり、こうした攻撃は今も続けられていると語った。...
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米
『CBSニュース』によると、ボストンに拠点を置くサイバーセキュリティ企業であるサイバーリーズン社の最新の報告書で、中国政府に雇われているハッカー集団が、北米、ヨーロッパ、アジアのテクノロジーおよび製造企業から、設計図、数式、製造関連のデータなど数百ギガバイトの知的財産および機密データを盗み出す悪質な活動を行っていたことが報告された。
サイバーリーズン社のリオール・ディヴCEOは、『CBSニュース』に対して、「戦闘機、ヘリコプター、ミサイルの図面」だけでなく、「糖尿病、肥満、うつ病に関する医薬品の知的財産」を盗んでおり、こうした攻撃は今も続けられていると語った。サイバー攻撃は、最先端技術の設計図を入手することに集中しており、その大半はまだ特許を取得していなかったものだという。また、ソーラーパネルや真空システム技術の設計など、エネルギー産業からのデータも流出しており、「大規模な製造工場で必要なものだ」とディヴ氏は指摘している。
中国政府が少なくとも2019年初頭から行っている世界規模のサイバースパイ活動は、将来のサイバー攻撃や潜在的な恐喝キャンペーンに使用できるような情報、すなわち企業の事業部門、ネットワークアーキテクチャ、ユーザーアカウントと認証情報、従業員の電子メール、顧客データに関する詳細も収集している。
FBIは、模倣品、海賊版ソフトウェア、企業秘密の窃盗は、米国経済に年間2250億ドル(約29兆円)から6000億ドル(約78兆円)の損害を及ぼしていると推定している。しかし、サイバーリーズン社は、攻撃の複雑さ、ステルス性、高度さ、また多国籍企業から研究開発情報を奪うという長期的な影響を考えると、中国のハッキング活動の正確な経済効果を推定することは困難だとしている。ディヴCEOは「数十億ではなく、数兆の話だと考えている。本当のインパクトは、5年後、10年後、アメリカが医薬品、エネルギー、防衛技術で優位に立つと思っていたときに、見えてくるものだ。中国を見て、技術者も資源もないのに、どうやってこんなに早く差を縮めたのかと言うことになるだろう。」と指摘している。
FBIクリストファー・レイ長官は、米シンクタンクであるマッケイン・インスティチュートの公開フォーラムで、「中国では、ほとんどすべての主要都市で、中国政府が直接採用したハッカー、または下請けの何千人ものハッカーが、多くの資金と非常に高度なツールを使って、一日中企業のネットワークに侵入し、企業秘密を盗む方法を探っている」と語った。
米『CNN』によると、中国の習近平国家主席と米国の当時のバラク・オバマ大統領は2015年に、両政府が「サイバー上の知的財産の盗用を実施または故意に支援しない」ことに合意した。合意直後、中国のハッキング活動が一時的に減少したことが確認された。しかし、サイバーセキュリティ企業クラウドストライクのアダム・マイヤーズ副社長は、当時の一時的な減少は、習近平による人民解放軍の再編が原因だったのではないかと疑っている。
マイヤーズ氏は『CNN』に対し、「その時期、中国のハッキング活動は、現在の国家安全部に所属する組織に大々的に移行されていた」と説明している。そして、中国の世界的なサイバースパイ活動は、単一の組織ではなく、通信事業者やインターネットサービスプロバイダなど、貴重なデータの保管場所を標的にするようになっていると指摘している。「中国のハッカー集団は、より広範なインフラを狙うという点で、本当にレベルアップしている。彼らが経済スパイをしていたと特定するのはより困難になっている」と指摘している。
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