米・英・中国メディア;日本の人口、国勢調査で初のマイナス(2016/02/29)
総務省の発表では、昨年10月に実施した国勢調査の結果、前回5年前の調査と比べて▼94万7,000人(▼0.7%)と、1920年の国勢調査開始以来初めて減少しており、日本が人口減少の局面に入った。各国メディアも危機感を持って報道している。
2月26日付米
『ワシントン・ポスト』紙の報道記事「日本の人口は大きく減少」:
「・以前から、少子高齢化に喘ぐ日本では、人口減少の恐れがあると言われていたが、2月26日の政府発表で、その事実が判明。
・2015年の国勢調査の結果、人口は1億2,711万人で、2010年調査時の1億2,805万7,352人よりほぼ100万人減少。
・現在の人口維持のため、合計特殊出生率(TFR、注後記)は2.1以上が必要だが、今の日本のTFRは約1.4。...
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2月26日付米
『ワシントン・ポスト』紙の報道記事「日本の人口は大きく減少」:
「・以前から、少子高齢化に喘ぐ日本では、人口減少の恐れがあると言われていたが、2月26日の政府発表で、その事実が判明。
・2015年の国勢調査の結果、人口は1億2,711万人で、2010年調査時の1億2,805万7,352人よりほぼ100万人減少。
・現在の人口維持のため、合計特殊出生率(TFR、注後記)は2.1以上が必要だが、今の日本のTFRは約1.4。
・また、2015年における65歳以上の高齢者がほぼ3分の1となっており、国立社会保障・人口問題研究所の調査では、2050年には40%に達すると推計。
・安倍首相は、人口1億人維持を高らかに宣言しているが、国連経済社会部人口委員会調査では、日本の人口は21世紀半ばには1億人を下回ると推計。
・国連の調査では、日本だけでなく合計48ヵ国が2050年までに人口減少傾向であり、特にモルドバ(東欧、ウクライナ南接)が最悪で、2100年には人口が半減と推計。
・但し、経済規模世界3位の日本の人口減少は、米国や中国の重要な貿易相手国であり深刻。」
同日付英
『ザ・ガーディアン』紙の社説「日本の人口減少、誰が高齢者を世話する?」:
「・日本の人口減少の原因として、特に都会でのTFR減少が深刻で、欧州の中でTFRが低いイタリアやスペインをも下回る。
・世界の中で最も繁栄し平和な国のひとつである日本において、少子化(子供がいらない)問題が発生していることは、欧州他にとっても非常に気になる問題。
・日本の特殊事情は以下;
①移民の数が非常に少なく、欧州と違って今後も余り伸びない。
②子供は98%が嫡出子で、婚外子は社会から白い目でみられる。
③つまり、TFR減少は、1970年代以降始まっている婚姻率の低下が原因のひとつ。
④高等教育を受けた女性ほど社会で、より高い俸給・肩書等が得られることから、家庭(結婚)より仕事を選ぶ女性が増加。
⑤終身雇用制の衰退とともに、若年層の就職も厳しくなり、結果として男性も女性も、結婚というギャンブルに賭けることを逡巡。
・西欧との大きな違いは、子供の半数が婚外子であることと、(母親の就業が制限されないよう)公共のチャイルドケア施設が豊富であること。
・日本の少子高齢化問題がより深刻になるにつれ、ロボットに介護させるのでない限り、日本としても最終的には介護要員として多くの移民を受け入れざるを得まい。」
2月27日付中国
『東方日報(上海)』紙の報道記事「日本の人口が初めて減少」:
「・安倍首相は人口1億人維持を最優先課題としているが、人口問題専門家は、彼の目指すTFR 1.8では明らかに無理とコメント。
・ただ、国勢調査の結果では、東京都の人口は1,350万人と、前回調査より+2.7%増。
・若者が田舎を捨て、都会に仕事を求めてきた証拠。
・一方、田舎にはシャッター通りが多く、閑散としている。」
(注)合計特殊出生率(TFR):人口統計上の指標で、一人の女性が一生に産む子供の平均数を示す。この指標によって、異なる時代、異なる集団間の出生による人口の自然増減を比較・評価することができる。
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米・ロシア・中国メディア;北京のスモッグ対策の本気度(2016/02/23)
昨年12月初め、北京において初めて大気汚染の警戒警報のうち「赤色警報」(4段階の最も危険なレベル)が出され、学校は休校、屋外の工事現場操業停止、市内への車の乗り入れ制限等々、首都機能が麻痺する状態となった。中国政府は国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)で、2030年までに大気汚染や地球温暖化の原因となる二酸化炭素排出量を減少に転じさせると発表しており、また、大気汚染が原因で、中国全体で毎年160万人が死亡していると言われていることから、首都北京を筆頭に、スモッグ対策が喫緊の課題となっている。直近の北京当局の対策について、各国メディアが報じている。
2月21日付米
『ロイター通信米国版』の、「北京当局、スモッグ対策のため、通気回廊を建設」と題した報道記事:
「・国営
『新華社通信』の2月21日報道によると、北京市政府は今後、スモッグ対策の一環で通気用の大回廊を建設すると発表。
・風が通りやすいように、公園、河川、湖、高速道路、低階層ビル地区等を繋げて、幅500メーター以上の大回廊を5つ、また、それより規模の小さい回廊も併せて建設。...
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2月21日付米
『ロイター通信米国版』の、「北京当局、スモッグ対策のため、通気回廊を建設」と題した報道記事:
「・国営
『新華社通信』の2月21日報道によると、北京市政府は今後、スモッグ対策の一環で通気用の大回廊を建設すると発表。
・風が通りやすいように、公園、河川、湖、高速道路、低階層ビル地区等を繋げて、幅500メーター以上の大回廊を5つ、また、それより規模の小さい回廊も併せて建設。
・同政府は、2020年までに大気汚染レベルを2013年比40%削減する目標を掲げており、環境保護課の幹部は2月19日、直近2年で大気汚染レベルは改善していると発言。
・なお、同政府は今年、大気汚染対策の一環で、スモッグ発生原因とされる2,500余りの工場を閉鎖予定。」
同日付ロシア国営
『ロシアTV』の、「スモッグを吹き飛ばすため、北京に通気回廊建設」と題した報道:
「・幅500メーターの大回廊の通気孔のひとつは北の郊外から南に通し、幅80メーターの複数の通気孔に繋げ、夏はヒート・アイランド現象の原因となる熱気を、また、冬は大気汚染の原因となる微小粒子状物質PM2.5(注後記)を吹き飛ばすための設備。」
2月22日付中国
『東方日報(上海)』(
『新華社通信』記事引用)の報道記事:
「・国家環境保護部(省に相当)の発表では、北京地区では昨年のPM2.5濃度が規制値並みになったのは186日で、一昨年より僅か14日増えたのみ。
・平均濃度は1立法メーター当り80.6マイクログラム(μg)と、平年より6.2%改善。」
一方、同日付米
『Yahooニュース』(
『ロイター通信』記事引用)の、「北京当局、赤色警報発令の基準値を上げる」と題した報道記事:
「・
『新華社通信』の報道によると、北京市環境保護課は3月末より、赤色警報発令の基準値を、500μg超が1日、300μg超が2日間、200μg超が4日間続く場合に変更と発表。
・現在の基準値は、200μg超が最低3日間続く場合としているが、米国においては“健康被害が深刻”となるレベル。」
(注)PM2.5:大気汚染の主原因となる、1立法メーター当り2.5μg以下の微小粒子状物質で、発生源は車の排気ガス、工場の粉塵・煤煙、石炭燃焼時の煤煙等。呼吸器系の健康被害をもたらすことから、それぞれ以下の指針を設けて削減に努めている。
・世界保健機構:指針(理想値)1日平均25μg以下、年平均10μg以下
暫定目標1 75μg 、 35μg
暫定目標2 50μg 、 25μg
暫定目標3 37.5μg 、 15μg
・日本、米国: 35μg 、 15μg
・欧州連合: 25μg 、 -
・中国:一級基準(都市部) 35μg 、 15μg
二級基準(半農半牧畜地) 50μg 、 35μg
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