9月30日付
『ロイター通信』は、中国当局が本年5月に2人の日本人をスパイ容疑で逮捕し、現在も拘留中であると報じた。
「朝日新聞」によると、2人は民間人であり、そのうち1人は北朝鮮の国境付近の遼寧省で拘束され、別の1人は浙江省の軍事施設付近で逮捕された。中国外務省の洪磊報道官は、関係当局が2人を中国内でのスパイ活動に対し法に基づいて逮捕し、既に日本側に事態を伝えていると発表した。菅官房長官は個別ケースにはコメントしないとしながら、「我国はそのようなことは決してしない。...
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9月30日付
『ロイター通信』は、中国当局が本年5月に2人の日本人をスパイ容疑で逮捕し、現在も拘留中であると報じた。
「朝日新聞」によると、2人は民間人であり、そのうち1人は北朝鮮の国境付近の遼寧省で拘束され、別の1人は浙江省の軍事施設付近で逮捕された。中国外務省の洪磊報道官は、関係当局が2人を中国内でのスパイ活動に対し法に基づいて逮捕し、既に日本側に事態を伝えていると発表した。菅官房長官は個別ケースにはコメントしないとしながら、「我国はそのようなことは決してしない。それはどの国においても同じことであると言いたい」と述べている。
中国の習近平主席は、新たに国家安全評議会を設け、1993年に制定された国家安全保障法をスパイ防止法として改定し、スパイ活動関係法令を更に厳格なものにしている。昨年、中国の当時の駐アイスランド大使が国家機密を日本に渡したとして逮捕された後行方不明となっているが、中国政府はこのことを一切語らない。日中関係は、過去の日本による中国侵略やアジア地域での主導権争いで冷え込んでいたが、昨年の両国首脳会談以降、改善に向かっていた。
10月1日付の米国
『ザ・ディプロマット』誌は、匿名の日本政府高官の話として、日本政府は2人の拘留が5ヵ月以上に及んでいる状況を踏まえ公表に踏み切ったと報じている。過去の同様の事例として、2010年には4人の日本人が軍事施設の撮影した疑いで逮捕されたが、3週間で全員が釈放され、早期に解決している。
今回の事態は両国関係に水を差すものである。日本の政府高官は、中国が主張するスパイ活動の嫌疑は、逮捕するための口実に過ぎないと述べながらも、中国の真の意図を測りかねている。中国メディアは、これまでも観光客を装った者が軍事施設をスパイ活動していると警鐘している。「中国日報」は最近、「外国の機関が架空会社や偽装観光ツアーを隠れ蓑にして、軍事機密を収集する目的で中国の機密地域に入り込んでいる」と報道した。中国は、2014年、軍事的制限区域での人民解放軍の統制を強化する法律を制定しており、それ以降、国家機密を盗取した疑いで2人のカナダ人と韓国系米人伝道師を逮捕している。
9月30日付英国
『ザ・ガーディアン』紙は、中国が日本人2人をスパイ容疑で逮捕したことで、日中関係は更に悪化しそうだと報じる。
「共同通信社」によると、2人は50代の男性であり、更にもう1人の日本人が同様の嫌疑で拘束されているとの情報がある。これに対し、日本政府は、確認しているのは2人だけであるとする一方、日本が隣国でスパイ活動をおこなったことを否定している。
日中関係は、昨年11月の首脳会談以降改善の兆しが見られたが、今回の事態で緊張しそうである。中国が日本人をスパイ容疑で拘留したのは今回が初めてではなく、2010年に4人の富士通社員が軍事制限地域に入り、許可なく写真を撮ったとして一時的に拘束された。最近では、米国人がスパイ活動容疑で6ヵ月間拘留されたままであり、習近平主席の訪米時にその詳細が明らかになっている。
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