5月11日付
『東方日報(上海)』の報道記事「米世論調査で、ヒラリー・クリントン候補がドナルド・トランプ候補を4ポイントリード」:
「・米の“政策世論調査社”(PPP、編注;2001年設立、ノースカロライナ州の調査会社)が5月10日に発表した世論調査(5月6~9日の間、任意抽出の1,222人の有権者対象)の結果、クリントン候補支持が42%に対して、トランプ候補は38%。
・PPPのデナン社長は、クリントン対トランプならばクリントンが勝つだろうが、大勝ということにはならないだろうとコメント。
・なお、トランプ候補は全国的に不人気で、61%が好ましく思っておらず、好ましいとしているのは34%。
・また、クリントン候補の場合は、55%が好ましくなく、好ましいとするのは36%。」
5月14日付
『チャイナ・ナショナル・ニュース』の報道記事「トランプ候補、ソーシャルメディアで仇敵と遭遇」:
「・トランプ候補はこれまで、共和党予備選のライバルを、ソーシャルメディア(ツイッター)を使って貶したり軽視したりとやりたい放題。
・しかし、ついに仇敵が出現-民主党の副大統領候補と目される、マサチューセッツ州選出のエリザベス・ウォーレン上院議員。
・同上院議員は、トランプ候補の中傷を無視しようとするクリントン候補と違って、同候補の暴言等に対して真っ向から反論。
・トランプ候補とのツイッター上の論戦は5月3日に本格的に始まり、同上院議員は、同候補は暴力を奨励し、プーチンを崇める最低の男等々と酷評。
・これに対してトランプ候補も、間抜けなエリザベス・ウォーレンは口先だけで何も行動を起こさない等と応酬。
・ウォーレン上院議員も、トランプ候補のこれまでの阿漕なビジネスをあげつらい、富裕層への増税や最低賃金引き上げなど述べる政策は無謀で根拠のないもの、よってこれ以上の選挙運動はやっても無駄、と更に激しく応戦。」
中国メディアだからかも知れないが、米国大統領の選挙戦の次元の低さを嘲笑うかのよう
な報道ではある。
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4月28日付「中国習主席の富国強兵政策」等で触れたとおり、習近平(シー・チンピン)
指導部は、核弾道装着可能な超高速ミサイルの発射実験を実施する一方、北京開催の“アジア相互協力信頼醸成措置会議”に出席した三十数ヵ国代表を前に、朝鮮半島の紛争化阻止のために北朝鮮を諌めるだけでなく、米国側にも慎重な対応を求めた。更に、南シナ海問題で、フィリピンが提訴の国際仲裁裁判所で不利な審理結果が出る前に、東南アジア諸国の抱き込みに奔走している。そして今度は、中国の体制を脅かすと公安(警察に相当)が判断した海外NGOを取り締まる「海外非政府組織(NGO)国内活動管理法」を制定し、7千以上のNGOの活動の監視を強化しようとしている。
4月29日付米
『CNBCニュース』の報道「中国、7千の海外組織の活動を取り締まり」:
「・全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会は4月28日、海外NGOのみならず、海外NGOと交流のある国内NGOも含めた、7千余りのNGOの活動を公安が監視することを許容する“海外NGO国内活動管理法”を制定。
・本法は、中国の国家安全や国家利益を損なうような活動を取り締まる目的で、2017年1月1日発効。
・同法によって、全てのNGOは業務内容、資金の流れ等を明らかにすることが求められ、また、全ての従業員が尋問対象。
・公安部の高官は、香港の民主活動家やチベットの反政府分子などとつながる、中国の体制を脅かす恐れのあるNGOを厳しく取り締まる必要があると言明。
・この結果、人権擁護活動家や弁護士などを支援するNGOの活動が制限される恐れ。
・既に今年1月、人権弁護士の活動や役人相手の訴訟を支援してきた“中国緊急支援グループ”の中心メンバーだったスウェーデン人のピーター・ダーリン氏が拘束され、国外追放処分。」
同日付米
『クォーツ』ビジネスニュースサイトの報道記事「G20は、習近平政権のNGO取締法に断固反対すべき」:
「・今年9月、杭州(ハンチョウ、中国南東部浙江省の省都)で開催される主要20ヵ国・地域首脳会議(G20サミット、注1後記)は、これまでと違って中国国内のNGO代表が招待されない恐れ。
・当初のG20サミットは、政府関係者のみに限られ、経済や金融情勢につき偏った協議しかされないとの批判から、以降市民団体、労働組合、企業家、シンクタンク、女性組織、青年組織等も加わる開かれた国際会議に変革。
・しかし、従来中国は体制批判を懸念して、市民団体や人権活動家らを取り締まってきており、この程“海外NGO国内活動管理”を制定するに至り、益々政府主導の国際会議の色合いが濃くなり、当然国内NGOの参画を求めない意向。
・今年のG20サミットの議長国は中国であるが、他の同サミット参加国は、これまで関わってきた市民団体やNGOなども参加させることによって、中国の閉鎖的な対応を再考させるよう働きかけるべき。」
同日付英
『インターナショナル・ビジネス・タイムズ英国版』オンラインニュースの報道記事「西側政府及び人権グループ、中国導入の7千の海外NGO取締法に懸念表明」:
「・全人代常務委法制工作委員会の郭(グォ)委員は、中国は多くの海外NGOを歓迎しており、本法に憂慮する必要はない、と言明。
・この新法制定に対して、米国が率先して懸念を表明。
・米国家安全保障会議のネッド・プライス報道官は、中国に対して、人権団体、ジャーナリスト、企業家等市民社会を形成する団体の権利と自由を保障するよう求めると主張。
・また、アムネスティ・インターナショナル(注2後記)代表は、これまでも制限されてきた表現の自由や平和的集会などが、この新法によって益々厳しく取り締まられると懸念表明。」
一方、同日付中国
『東方日報(上海)』の報道記事「海外NGOを取り締まる新法制定」:
「・全人代常務委法制工作委員会の張勇(チャン・ヨン)副主任は、中国の法律に従う限り、新法導入を何ら懸念する必要はないと明言。
・また、同委の郭委員も、新法によってNGOの権利は保護されるが、ごく少数の組織は社会の安定と国家安全を脅かす恐れがあるので、それらを取り締まるためのものと強調。」
(注1)G20サミット:1997年のアジア通貨危機を契機に、1999年から主要20ヵ国の財務相・中央銀行総裁が年一度集り、世界金融情勢につき打合せ。2008年のリーマンショック以降は、G20首脳も毎年春・秋に集り、世界経済及び金融情勢につき討議。参加国は以下のとおり。
・アジア・太平洋地域:日本、中国、韓国、豪州、インド、インドネシア(6ヵ国)
・中東・北アフリカ地域:サウジアラビア、トルコ(2ヵ国)
・欧州:英国、ドイツ、フランス、イタリア、ロシア、EU(6ヵ国・地域)
・サハラ以南アフリカ地域:南アフリカ(1ヵ国)
・北米地域:米国、カナダ(2ヵ国)
・南米地域:メキシコ、ブラジル、アルゼンチン(3ヵ国)
(注2)アムネスティ・インターナショナル:国際連合との協議資格をもつ、国際的影響力の大きいNGO。国際法に則って、死刑の廃止、人権擁護、難民救済など良心の囚人を救済、支援する活動を行っている。1961年7月設立で、本部はロンドン。
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