反トランプ色のカリフォルニア州、トランプ大統領の初訪問にも冷ややか、一方、大統領選で共和党が制したペンシルベニア州の小選挙区補選では共和党候補苦戦【米・英国メディア】(2018/03/12)
カリフォルニア州はこれまで、ドナルド・トランプ大統領が宣言したパリ協定(国連気候変動対策条約)脱退に逆らって、気候変動対策に関わる条例を発効させる等、反トランプ色が鮮明の州である。しかし、就任後初めて同大統領が訪問するが、今のところ大規模な反対デモ行進は行わないものの、冷やかな対応をみせる模様である。一方、2016年の大統領選ではラストベルト(注1後記)の中にあってトランプ大統領支持に回ったペンシルベニア州であるが、今週行われる同州小選挙区の下院議員補選では、共和党候補が民主党候補に苦戦を強いられている。万一、民主党が勝利するようだと、11月の中間選挙で、民主党が勢い付く可能性があり、その行方が見逃せない。
3月11日付米
『ロス・アンゼルス・タイムズ』紙:「トランプ大統領がついに反トランプ色の州入り、果たして“抵抗運動”が大々的に繰り広げられるか?」
ドナルド・トランプ大統領就任以降、カリフォルニア州では事ある毎に反トランプのデモ行進等が繰り広げられ、また、フェイスブックやツイッターで多くの非難の声が上げられてきた。
それらは、同大統領によるイスラム教徒排斥、女性蔑視、人種差別に関わる発言、更には、気候変動対策への反対行動などである。...
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3月11日付米
『ロス・アンゼルス・タイムズ』紙:「トランプ大統領がついに反トランプ色の州入り、果たして“抵抗運動”が大々的に繰り広げられるか?」
ドナルド・トランプ大統領就任以降、カリフォルニア州では事ある毎に反トランプのデモ行進等が繰り広げられ、また、フェイスブックやツイッターで多くの非難の声が上げられてきた。
それらは、同大統領によるイスラム教徒排斥、女性蔑視、人種差別に関わる発言、更には、気候変動対策への反対行動などである。
そのせいもあってか、これまで同大統領はカリフォルニア州訪問を避けてきたが、ついに今週来訪することになった。
すなわち、3月13~14日に同州南端のサンディエゴを訪問し、公約である、メキシコ国境に壁を造るための募金活動式典に出席する予定である。
ただ、目下のところ、ロス・アンゼルスで1,000人余りの抗議行動、また、ビバリーヒルズやサンディエゴでも小規模のデモが見込まれているが、昨年実施されたウィメンズマーチ(女性の行進運動、注2後記)ほど広がることはなく、いたって冷やかな対応となるとみられる。
一方、3月12日付英『デイリィ・メール・オンライン』(『AFP通信』配信):「トランプ政権支持率のバロメーターとなる米下院議員補選」
米下院議員の補選が3月13日、ペンシルベニア州の第18小選挙区(ピッツバーグ市南の近郊)で行われる。
2016年の大統領選時、従前の民主党地盤が共和党によって覆された州であるが、同選挙区では、2003年よりティム・マーフィ共和党議員が議席を守ってきた。しかし、同議員が昨年10月下旬に議員辞職して以降空席となっており、今回漸く補選が実施される運びとなった。
ところが、共和党のリック・サッソン候補(60歳)の対抗馬として立候補した、民主党のコナー・ラム候補(33歳)の前評判が非常に高い。年齢も然ることながら、元検察官で米海軍の顧問弁護士の経歴等が強みとなっているとみられる。
専門家によれば、トランプ政権になってからの数々のスキャンダル、重鎮の辞職等が逆風となっていて、2016年時に共和党を支援した有権者が民主党に鞍替えすることもあり得るという。
現在、上院・下院とも共和党が多数を占めているが、1小選挙区とは言え、共和党の牙城が崩されるようだと、11月に控える中間選挙に向けて、俄然民主党に追い風となる可能性が大きい。
従って、全米が3月13日の選挙結果に注目しているところである。
(注)ラストベルト:米国の中西部地域と大西洋岸中部地域の一部に渡る、脱工業化が進んでいる地帯を表現する呼称。インディアナ州、オハイオ州の北部、ミシガン州の南部、ウィスコンシン州のミシガン湖岸、シカゴとイリノイ州北東部、ニューヨーク州北部、ニューヨーク市とニュージャージー州北部、ペンシルベニア州の大半、ウエストバージニア州の北部等が含まれ、多くの製造業が衰退し、長い間不景気が続いてきた。
(注2)ウィメンズマーチ:2017年1月下旬、トランプ大統領就任式直後の週末に全米で繰り広げられたデモ行進。同大統領の女性蔑視発言・移民政策・人種差別等に抗議して、ワシントン特別区での50万人を筆頭に、全米500余りの都市で合計400万人余りが参加。
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米国、2016年大統領選でのロシア不当介入容疑が固まったとして対ロシア追加制裁準備、しかし内外からは米国こそ民主主義の他国押し売り介入最多と批判の声【米・フランス・ロシアメディア】(2018/02/24)
2月20日付
Globali「言いたい放題のトランプ大統領、2016年大統領選でのロシア妨害工作の容疑者起訴の事態に、当時の大統領オバマ氏に責任転嫁するツイート」で触れたとおり、トランプ大統領自身も、長らく否定してきたロシアによる不当介入について認めざるを得なくなったとみられる。そこで、これまで対ロシア制裁に消極的とみられたトランプ政権も、遂に追加制裁を検討せざるを得なくなった模様である。ただ、これに対して内外の見識者からは、米国こそ自国の民主主義を他国に押し売り介入を頻繁に実施してきたとの非難の声が上がっている。
2月22日付米
『ロイター通信米国版』「米政権、対ロシア追加制裁の検討に着手」
米高官が2月21日に明かしたところによると、トランプ政権が、ロシアによる大統領選不当介入のみならず昨年の壊滅的なサイバー攻撃への報復措置として、新たな制裁を検討し始めたという。
米議会の共和・民主両党とも、昨夏に議会が圧倒的賛成多数で決議した対ロシア制裁について、トランプ大統領が署名して発効させようとしないとして強く抗議していた。...
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2月22日付米
『ロイター通信米国版』「米政権、対ロシア追加制裁の検討に着手」
米高官が2月21日に明かしたところによると、トランプ政権が、ロシアによる大統領選不当介入のみならず昨年の壊滅的なサイバー攻撃への報復措置として、新たな制裁を検討し始めたという。
米議会の共和・民主両党とも、昨夏に議会が圧倒的賛成多数で決議した対ロシア制裁について、トランプ大統領が署名して発効させようとしないとして強く抗議していた。
同高官は、2018年11月の中間選挙への不当介入の可能性も視野に入れて、より効果的な制裁を検討しているため、もう暫く時間がかかるとしている。
なお、ホワイトハウスは先週、2017年6月に発生したサイバー攻撃“NotPetya”ランサムウェアはロシア軍が仕掛けたもので、広く欧州、アジア、米大陸に数十億ドル(数百億円)の損害をもたらしたと発表した。
同高官によると、このランサムウェアにも然るべく対応する必要があるとする。
同日付フランス
『フランス24』オンラインニュース(
『AFP通信』配信):「米ホワイトハウス、対ロシア制裁弱腰との批判を否定し、更に追加の制裁を準備中と表明」
米ホワイトハウス高官は、トランプ政権が対ロシア制裁に弱腰との批判を退け、目下特別チームを組織して、2016年大統領選不当介入の報復措置として新たな制裁を検討していると明かした。
更に、ロシア軍と“深い取引関係”にある如何なる国にも厳しい制裁措置を講ずるとも触れた。北大西洋条約機構(NATO)加盟国のトルコが、ロシア製S-400対空ミサイル防衛システムを購入すると公式発表しているが、これは米軍の制空権を脅かすものであるから、制裁対象に成り得るとしている。
一方、2月21日付ロシア
『RT(ロシア・トゥデイ)ニュース』:「米テレビ討論番組、民主主義促進という“米政府方針”に則り“米国の他国干渉は許容される”と言及」
米
『MSNBCテレビ』の討論番組は、米国がこれまで何度も他国に干渉してきたとするのはロシアのいう“whataboutism(そっちこそどうなんだ主義、注後記)”の主張で偏った見方だとする。何故なら、民主主義の促進は“公にされた米政府方針”だからであるという。
同番組に出演した、元在ロシア米大使のマイケル・マクフォール氏は、ロシアによる米大統領選介入疑惑に関し、米政府の方こそ他国の選挙に介入していると言い訳しているが、それこそプーチン大統領によるテレビでの“whataboutism”の主張に他ならないと表明した。
一方、
『ニューヨーク・タイムズ』紙のジム・ルーテンバーグ記者は、確かに米国は他国の選挙介入してきたことは事実であるが、それは民主主義を促進して邪悪な暴君を打ち負かすために他ならない、と少々譲ったコメントをした。
しかし、上記テレビ討論番組について、ラジオ・パーソナリティのジョン・ゴーント氏は、ばかげたコメントばかりだと一刀両断の上、例えばリビア市民に聴いてみれば判るが、彼らは米国の同国介入を本当に喜んでいるだろうか、と批判した。更に同氏は、米国の介入の方がロシアよりよっぽど性質が悪いとも付言した。
なお、
『ロス・アンゼルス・タイムズ』紙によると、米政府は1946~2000年の間に、少なくとも81度他国の首脳選挙に介入したとする。但し、これには、民主的選挙で選ばれたものの、米政府が評価していない首脳を退陣させるに至ったクーデターなどは含まれない。
米国はこれまで、イラクに侵攻し、リビアを空爆し、シリアに軍事介入してきているが、これらを“干渉”でないとすれば、何と呼べばよいのであろうか。
(注)whataboutism:冷戦時期において、ソ連(当時)が西側諸国対策で使用したプロパガンダの方法。
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