「性別に偏りがみられる分野のうち、ほぼすべてが男女格差解消に向かっているが、中には機会均等まで何十年、何世紀もかかると予測される分野もある。」とメルボルン大学の数学上席研究員で研究共著者の一人、シンディー・ハウザー博士が書面で述べた。
19日、学術誌『PLOSバイオロジー』に掲載されたこの研究によると、論文執筆をする上席著者が女性というケースは有意に少なかった。
女性の進出が最も少ない分野は、物理学、コンピュータ・サイエンス、数学、外科、化学であった。...
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「性別に偏りがみられる分野のうち、ほぼすべてが男女格差解消に向かっているが、中には機会均等まで何十年、何世紀もかかると予測される分野もある。」とメルボルン大学の数学上席研究員で研究共著者の一人、シンディー・ハウザー博士が書面で述べた。
19日、学術誌『PLOSバイオロジー』に掲載されたこの研究によると、論文執筆をする上席著者が女性というケースは有意に少なかった。
女性の進出が最も少ない分野は、物理学、コンピュータ・サイエンス、数学、外科、化学であった。一方、多くの女性が活躍するのは、看護学、助産術、緩和ケアなど健康関連の分野である。
この研究はメルボルン大学で実施され、115のSTEM分野のうち87分野において、女性著者の割合が45%未満であることがわかった。女性の割合が55%超は5分野にとどまった。
研究者はコンピュータアルゴリズムを使用して、2つの主要科学データベース、PubMedとarXivに掲載された1,100万件の学術出版物を検索した。データベースは6,000を超えるSTEM分野の学術誌15年分を追跡している。著者の出身国は100カ国以上にわたり、5千万人の著者が検索され、コンピュータはそのうちの約3,700万人の性別を特定した。このデータから、研究者らは一連の性別比を割り出した。研究の主著者又は上席著者が女性である割合、研究を発表した出版物、および女性が論説、レビュー、解説を執筆した回数を調べた。
研究チームは、分野ごとに男女格差が解消されるまでにどのくらいの時間がかかるかを予測した。例えば、物理学は女性が上級職のわずか13%しか占めておらず、格差解消まで258年を要すると予測した。一方女性の多い看護学では、男女格差解消に320年かかる計算だ。
研究チームが学術出版に注目した理由は、現在、出版物が科学的知識を普及させる主要手段であり、研究生産性の主要な尺度であることから、STEM分野における女性の職業的成功と認知度に影響を及ぼすと考えられるためである、とデヴィ・スチュアート・フォックス博士は述べた。博士は本研究の共著者でメルボルン大学の進化生物学者である。
ジェンダー格差は、『ネイチャー』、『ランセット』、『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』、『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル』など著名な学術誌ではより広がっていることがわかった。学術誌の知名度と影響力が高いほど、女性が少ないことが示された。これにはいくつかの理由が考えられる。著名な学術誌は多数の投稿を受け、編集者は盲査読なしで多くの論文を却下する結果、最初の審査で氏名が見えているために女性は不利益を被る。また女性は、より著名な学術誌に自分の論文を提出するよう助言されたり奨励されたりする可能性が低い。著名な学術誌では招待論文が出版されることが多く、今回のデータでは、男性が招待論文を要請される可能性は女性の1.7~2.1倍であることがわかった。
日本、ドイツ、スイスなど裕福な国は、貧困国より女性著者数が少なかった。
研究者らは、研究によりSTEM分野における男女格差解消がより促進されることを望む。それを支援するために、データと調査結果をオンライン上で無料で公開している。
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研究はコペンハーゲン大学の研究チームによって行われ、EUが資金を提供、4日「ザ・ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」で公表された。
コペンハーゲン大学の疫学准教授であり共同研究者のジェニファー・ベイカー博士は、次のように述べた。「我々の研究が発表されるまでは、成人期における体重減少が2型糖尿病のリスクを低下させるということが知られていた。我々の研究は、思春期前に体重を減少させるとリスクが低減するかを示す初の大規模研究である。思春期前は、学校や家庭で介入と予防がしやすい素晴らしい時期だ。将来糖尿病になるリスクを減らすことができる。」
研究は62,565人のデンマーク人男性が調査対象であったが、子供に体重を減らさせることが糖尿病リスクを低下させるかどうかの調査はしていない。義務教育や徴兵試験時に登録された身長・体重のデータを用いて7歳、13歳、および成人期初期(17~26歳)の体重を追跡し、30~60歳に発症した2型糖尿病との相関を見出すものであった。
その結果、標準体重でいる期間が長いほど一般的に糖尿病の予防につながったことが判明した。
ベイカー博士は、体重がより長く標準体重で維持されるならば「リスクが継続的に減少する。しかしリスクは常に存在する。」と語った。
世界の子供の23%以上が過体重*または肥満とみなされている。
過去の研究の大部分は肥満に焦点をあてたものであったが、今回の研究は過体重の人を対象とした。「我々は、極端に肥満の人の話をしているのではない。たとえ肥満に該当しなくても心配する必要があるということだ。」とベイカー博士は述べた。
研究チームは、30~60歳の間に2型糖尿病を発症した男性の72%が過体重ではないことを明らかにしたうえで、残りの男性群は、過体重であった時期により発症に差が出たことと発見した。
7歳、13歳、および成人期初期に過体重の人は、糖尿病を発症するリスクが一度も過体重になったことのない人の4倍高くなった。
7歳は標準体重ながら13歳と成人期に過体重の人の発症リスクは、一度も過体重ではない人の3.87倍であった。
7歳と13歳時点では標準体重で成人期に過体重だった被験者の糖尿病発症リスクは、一度も過体重ではない人の3.24倍高かった。
過体重の子供のうち、7歳で過体重であったが13歳までに標準体重に戻った場合にのみ、発症リスクは、一度も過体重になっていない子供と同等であった。
7歳と13歳で過体重だったが、成人初期に減量した者は、成人初期まで過体重の人よりもリスクは低下したが、一度も過体重になっていない人と比較すると、後に2型糖尿病を発症するリスクが51%高くなった。
「成人期中期および晩期に発症する2型糖尿病リスクを増大させる要因として、思春期の過体重が特に影響していると思われるため、これらの年齢以前にBMI(体格指数)を正常化させることが発症リスクを軽減する可能性がある。」と研究者は述べた。
BMIは身長に対する体重の比である。
ベイカー博士は「食事だけでなく、運動や生活習慣の改善を通じて、子供たちの体重を正常化させることができれば、将来への希望につながる。目標は体重減少ではなく、体重の正常化である。なぜなら、子供たちはまだ成長段階にあるためだ。」と語った。
研究には多くの限界もある。対象者が男性だけであった点、糖尿病発症時の体重の情報がない点、調査対象者が7歳だったのは今から何十年も前のことであり、当時過体重の子供の比率は5~8%で現在の23%よりも少ない点などが挙げられる。
研究チームは、知能や教育レベルと糖尿病との関連は見出していない。
*過体重とは、日本では正式に使われていない表現だが、米国など肥満が多い国ではBMIが25以上を過体重(overweight)としている。
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