李克強中国首相果断な行動を約す(2016/02/17)
中国政府は旧正月休暇が明ける2月15日、中国の李克強首相が14日に行われた国務院常務会で発言した内容を公表した。それによると同首相は、中国政府は経済成長を支えるための具体策を持っておりこれを実行する。若し成長軌道を外れることがあれば果断に行動すると述べた。また、新年が申年に当たることから西遊記の孫悟空の如意棒を使うことをためらわないとも述べた。
同首相は、現在中国内外で中国経済の先行きに関する懸念が高まっており、政府の各大臣や長官は率先して記者会見を行い、疑問に答えなければならないとも発言した。今回の発言内容の公表は、中国の旧正月休暇中に世界の金融市場が大きく動いたが、休暇明けに際し首相自ら積極的な姿勢を示すことにより内外に安心感を与えようとしたものかと思われる。首相は中国の失業率が1月で4.99%と低いレベルにあり雇用が安定していることを、中国経済が健全な状態にあることの最大の証拠として挙げている。
一方で中央・地方の政府役人が職務を勤勉に勤め責任を全うしていないとも発言しており、新年に当たり政府組織の引き締めを図っている。
この発言を好感してか、16日の上海総合指数は3.2%上昇して引けた。
2月16日付
『ロイター通信』は、16日の中国、香港の株式市場が原油価格の上昇、人民元の安定化及び李克強首相の強いコメントを受けて上昇したと報じた。中国政府の成長率引上げ努力に沿って1月銀行の新規融資は2.51兆元と記録的な額となったとも報じている。
2月17日付香港の
『サウスチャイナモーニングポスト』は、「中国首相、減速の中経済成長
維持のため果断な行動を約束」という見出しで、李克強首相の発言を報じた。...
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2月16日付
『ロイター通信』は、16日の中国、香港の株式市場が原油価格の上昇、人民元の安定化及び李克強首相の強いコメントを受けて上昇したと報じた。中国政府の成長率引上げ努力に沿って1月銀行の新規融資は2.51兆元と記録的な額となったとも報じている。
2月17日付香港の
『サウスチャイナモーニングポスト』は、「中国首相、減速の中経済成長
維持のため果断な行動を約束」という見出しで、李克強首相の発言を報じた。
2月17日付
『チャイナデイリー』(中国日報網)は、「首相、経済問題で行動を要求」という見出しで、首相が国務院の上層部に対し中国経済に関する内外の関心に対し敏感に対応するよう要求したと報じた。首相は、最近の中国の株式や人民元の市場変動に対する当局の対応について、国際的慣習にそったもので間違っていないとした上で、今後当局は今回の経験に学びタイムリーで効果的な対応を取るべきであるとも述べたと報じている。
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中国メディア;COP21へのポーズ? 北京市当局が公害工場閉鎖命令(2015/12/02)
11月30日付「中国はCOP21でCO2削減を訴える前に、まず北京市民を救え!」の中で、“COP21開催直前、中国の環境保護部長(環境保護相に相当)が、中国が当初掲げた目標より早く大気汚染減少を達成したと発表したものの、その前日から、北京周辺のスモッグが危険レベルに達している”と報じた。COP21で米国とともに、2020年以降の新しい温暖化対策の枠組み合意に向けて、中心的役割を果たそうとしている習主席にとっては、誠にきまりの悪いニュースだった模様で、早速地方政府をして厳しい対応措置を取らせたと中国メディアが伝えている。
12月1日付
『人民日報』は、「北京市当局、スモッグ対策のため2,000余りの工場閉鎖命令」との見出しで、「環境保護活動家が、北京市周辺を含めてスモッグ公害が今年最悪になったことを受けて、11月30日に当局に対して大気汚染の発生源を厳しくチェックするよう要求した。そこで北京市は即座に、汚染度の高い2,100余りの工場の閉鎖を、また、建設現場に対しても一時的に工事を停止させる命令を出した。しかし、環境保護部の検査員がチェックしたところ、少なくとも11ヵ所の建設現場及びセメント工場が命令を無視して操業を続けていた。...
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12月1日付
『人民日報』は、「北京市当局、スモッグ対策のため2,000余りの工場閉鎖命令」との見出しで、「環境保護活動家が、北京市周辺を含めてスモッグ公害が今年最悪になったことを受けて、11月30日に当局に対して大気汚染の発生源を厳しくチェックするよう要求した。そこで北京市は即座に、汚染度の高い2,100余りの工場の閉鎖を、また、建設現場に対しても一時的に工事を停止させる命令を出した。しかし、環境保護部の検査員がチェックしたところ、少なくとも11ヵ所の建設現場及びセメント工場が命令を無視して操業を続けていた。当局は、違反企業に対して厳しい罰金を科す意向である。」とし、「北京市南部の地点では、11月30日午後6時現在、微小粒子状物質PM2.5が、1立法メーター当り945マイクログラムに達していた。これは国家基準の75マイクログラムを遥かに超える数値である。なお、中央気象センターによると、12月2日までには西からの寒波が襲来するため、11月27日から居座っていたスモッグも吹き飛ばされるという。」と報じた。
同日付
『中国ニュース英語版』(
『新華社通信』記事引用)は、「大気汚染規制の違反者が大気汚染を悪化させる」との見出しで、「環境保護局の検査員の調査によると、北京市内の建設現場で工事を続けていたり、幌をかぶせないで建設資材を運ぶトラックが走行しており、益々大気汚染を悪化させていたという。当局は、これらの企業名やトラックを公表した。」と伝えた。
同日付同ニュース(
『中国日報』記事引用)はまた、「肺ガン患者が2020年までに毎年80万人発病」との見出しで、「医療専門家によると、大気汚染、高齢化、また喫煙のため、2020年までに毎年80万人の人が肺ガンを患い、そのうち70万人が命を落とすことになるという。中国では、ガン疾病のうち、肺ガンの死亡率がトップとなっている。大気汚染の悪化で、肺ガン患者が益々増えるものとみられる。」と報じた。
PM2.5が健康に与える被害度合いであるが、英科学誌「ネイチャー」9月号によると、PM2.5の長期間吸入で、脳卒中、心臓発作や、呼吸器系疾患を引起すと言われ、世界で毎年330万人が大気汚染が原因で死亡しているという。
PM2.5に関わる中国の国家基準が75マイクログラムとあるが、日本や米国における環境基準は遥かに少ない35マイクログラムであり、70マイクログラムを超えると、環境省から、不要不急の外出を控えるようにとの注意喚起が出される。なお、世界保健機構(WHO)が定める基準値指針は25マイクログラム(暫定目標35マイクログラム)であり、いずれにしても中国においては、国家基準自身が緩いことも、大気汚染対策や同原因企業の取り締まりが不十分な理由と言えなくもない。
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