仏メディアがみるトランプ新大統領の変化(2016/11/11)
トランプ新大統領の誕生に警戒を示しながらもフランスは想定内の出来事であるかのように比較的冷静に受け止められている。「まさか」が起こる事を6月のブレグジット(英国離脱)で経験済みであるだけでなく、反エリート主義のポピュリズムの波は欧州各国にも押し寄せており、一つの政治的変換期との見方が多い。「トランプ勝利はエリート全てに対するもの」(「フィガロ紙」)、「第45代米大統領はブレグジット後のポピュリズムの新たな高まりを示す」(「レゼコー紙」)「トランプ、ブレグジット、FN(仏極右政党)に共通する投票の動機」(
『リベラシオン紙』)など世界的なうねりとして現実的に受け止める。気になるトランプ大統領の動向については、次の通り報じる
大統領の勝利スピーチが選挙中と比べかなり穏やかな論調で行われたように、トランプ氏のウェブサイトも変化があった。
『レゼコー紙』によると、「イスラム教徒の米国への移民を阻止するためのトランプ宣言」と書かれたリンクが、大統領選勝利と共に突然ウェブサイト上から消えた。それだけでなく、最高裁判事指名や経済政策や防衛戦略など、就任後の政策を左右する主要分野に関する詳細な見解が共に削除された。特にイスラム教徒の全面的入国禁止の公約については、共和党員の多くが非難し、世論調査でも過半数の米国人が反対していたことから、「レゼコー紙」は「トランプ氏は目立たないように論争を呼ぶ提案をひっこめる」と見出しを付け「軟化姿勢のサイン」との見方を示すが、トランプ氏からこの件の回答がきていない現時点では断定は避けた。...
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大統領の勝利スピーチが選挙中と比べかなり穏やかな論調で行われたように、トランプ氏のウェブサイトも変化があった。
『レゼコー紙』によると、「イスラム教徒の米国への移民を阻止するためのトランプ宣言」と書かれたリンクが、大統領選勝利と共に突然ウェブサイト上から消えた。それだけでなく、最高裁判事指名や経済政策や防衛戦略など、就任後の政策を左右する主要分野に関する詳細な見解が共に削除された。特にイスラム教徒の全面的入国禁止の公約については、共和党員の多くが非難し、世論調査でも過半数の米国人が反対していたことから、「レゼコー紙」は「トランプ氏は目立たないように論争を呼ぶ提案をひっこめる」と見出しを付け「軟化姿勢のサイン」との見方を示すが、トランプ氏からこの件の回答がきていない現時点では断定は避けた。
『フィガロ紙』も、トランプ新大統領が自身の改革を推し進めるために必要な共和党の過半数を取り込むために、論調を軟化させたとの見方を強める。「トランプ氏は全ての米国人に和解の手を差し伸べる事で、議会で効果的かつ必要な連携を必要とし、内部抗争に飛び込む事は得策ではないとわかっており、シグナルを送る」と評する。
また「フィガロ紙」によると、選挙中に対立関係にあった共和党員が次々とトランプ新大統領への協力と支持を表明し始めている。下院議長のライアン氏は10月のセクハラ告発以来トランプ氏の名を口にする事すらなかったが、当選後は「怒れる米国市民の叫びを聞いた唯一の人物」として歓迎。「ネバートランプ」運動の急先鋒のネブラスカ州議員も「公約を果たせるよう出来る事は力の限り行う」と宣言。「トランプ氏を熱狂的に支持し、意見の相違があれば個人的に話し合う」と上院多数派院内総務議員が表明。取り込みは順調に進んでいる様子。
公約の最優先事項は移民排斥でなくむしろ、「オバマケアと呼ばれるオバマ政権による医療保険改革に関する法律の代替案作成」と「フィガロ紙」は見る。「8年間のオバマ色を消すために共和党員は準備する」と評し、トランプ氏と共和党員の妥協点となると示唆する。
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仏メディアがみる韓国大統領知人逮捕(2016/11/04)
韓国の朴大統領の長年の知人が職権乱用で逮捕された。朴大統領は国内の批判に対応すべく側近を含む数名を解任して政権再編を行うが、街頭では朴大統領の辞任を求めるデモが続き、支持率は急落し10%を切った。朴大統領への訴追と辞任に伴う大統領選の有無だが、フランスメディアは次の通り報じる。
フランスメディアは朴大統領の政権再編について、その場しのぎ的な苦しい応急処置との見方を示す。
『レゼコー紙』は「辞任を求める声が高まる中、朴大統領は閣僚や顧問を追い出し政府再編」、「朴大統領は、急きょ首相を含む大臣2名と側近である顧問数名の解任を余儀なくされ、この再編で世論の怒りを鎮める事を願う」と報じる。「レゼコー紙」によると、今回の政権再編によって、新首相は進歩系ノ・ムヒョン元大統領の元顧問や副大臣が新首相や新公安大臣に新たに任命されており、「これまでの保守政権よりかなり中立性」を示す人事で、「開放的な大物」が選ばれたようだ。...
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フランスメディアは朴大統領の政権再編について、その場しのぎ的な苦しい応急処置との見方を示す。
『レゼコー紙』は「辞任を求める声が高まる中、朴大統領は閣僚や顧問を追い出し政府再編」、「朴大統領は、急きょ首相を含む大臣2名と側近である顧問数名の解任を余儀なくされ、この再編で世論の怒りを鎮める事を願う」と報じる。「レゼコー紙」によると、今回の政権再編によって、新首相は進歩系ノ・ムヒョン元大統領の元顧問や副大臣が新首相や新公安大臣に新たに任命されており、「これまでの保守政権よりかなり中立性」を示す人事で、「開放的な大物」が選ばれたようだ。
『ルモンド紙』によると、「朴大統領は中立的な人事によって、政府安定化を図る大統領の決意と断固たる意志を示し、野党に協力を呼び掛ける」が、今回の再編人事は「緊急に政権が選んだ人物は国民のさらなる拒絶反応を引き起こすだけ」と評する。大統領の支持率は10%を切り、現在5%代まで急落した。
また「レゼコー紙」、「ルモンド紙」ともに大統領辞任か罷免の可能性は低いと見る。世論調査では67.3%やデモは大統領辞任を求めるが、「特に罷免の場合60日以内に選挙準備を始めねばならず、野党は選挙の候補指名が間に合わず、攻勢に出る事を躊躇」(レゼコー紙)、「罷免案は政界の総意でなく、野党大物は政治的停滞を懸念して罷免を拒否した」が、「中立政府は逆に2017年末まで国政を継続可能なため、朴大統領の行動を最小限に制限できる」ためだ。(ルモンド紙)
『レゼコー紙』によると、今回逮捕されたチェ氏と朴大統領との関係は親密で、「朴大統領は20年以上、チェ氏一家のコントロール下にあった」と報じる。チェ氏の父親は1970年代末から1980年にかけて、朴大統領のつらい時期にメンターを務めており、朴大統領の父の暗殺後に影響力を強めて特権的な関係を培った。大統領本人も、チェ氏に数件相談していた事を認めたように、北朝鮮とのやりとりに言及した極秘文書や談話原稿がチェ氏のタブレット上で見つかっており、「政策秘書以上の影の側近」と報じる。
『ルモンド紙』によると、政治の専門家の間では「朴大統領は決定力を欠く」と一般的にみられているようで、チェ氏が逮捕された今現在は、「代わりに陰で指南する人物がいる」との見方を示す。当分、現状が続きそうだ。
また「ルモンド紙」によると、韓国法務省は10月末に任命された特別検事が、捜査結果を検事総長にしか見せないよう命じた。大統領府に結果が届かないよう法務大臣にすら結果を知らせない徹底ぶりである。
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