ドイツ、ウクライナ支援で社会が分断(2022/04/19)
ドイツ政府は15日、ウクライナが重火器を購入できるよう10億ユーロの放出を決定した。しかし、ウクライナ支援に関して社会も政府も意見がかつてないほど分かれている。
仏紙
『レゼコー』によると、伝統的に左派の地区であるクロイツベルクの通りで16日に行われた平和デモでは、オラフ・ショルツ首相の政党である社会民主党、ドイツ最大の労働組合IGメタル、極左団体、福音教会の旗の下、1000人以上が行進を行った。
40年の間、社会民主党の活動家だったゲアハルト・シュタインバッハさんは、兵器提供は「事態をエスカレートさせロシア側の核兵器の使用につながる」として反対するために参加したという。...
全部読む
仏紙
『レゼコー』によると、伝統的に左派の地区であるクロイツベルクの通りで16日に行われた平和デモでは、オラフ・ショルツ首相の政党である社会民主党、ドイツ最大の労働組合IGメタル、極左団体、福音教会の旗の下、1000人以上が行進を行った。
40年の間、社会民主党の活動家だったゲアハルト・シュタインバッハさんは、兵器提供は「事態をエスカレートさせロシア側の核兵器の使用につながる」として反対するために参加したという。一方、数キロ離れたベルリンの中心部にあるフンボルト大学前では、ウクライナとシリアの団体の連合が対抗デモを行った。数百枚の青と黄色の旗の中で、ウクライナへの武器の即時提供とロシアのガス禁輸の実行を訴えた。環境保護主義者のモニカさんは、「武器を持たずにプーチンと闘うのは考えが甘い」という信念のもと、このデモに臨んだという。
こうした中、ドイツ政府は15日に、外国への「軍事援助」として20億ユーロ(約2761億円)の予算を組み、その中にはウクライナが必要な兵器を購入できるよう、少なくとも10億ユーロ(約1380億円)が含まれると発表した。ドイツ軍からの現地での手ほどきが必要となる新兵器ではなく、ウクライナ軍が使い方を知っている武器を東欧で手に入れてもらう狙いだ。今回の決定は、連立政権の中で、武器の即時供与に賛成するエコロジストやリベラル派と、それに反対する社会民主党の間の妥協点でもあった。ただし、伝統的に平和主義を掲げる社会民主党にとって大きな一歩であったものの、エコロジストやリベラル派にとっては、遅すぎる上に不十分だというのが本音だ。
最新世論調査では、ウクライナへの重火器の納入には55%が賛成と回答。特に緑の党(72%)でその傾向が強く、経済・気候保護担当のロベルト・ハーベック大臣は、今や「平和主義は遠い夢だ」と述べている。連立政権内からの圧力に直面し、ショルツ首相の立場は揺らいでおり、世論調査では、49%が首相の紛争に対する対応で強いリーダーシップが発揮できていないと回答している。
仏ニュースサイト『ユーロニュース』によると、ショルツ政権は保守系野党からも批判されている。ドイツ連邦議会保守党(CDU/CSU)のヴァーデフール議員は、「ショルツ首相はブレーキを踏んでいる。武器納入を進めようとしていないのは明らかだ。彼は大きな責任を背負っているが、助けることが出来るウクライナを助けていない」と述べている。
仏ニュース専門局『BFMTV』は、ショルツ政権は、ポーランド、バルト諸国などEUの一部のパートナーからも、軍備面でウクライナを支援していないという批判が高まっていることに対応するために、支援金に踏み切ったと伝えている。しかし、ショルツ首相は、ロシアとの間で全面的な戦争になることを恐れており、戦車など兵器の納入を許可することに消極的となっている。
ウクライナのゼレンスキー大統領は17日夜、ウクライナ支援に対して「ためらいをなくす」ように再び呼びかけた。
閉じる
ハンガリー、与党圧勝でオルバーン政権続投(2022/04/04)
3日に行われたハンガリーの議会選挙で、現職のオルバーン首相は、フィデス=ハンガリー市民同盟党の圧倒的な勝利により、4期連続、通算5期目の政権を獲得した。野党6党は、オルバーン首相の失脚を目指した活動を展開していた。しかし、投票日当日には支持率が低下し、議会の3分の2の多数を確保したフィデスに敵わないことが明らかになった。
仏の
『ユーロニュース』は、ハンガリーでは、ウクライナでの戦争はフィデスへの支持を強めたと伝えている。そして、オルバーン政権はLGBTQなどに対する政策をめぐって欧州と争っている政府を国民が強く支持しているとして捉えるだろうと指摘している。一方で今回の選挙結果は、ハンガリーが政治的に分裂していることを示しており、6つの統一野党が最大の投票率を獲得した首都ブダペストと、与党が勝利した国の残りの部分に分かれたと伝えている。...
全部読む
仏の
『ユーロニュース』は、ハンガリーでは、ウクライナでの戦争はフィデスへの支持を強めたと伝えている。そして、オルバーン政権はLGBTQなどに対する政策をめぐって欧州と争っている政府を国民が強く支持しているとして捉えるだろうと指摘している。一方で今回の選挙結果は、ハンガリーが政治的に分裂していることを示しており、6つの統一野党が最大の投票率を獲得した首都ブダペストと、与党が勝利した国の残りの部分に分かれたと伝えている。
豪『abc.net.au』は、集計がまだ終了していない中、オルバーンのフィデス党が選挙に勝つかどうかではなく、どの程度の勝利になるかが焦点だと伝えている。国政選挙事務局によると、約91%の票が集計され、フィデス党が53%を獲得し、親欧州の野党連合であるユナイテッド・フォー・ハンガリーは34%強を獲得しているという。
オルバーン首相は「全世界は今夜ブダペストで、キリスト教民主主義政治、保守的市民政治、愛国主義政治が勝利したことを見た。我々はヨーロッパに、これは過去ではなく未来であると伝えているのだ」と語った。
ハンガリーの6つの主要野党がイデオロギーの違いを乗り越えてフィデスに対抗する統一戦線を形成したため、今回の選挙はオルバーン首相が2010年に政権を取って以来最も接戦になると予想されていた。有権者は199議席の国会議員を選出する。
今回の選挙では、急進的な右派政党「わが祖国運動」が6%以上の得票率を獲得し、議席獲得に必要な5%の基準値を上回るというサプライズもあった。
オルバーン首相は、当初、社会的・文化的な対立軸で選挙戦を展開していたが、2月のロシアのウクライナ侵攻を機に選挙戦のトーンを劇的に変え、選挙を「平和と安定か、戦争と混乱か」の選択だという選挙キャンペーンを展開した。
野党が紛争状態にある隣国を支援し、EUやNATOのパートナーと歩調を合わせるよう求めたのに対し、オルバーン首相は、ハンガリーは中立を保ち、ロシアのガスや石油を有利な条件で輸入し続けるなど、モスクワとの緊密な経済関係を維持すると主張した。
移民、LGBTQの権利、「EU官僚」を激しく批判するオルバーン首相は、欧州と北米の右派ナショナリストからの支持を集めており、自らをイスラム系移民、進歩主義者、「LGBTQロビー」に対する欧州キリスト教の擁護者として位置づけている。
閉じる
その他の最新記事