今年6月、国連人権委員会(UNHRC)で、「中国で、拘禁されているウイグル人を含む少数民族を標的とした臓器狩りが行われている疑いがある」という報告書が提出された。今月、オーストラリア紙が、強制的に摘出された臓器が闇市場で売買されていると報じたことで、中国での人権侵害が再び注目を集めることになりそうだ。
インド日刊紙
『ヒンドゥスタン・タイムズ』は、中国政府が「弱い立場にある少数民族の臓器を強制的に摘出し、闇市場で数十億ドルを稼いでいるとの報道があり、これが事実であれば、国際社会が行動を起こすことが期待される。」と報じている。
インドのANI通信によると、オーストラリアのメルボルンを拠点とする朝刊紙「ヘラルド・サン」が、中国では闇市場で「健康な肝臓が約16万米ドル(約1800万円)で取引されている」ことや、この取引が中国にとって「少なくとも10億米ドル(約1142億円)」の年間売上高になっていることなどが伝えられている。
なお、中国の収容施設での強制臓器摘出に関する疑惑は、今回が初めてではない。今年6月、国連人権委員会(UNHRC)は、法輪功学習者、ウイグル人、チベット人、イスラム教徒、キリスト教徒などの少数民族を対象とした 「臓器狩り」の疑いがあるという報告について、人権専門家が「非常に憂慮している」と述べた。
国連の人権専門家らは、信頼できる情報から、民族的、言語的、宗教的少数派の被収容者だけ、インフォームド・コンセントなしに、血液検査や超音波、X線などの臓器検査を強制的に受けさせられることが報告されたことを明らかにした。臓器検査の結果は、臓器提供者のデータベースに登録され、臓器提供を促進していると言われている。
豪日刊紙『ヘラルド・サン』は、臓器移植を行う病院は、拘置所からそれほど遠くない場所にあり、その病院で行われている手術の数や待機者数から、非常に長い間、大規模に「強制的な臓器摘出」が行われていたことが推測されると伝えている。同紙は、オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)の報告書を引用し、2017年から2019年の間に8万人近くのウイグル人が国内の工場に人身売買されたと報じている。ASPIは、「故郷から遠く離れた工場で、彼らは通常、隔離された寮に住み、勤務時間外に北京語とイデオロギーの組織化されたトレーニングを受け、常に監視され、宗教的な行事に参加することを禁じられている」と報告している。
今年初めに国連に寄せられた申し立てによると、囚人から摘出される最も一般的な臓器は、心臓、腎臓、肝臓、角膜、そしてあまり一般的ではないものとして、肝臓の一部であると報告されている。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、「このような医療目的の人身売買には、外科医、麻酔医、その他の医療専門家などの医療関係者が関与していると言われている」と指摘している。
国連の人権専門家らは、2006年と2007年に中国政府にこの問題を指摘した際、中国政府は、臓器提供の待ち時間や、臓器の提供元に関する情報などのデータが不足していると回答した。国連は、「入手可能なデータや情報共有システムの欠如は、人身売買の被害者をうまく特定して保護することや、人身売買業者を効果的に捜査・訴追することの障害となっている」と指摘していた。
豪ニュースサイト『News.au.com』によると、中国の人権団体は、中国政府が臓器売買ネットワークを運営しており、毎年10万人の反体制派や政治犯から臓器を摘出していると主張している。イタリアの人権専門誌「ビター・ウィンター」が今年3月に、中国がイスラム教徒の囚人を処刑し、コロナウイルス患者の治療のために臓器を摘出しているという問題を報じている。この報道は、余命数日の患者に二人分の移植手術を成功させたと中国政府が自慢した後のことである。当時、世界の人権団体は、59歳の患者の救命手術に必要な2つの肺が、なぜこんなに早く見つかったのかと疑問を呈していた。雑誌「ビター・ウィンター」は、「数日のうちに適合する2つの肺が見つかったという事実は、臓器摘出の新たな疑いを生じさせる」と書いている。2月24日に余命宣告を受けた患者は、完全に一致する「同意」を得た脳死状態のドナーが見つかるまで、わずか5日間しか待つ必要がなかった。同誌は、「世界では、適切なドナーから1つの肺が提供されるのを待つのに何年もかかるが、中国では今週、完全に一致した2つの肺が提供されるのにわずか数日しかかからないことが示された」と書いている。
米『エポックタイムズ』によると、オーストラリアの調査ジャーナリストであるCJ・ワールマン氏は、拘留されたウイグル族のイスラム教徒が「中国のコロナウイルス患者のために、必要に応じて殺すための最終手段として利用されている」恐れがあると主張しており、「完全に一致する肺を提供してくれることに同意したドナーをわずか5日間だけ待ったという事実は、中国の違法な強制臓器摘出プログラムの規模と範囲にさらなる疑問を投げかけるものである」と指摘している。
アメリカ国務省の元国務次官補のロバート・デストロ氏は10月18日にハドソン研究所で行われた座談会で、中国共産党は「国の資源からあなたの肝臓まで、あらゆるものを現金化していく」ことに長けていると述べ、中国の宗教団体の窮状は、注目されるべきであると指摘している。「これらの宗教団体は先駆的な役割を果たしている。注意していないと、これはみなさんの身近なところで起こることになる」と警告している。
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米国が、中国本土への渡航禁止勧告を出したり、あの北朝鮮までが、中朝国境を封鎖する動きをしたりと、中国発祥の新型コロナウィルス感染の脅威に対する懸念が尋常ではない。これまで中国の支援を受けてきたような国からも、中国人お断りの声が上がるにつけて、どこの国も内実は、これまでの中国の経済力・軍事力を嵩にかけての傍若無人な振る舞いに辟易していたことが窺える。
1月30日付米
『ニューヨーク・タイムズ』紙:「コロナウィルス感染拡大に連れて、アンチ中国の動きも活発に」
中国で猛威を振るい始めた新型コロナウィルスは、中国国内だけで感染者が7千人以上、犠牲者も170人を超えた。
他国への急速な感染拡大を受けて、世界保健機関(WHO)もついに1月30日、緊急事態宣言を発表し、世界各国の保健当局に対して、感染拡大防止に向けた監視強化や措置拡充などを要請した。
しかし、例えばハワイ大学アジア問題研究専門のクリスティ・ゴベラ准教授は、新型コロナウィルス感染拡大阻止にかこつけて、中国人そのものを拒否する動きが出始めていると指摘する。
同准教授によれば、この背景には、中国がこれまでに経済的及び軍事的圧力でアジア諸国に対してきたことや、また、西側の競合国にも挑戦的な対応を取ってきたことから、潜在的な外国人恐怖症(すなわち、対中国人全般に対して)が表れたと分析している。
もちろん、偏見を抱くのではなく、純粋に新型コロナウィルス感染拡大を防止するために行動を起こすことや、また、苦境に陥っている中国に救いの手を差し伸べるべきとの声も上がってはいる。
主要な国の動きや反応は以下のとおり;
<日本>
・ツイッターで、“中国人の来訪お断り”とのやりとりが上げられている。また、中国人観光客を“汚い”、“無神経”、更には“生物兵器”とまで揶揄する表現も使われている。
・一方、いつも多くの中国人観光客で賑わう銀座で衣料品店を営む女主人は、こういうときこそ中国や中国人のために何か支援の手を差し伸べられないか考えるべき、とコメントしている。
<シンガポール>
・数万人の市民が、政府に対して“中国人の入国拒否の決定”を求める署名活動を実施している。
<香港>
・ホテルやレストラン等では、中国人観光客は歓迎できないとの声が上がり始めている。
・例えば、あるケータリングサービスのチェーン店は1月26日にフェイスブック上に、“英語もしくは広東語(香港や華僑が用いる言語)を話す顧客のみを対象とし、マンダリン(中国本土の標準語)話者はお断り”と掲載。
・この背景には、香港のビジネス界では、中国中央政府に対抗して民主化運動を進めるグループを支援していることが背景にある。
<ベトナム>
・ダナン(ベトナム中部の港湾都市)のあるホテルは1月22日、新型コロナウィルス感染拡大阻止のため、“中国人観光客の宿泊お断り”と宣言した。
・ダナン南部の観光地ホイアン(古い港町)のあるレストランは、“中国人お断り”の看板を店頭に掲げた。
・ベトナム市民は、南シナ海での中国による漁業妨害や、石油掘削事業への言いがかり等に対して反発してきている。
<インドネシア>
・政府が武漢市からの航空機の乗り入れを拒否する決定を行った。
・これを受けて、市民の間には、全ての中国人観光客を拒否すべきとの声が高まりつつある。
・しかし、西スマトラ州知事はかかる声を無視して、1月26日に到着する174人の昆明(中国南西部雲南省)からの中国人観光客を空港まで出迎えている。
<韓国>
・ユーチューブ上に、“中国の生物化学兵器工場が新型コロナウィルスの発生源”とするデマが流布されている。
<マレーシア、フィリピン、ロシア>
・武漢市のある湖北省住民、あるいは全ての中国人の入国ビザ発給を一時的に中止すると発表している。
<イタリア>
・コンテ首相は1月30日晩、中国行き及び中国からの全ての航空機の受け入れを拒否することを決定した。
<豪州>
・『ヘラルド・サン』紙(メディア王と呼ばれる豪州系米国人のルパート・マードック氏が所有)が“中国のウィルス、パンダモニウム(1980年代初めに米『CBSテレビ』が放映した3匹のパンダの漫画番組)”と掲載。
・これに怒った現地中国人コミュニティの4万6千人余りの住民が、“寛容できない人種差別”と異議を申し立て。
・また、シドニーの店で販売されているフォーチュンクッキー(中華料理店で出されるクッキー)、コメ、中国製レッドブル(オーストリア発祥の清涼飲料水)は汚染されている、とのデマがインスタグラムに上げられている。
<カナダ>
・トロントの政治家、教育委員会、またいくつかのコミュニティ・グループは1月27日、“中国のある省で発症したからと言って、それを中国ウィルスと呼ばない”とし、“無用な外国人恐怖症を芽吹かせない”よう注意喚起する声明を発表した。
・実は現地では、2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)で44人が犠牲になった際、中国コミュニティに対しての差別が横行した経緯があった。
1月31日付マレーシア『ザ・スター・オンライン』:「コロナウィルス最新情報:世界の感染者がほぼ1万人」
WHOは1月30日、世界の新型コロナウィルス感染者が9,950人余りと、SARS伝染病よりも患者数が増えたことより、緊急事態を宣言した。
これを受けて、各国は緊急対応に追われている。
<米国、日本>
・国民に対して中国への渡航中止を指示。
<シンガポール、ベトナム>
・中国人宛のビザ発給を停止。
<パキスタン>
・中国発及び中国行きの全ての航空機の乗り入れを2月2日まで停止。また、北端の中国との国境開放時期延期を検討。
<香港>
・林鄭月娥行政長官は、春節時の休校を3月2日まで延長することを決定。
・同長官はまた、中国本土との国境を封鎖するよう求める要請に反対する一方、ストライキを企てている医療従事者に対して、コロナウィルス問題解決まで思い止まるよう要請。
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