仏メディア:ドイツECBに宣戦布告か?(2016/09/29)
欧州中央銀行(以下、ECB)とドイツの対立はドラギ総裁がマイナス金利のバズーカ砲を打ち出して以来激化した。その対立はドイツの対ECB宣戦布告を予感させる程激しくなっているようだ。フランスメディアは次の通り報じる。
仏最大経済紙
『レゼコー』は「ECBとドイツの嫌悪」と見出しをつけてドイツの怒りを報じる。「ECBはもはやドイツ連邦銀行の継承者ではない」と伝えるように、以前と違いECBはドイツ連邦銀行に追随しなくなったようだ。以前のECBは「ドイツの状況とインフレ率しか見ない」、「スペインやアイルランドに現実に存在していた実質マイナス金利を無視し続けて、不動産バブル崩壊と金融崩壊へと追いやった」、「2008年7月にECBはリーマンショック後の危機真只中にドイツインフレのために金利を引き上げた」など、ドイツの方しか向いていなかったが、現在のドラギ総裁は違う。...
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『レゼコー』は「ECBとドイツの嫌悪」と見出しをつけてドイツの怒りを報じる。「ECBはもはやドイツ連邦銀行の継承者ではない」と伝えるように、以前と違いECBはドイツ連邦銀行に追随しなくなったようだ。以前のECBは「ドイツの状況とインフレ率しか見ない」、「スペインやアイルランドに現実に存在していた実質マイナス金利を無視し続けて、不動産バブル崩壊と金融崩壊へと追いやった」、「2008年7月にECBはリーマンショック後の危機真只中にドイツインフレのために金利を引き上げた」など、ドイツの方しか向いていなかったが、現在のドラギ総裁は違う。その象徴が量的緩和政策だ。しかしこの事は「(ドイツのECBに対する)真の開戦事由となる」と「レゼコー紙」は予言する。「かなり乱暴な対応になる可能性が高い」と懸念する。
欧州最大の経済大国ドイツは輸出国で、財政収支も均衡を保ち、高齢化対策で移民歓迎だが、ユーロ圏固有の問題を抱える。関税と通貨の統合は加盟国独自の利益を生まない。問題は「ECBが今や統合を進める必要があるが、ユーロ圏の多様性を考慮すべき」点だと「レゼコー紙」は指摘する。インフレ失敗、南欧の高失業率、慢性化した債務、安定化協定で排除される財政の自由度。だからこそドラギ総裁は非伝統的な量的緩和政策をECBは打ち出した。しかしマイナス金利下のドイツ国債金利のように、独連銀は軍資金をじわじわ減らした。
また「ドイツは反乱を開始する」と報じ、「スケープゴートは今後ECB」とECBを標的にするだろうと「レゼコー紙」は予言する。「この危険な状況は2017年にクライマックスを迎えてユーロ圏の政治的危機全てが表面化」との見通しを示す。
『ルモンド紙』は「ユーロは容易いスケープゴート」と見出しをつけ、ユーロが欧州経済機能不全の全責任を負わされる事を窘める。「単一通貨が加盟国間の成長を支えなかった」事は事実でも、「単一通貨だけで、ユーロ圏すべての機能不全を説明するのは滑稽かつ危険」と警鐘を鳴らす。「本当の原因を隠して、全ての逸脱を可能にする」。
また「ルモンド紙」によると、「国家間の不均衡を是正可能な通貨同盟の構築は愚行か?」の検証の必要性は、欧州全体が認識する。「通貨危機以来屋台骨が改善された」が、「1992年に欧州首脳が考えたような政治的統合が後から続く事」はなかった。「現在のユーロのユーロ圏は誤って機能する」。
また「ルモンド紙」は疑問点として「9月13日の演説でドラギ総裁が提起した問題点」を挙げる。「共に取り組む事は、我々ECBが期待される課題を克服する最良の方法か?」とドラギ総裁は問いかけた。ユーロ存続が使命のはずのドラギ総裁の真意はまだ分からないが、来年2017年には欧州金融界で一波乱ありそうだ。
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インドが韓国をぬいて世界第5位の自動車生産国に(2016/09/27)
経済減速の兆しがみられるが、インドの成長ぶりが明確な形となって現れる。世界第五の自動車生産国だった韓国は今年の7月に初めてインドにその座を奪われた。フランスメディアは次の通り報じる。
『トリビューン紙』は「インドは現在のところ韓国を抜いて世界第5の自動車生産国」と見出しをつけて、今年初めからのインドの追い上げを報じる。「トリビューン紙」によると、今年初めには既に僅差に迫っていた。今年初めからの生産台数の合計はインド257万に対し韓国は255万である。まだ暫定的だが「この順位が数年続けば、韓国は第5の座を永遠にインドに明け渡す事になる」と報じ、いずれこの順位が固定する可能性が高いとの見方を示す。...
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『トリビューン紙』は「インドは現在のところ韓国を抜いて世界第5の自動車生産国」と見出しをつけて、今年初めからのインドの追い上げを報じる。「トリビューン紙」によると、今年初めには既に僅差に迫っていた。今年初めからの生産台数の合計はインド257万に対し韓国は255万である。まだ暫定的だが「この順位が数年続けば、韓国は第5の座を永遠にインドに明け渡す事になる」と報じ、いずれこの順位が固定する可能性が高いとの見方を示す。韓国自動車工業協会(KAMA)を始めとする自動車業界の専門家は、この事態を重く受け止めているという。
しかしインド製造業の成長だけでなく、自動車業界で繰り返されるストライキによる生産減少もその原因となっている。「トリビューン紙」によると、現代自動車や起亜など自動車製造会社の最大手は12年ぶりにゼネストを経験した。事の発端は、現代自動車が安い人件費を求めてインドを含む工場の海外移転を進めた事に対する反発であった。
7月以降頻発するストにより生産に多大な影響が出た模様。韓国の自動車輸出は今年初めと比べて14.3%減少した。また、7月までインドの追撃をなんとか抑えていたのは、自動車への消費税減税措置による需要増が大きかったようだ。しかし頼みの減税措置も中止され、その場しのぎの需要増に終わった。
『レゼコー紙』は、特に世界第5の自動車メーカーである現代自動車のストライキ拡大を「深刻なレベルの社会的力比べ」と形容し、韓国政府は既に社会問題と見做す事を報じる。
自動車業界ほどではないが、韓国の主要産業や公共サービス分野で社会運動が繰り返されており、韓国の輸出にも影響が出ている。「レゼコー紙」は「韓国が世界第五の地位をインドに明け渡す事になった直接的原因」と見ており、このままいけば「メキシコの追い上げにも屈する可能性がある」と報じる。
アジアの国でフランスメディアを賑わすのは圧倒的に中国だが、最近インドの存在感も際立ってきた。フランスは豪州向けと同タイプの潜水艦をインドに既に販売し、先週はラファール戦闘機36機の契約をインドと締結した。「領土問題を抱える中国とパキスタンに対抗するための軍備増強」と
『ルモンド紙』は報じる。
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