バイデン大統領の台湾防衛への発言、欧米メディアの報道(2022/05/24)
訪日中のバイデン米大統領は23日、岸田首相との共同記者会見で、台湾有事の際に台湾防衛のために軍事的に関与すると述べた。欧米メディアは、この発言は米国がこれまでの台湾に対する「戦略的曖昧さ」から転換を図ろうとしていることを示唆している可能性があると伝えている。
米誌
『タイム』は、1979年以来、米国は一つの中国政府しか承認しておらず、台湾とは正式な外交関係を結んでいないことを指摘している。ただし、米国は事実上の大使館を含む非公式な関係を維持し、島に軍隊を駐留させ、議会法によって台湾に自衛のために必要な武器を定期的に提供することを義務付けられている。そして米国は、紛争が起こった場合、2300万人の住民を守るために軍隊を派遣するかどうかは、「戦略的曖昧さ」によって明確にしてこなかった。...
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『タイム』は、1979年以来、米国は一つの中国政府しか承認しておらず、台湾とは正式な外交関係を結んでいないことを指摘している。ただし、米国は事実上の大使館を含む非公式な関係を維持し、島に軍隊を駐留させ、議会法によって台湾に自衛のために必要な武器を定期的に提供することを義務付けられている。そして米国は、紛争が起こった場合、2300万人の住民を守るために軍隊を派遣するかどうかは、「戦略的曖昧さ」によって明確にしてこなかった。
『タイム』は、バイデンの東京での予定外の発言は、「戦略的明確化」に向けたシフトのように見えると伝えている。
一方ホワイトハウスは、バイデン大統領が昨年の8月と10月に同様の発言をしたときと同様に、今回も、アメリカの政策に変わりはないと釈明した。国家安全保障顧問のジェイク・サリバンは、戦略的な曖昧さが最も安全な選択肢であると繰り返し述べている。しかし、このような失言が頻繁に起こるということは、あからさまな政策変更を避けつつ、抑止力を高めるための戦略的な作戦であるとの見方も成り立つという。
また、バイデンの発言は、ウクライナへの軍派遣を拒否した大統領によって米国への信頼が揺らいでいる台湾の士気を高めるものでもあるという。最近の台湾の世論調査では、島民の半数が、中国が攻めてきたときにアメリカが助けに来てくれるとは思っていないことが明らかになった。さらに、バイデン政権が提唱するIPEFの立ち上げメンバーから外されるとの報道を受け、島は見捨てられたと感じているという。
『タイム』はまた、バイデンはこの問題で、インド、日本、オーストラリアの首脳とのクアッドサミットを前に、妥協を許さない姿勢を示したと伝えている。オーストラリアでは労働党の新政権が誕生したばかりで、中国政策がまだ練られているところである。一方、自信を深めている日本は、より大きな地域防衛の役割を果たすことを目指しているが、インド太平洋の安全保障にさらに関与してもらうためには、まだ後ろ盾を必要としているという。
仏紙『レゼコー』は、バイデンはすでに昨年10月、台湾への攻撃に対する米国の軍事介入の可能性を示唆していたが、これほど直接的かつ具体的な回答はしていなかったと報じている。特に今回は、台湾からわずか2千キロ離れたアジアでの発言であり、ロシアによるウクライナ侵攻の数カ月後であるため、特に象徴的な重要性を持つと報じている。ただし、バイデンの発言に対して日本側は困った様子だったとも伝えている。台湾への攻撃に対する日本の反応について聞かれた岸田首相は、困惑した様子で、答えることを避けたという。日本には23の米軍基地があるため、台湾を攻撃すれば、ほぼ自動的に地域紛争に巻き込まれることになる。しかし安倍元首相を含む複数の保守系権力者は過去に、同盟国であるアメリカに対し、立場を明確にし、「戦略的曖昧さ」という概念を正式に放棄するよう求めてきたという。
一方、米『フォックスニュース』は、戦略的な曖昧さには2つの目的があったと伝えている。第一に、アメリカの「介入するか、しないか」という曖昧なスタンスは、中国の戦争計画をより困難にするものだった。また、もし中国が台湾を侵略しようとする際、この地域の米軍を攻撃することがなければ、アメリカは台湾の攻撃を食い止めるのにより効果的に動くことができる。第二に、台湾への支持を明確に表明するならば、台湾が中国からの正式な独立宣言を目指すようになり、中国を戦争に巻き込むことが懸念された。
しかし『フォックスニュース』は、状況は変わっているため、戦略的曖昧さは通用しない可能性がある事を指摘している。中国は1979年当時よりはるかに強力になっている。アメリカの信頼性は、昨年のアフガニスタンでの大混乱を招いた撤退とウクライナでの抑止力の失敗をきっかけに、どん底に落ちている。中国共産党は、党の規律、巨大な経済、国民をコントロールする能力など、ロシアや西側に対して明らかに優位に立っていると考えている。こうした中、中国による台湾の侵略は、太平洋地域におけるアメリカの地位にとって致命的であり、21世紀のアメリカにとって世界で最も重要な地域であることから、アメリカは台湾を守るために全力を尽くさなければならないと同メディアは伝えている。
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日本:驚異的な債務の山に直面(2022/05/12)
日本の財務省は10日、国の借金である「長期債務残高」が2021年度末時点で1017兆1000億円になったと発表した。過去最大を更新し、初めて1000兆円の大台を超えた。仏経済紙
『レゼコー』は、この驚異的な負債について、日本では誰も議論していないことに疑問を唱えている。
『レゼコー』は、「日本ではお金はタダなのか?」と問い、日本政府の長期債務が1017兆1000億円を超えたことを驚きと共に伝えている。これは、フランス政府の借金の3倍以上に相当する。
財務省は発表の中で、地方自治体の債務も含めた日本の公的債務総額は、国内総生産のほぼ250%に相当する「山」となっていると指摘している。この数字をもとに共同通信社が計算したところ、日本人一人当たり966万円の理論上の負債を「背負っている」ことになる。...
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『レゼコー』は、「日本ではお金はタダなのか?」と問い、日本政府の長期債務が1017兆1000億円を超えたことを驚きと共に伝えている。これは、フランス政府の借金の3倍以上に相当する。
財務省は発表の中で、地方自治体の債務も含めた日本の公的債務総額は、国内総生産のほぼ250%に相当する「山」となっていると指摘している。この数字をもとに共同通信社が計算したところ、日本人一人当たり966万円の理論上の負債を「背負っている」ことになる。
『レゼコー』は、この天文学的なレベルの負債は、他のG7諸国をパニックに陥れるものであるが、日本では何の議論も起きていない、と指摘している。ナティクシス日本証券のエコノミスト、岩原宏平氏は「世論は、公共支出の増加と債務の増加は避けられないと考えている。だから、まともな議論ができない。」と述べている。
長年「どんな代償を払ってでも」的な政策を実践し、本格的な野党が存在することなく政権を担ってきた保守党の執行部は、経済が冷え込むたびに巨額の景気刺激策を打ち出してきた。新型コロナウイルスの流行が始まって以来、5回も行われた。危機的な時期を除いては、人口減少や経済停滞によって損なわれた税収で年間予算を均衡させることはすでに不可能であり、行政はその都度、経済を支えるため、また高齢化の加速に伴う医療や年金といった社会支出の急増を賄うために借金に頼らざるを得なくなっている。
昨年3月期の債務残高は、1990年代半ばから途切れることなく膨らみ続いているが、最近になって加速している。このような例外的な財政不均衡は、日本の債務の特殊な構造によってのみ可能になっている。岩原氏は、「日本の家計は貯蓄のほとんどを銀行口座に預けており(48%)、この資金で商業銀行が日本国債を購入している。日本の投資家が85.7%を保有している」と説明している。日本政府は海外からの資金調達に依存せず、国内の経済関係者から厚い信頼を得ているため、書類上ではいくらでも借金をすることができる。
2013年以降、量的緩和政策の一環として市場で国債を大量に買い上げてきた日本銀行の揺るぎない支援も頼みの綱となっている。3月末時点で、日銀は国債残高の43.4%を保有していた。
この日本型モデルに短期的な脅威はないものの、専門家たちは、政府が国民の行動の変化を考慮しなければならないと指摘している。家計が高齢化すると、銀行口座からの引き落としが多くなり、債券を購入する資金が制限される。岩原氏は、「国家はいつか海外からの借入を余儀なくされる可能性があり、その場合、国家の負債水準と他国と比較して非常に利回りが低いため、より複雑になるだろう」と指摘している。
米『フォックスニュース』も、日本政府の長期債務残高は18年連続で増加し、6年連続で過去最高を更新していると報じている。負債の増加は、日本の社会保障制度への負担増と、新型コロナウイルス関連の支出、さらに日本の積極的な銀行政策がもたらした結果だと伝えている。
『フォックスニュース』は、日本の経済問題は、労働力の高齢化と雇用市場の停滞によってさらに深刻化していると指摘している。日本では質の高い雇用を生み出すことが難しく、低技能職は外国人労働者の補充に頼っている。出生率は世界で最も低い国の1つであり、日本政府は若いカップルが子供を持つためのさまざまなインセンティブを実施しているが、子どもの数は減る一方となっている。
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